アニメ「ダンジョン飯」で登場したナイトメアは二枚貝の姿で枕に潜んでいました。
そしてその枕を使用して就寝した犠牲者に悪夢を見せ、精神エネルギーを捕食していたのです。
ライオスの解説では、
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「ナイトメアは別名シンと言い、竜の仲間なんだ」
といっています。
一体、二枚貝の姿からどこに竜の姿が見受けられるのでしょうか?
このことを調べてみると、元ネタは「蜃気楼」と「古代中国史」にあることがわかりましたので、詳しく解説していきたいと思います。
アニメダンジョン飯ナイトメアの貝が竜の仲間である理由を詳細解説
アニメ「ダンジョン飯」では、ナイトメアの貝は竜の仲間であると明言されています。
貝のどこに竜と関係があるのか、首を傾げたくなりますが、調べてみるとそれは古代中国史に端を発する事がわかりました。
そしてさらに、「蜃気楼」という、遠方の景色や物体が伸びたり逆さまに見えたりする現象に関連することもわかりました。
ナイトメアの貝の別名がシンと言う元ネタは古代中国史から
ライオスがナイトメアのことを「シン」とよんでいる元ネタは中国の「蜃」という霊獣が元ネタになっています。
この「蜃」は竜の類をする説があり、そこから竜の仲間という設定が持ち込まれたのでした。
また「蜃」は「大ハマグリ」をも意味し、竜の仲間でありながら二枚貝の姿をしている、という設定になったのです。
蜃気楼の語源となったシン
もともと「シン」は蜃気楼を作り出す伝説上の生き物でした。
「蜃気楼」という漢字も、
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・「蜃」が、
・「気」を吐き出し、
・作り出した「楼閣」
という意味なのです。
中国において前4世紀~3世紀頃、戦国時代から秦朝・漢代に記された地理書「山海経」において、「海内北経」で蜃気楼のことが初めて文献に記されています。
この蜃気楼は「蓬莱山」として記されており、中国の東方、海上に浮かぶ仙人が住むとされる仙郷で、蜃気楼によって作り出された幻に、仙人が住む理想郷思想が結びついたものでした。
そしてこの理想郷を作り出すことのできる「蜃」という生き物が、霊獣として存在すると信じられていたのです。
貝説と竜説
ところがこの「蜃」、竜を表す「シン」とはまぐりを表す「シン」の二種類の意味がありました。
海上に出現するということで「はまぐり」でも問題がないため、同じ漢字で表す竜とはまぐりがごっちゃになり、「蜃」は竜であり、はまぐりである、とされるようになったのです。
ただし、どちらかといえば竜説のほうが強く、はまぐりに似た形をした竜の仲間の「蜃」という結論に落ちつていますが、いまだに「蜃=はまぐり説」も亡くなっているわけではありません。
ちなみに浦島太郎に登場する龍宮城も、蜃気楼によってできた幻から生まれたものである、と考えられています。
日本における蜃
日本にも蜃は中国から伝わっており、また蜃気楼も海上で目にすることがあるため、竜説と貝説がごっちゃになって伝わってきました。
中国同様、どちらかといえは竜説のほうが優位性を占めていますが、浮世絵などでははまぐりと蜃気楼の関係性をモチーフにした者が数多く残っており、庶民の間でははまぐり説のほうが受けが良かったような印象を受けます。
とはいえ、浮世絵の構図としてのはまぐりと蜃気楼は、そのように描いたほうが庶民から愛された、という面が否めず、蜃気楼を作り出す「蜃」がはまぐりである、と信じて描かれたと考えるのは、飛躍しすぎている、と思われるそうです。
まとめ
アニメ「ダンジョン飯」で貝の姿をしたナイトメアが別名「シン」と言い、竜の仲間であるという設定は、古代中国に元ネタがありました。
しかも特に海上に現れるのを目にする「蜃気楼」に関連しているという驚きの事実も判明しています。
古代中国人は「蜃気楼」は伝説上の生き物「蜃」という霊獣が気を吐くことで海上に楼閣、宮殿のような建物を作り出す、と信じてきました。
そして「蜃」は竜の仲間であると考えられていたものの、「蜃」はおおはまぐりという意味でもあったため、竜と二枚貝がごっちゃになってしまった、というのが真相だそうです。
その後、「蜃=竜の仲間」説が正しいとされるも、はまぐり説が消えることはなく、長い間ごっちゃとなって、「はまぐりの姿をした竜の仲間」という解釈も出てくる始末でした。
その流れから、「ダンジョン飯」でも二枚貝の姿をしていながら竜の仲間という設定になったというわけです。
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