映画「風の谷のナウシカ」で風の谷に突如侵攻してきたトルメキア軍の指揮官とその参謀であるクシャナ殿下とクロトワ。
いろいろな思惑と異なる立場から心の底から信頼はしていないものの、お互いの能力を認めて、悪い言い方をすれば、自身の成功のために相手を最大限利用しようとしている二人組に見えます。
とはいっても、お互いに相手の能力には信頼を置いているようですので、いい感じのコンビといえるでしょう。
そんなクシャナ殿下とクロトワですが、一部で映画のその後に二人が結婚するのでは、という意見があるようです。
そこで今回は、2人が将来結婚をする可能性について、考察してみました。
エンドロールから察せられる風の谷のナウシカのその後と二人の関係性
映画「風の谷のナウシカ」はペジテ軍がトルメキア軍せん滅を目的に行ったオームを暴走させて風の谷を襲わせた作戦がナウシカの手で阻止されたところで終わっています。
腐海の謎や古い言伝えはナウシカのことを予言していたことなどがわかり、その後の展開はエンドロールで映像のみで語られます。
そのエンドロールの様子から次のことが察せられるのでした。
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・ペジテとトルメキア、そして風の谷の争いは終結する。
・腐海誕生の謎が解き明かされ、ナウシカによって答えが伝えられる。
・トルメキア軍は本国に帰還する。
・風の谷を守ってきた森の再建を、汚染されていない水と土で行う。
・アスベルはユパとともに探索の旅に出る。
・風の谷に平和が戻る。ナウシカは子供たちに風の読み方を教え、次の世代の風使いを育成し始める。
というわけで、クシャナ殿下とクロトワの関係がそれまでと変わったのかどうかは、はっきり明示されませんでした。
彼らは巨神兵がいなくなったことで風の谷に駐屯する理由もなくなり、本国に帰還していったことだけが明らかとなったのです。
クシャナ殿下とクロトワは結婚する可能性があるのか?
では、本国に帰還したクシャナ殿下とクロトワは、紆余曲折の末、結婚する可能性はあるのでしょうか?
それについて、映画内で描かれている二人のキャラクター性格の変化をおさらいすることで、考察してみることにしましょう。
クシャナ殿下の人となりの描かれ方
クシャナ殿下はトルメキア帝国の王族の一員です。
厳格な指揮官で、特権階級出身ということもあり、ある意味冷たい人間であるように、最初は描かれていました。
部下や他の勢力の人間を人間としてではなく、駒として見ているようで、軍人として成功させてきたのは、その考えに基づいた状に左右されない的確な判断力であると見受けられます。
王族出身とはいえ、他の王族親類縁者はすべて出世のためのライバルであり、敵であるため、いかに効率よく成果を出し、足元をすくわれないように多を出し抜いていくか、と常に考えているといっていいでしょう。
その対象の一つとして蟲や腐海を排除することも、選択肢の中で優先順位の高いところにあるように思います。
が、ナウシカとの出会いによって、忌み嫌う蟲や腐海すらも存在する意味があることを感じるようになります。
自分にとって邪魔であり、障害物でしかなく、それを排除することで自身の成功に結び付けてきた彼女にとって、その考えは、それまでの情を全く入れ込まない判断に変化を見せるようになったのでした。
そしてそのことにいち早く気が付いたのは参謀として彼女の近くで常に付き従ってきていたクロトワだったのです。
だからこそ、「何があったのか知らねえが、ずいぶんかわいくなっちゃって。」というような独り言をつぶやいたのでしょう。
ただ、腐海の存在意義をナウシカから聞いたとしても、クシャナ殿下にどれほどの変化が見られたのかは、想像するしかありません。
汚染された地球を正常に戻すために必要だとしても、それによって人間が共存していくには非常に厳しい環境であることに、何の変化も与えないのです。
ただし、大きな国の王族出身者ということで、影響力が大きいことは想像がつきますから、より建設的な方針を考え出してくれることを期待したいですね。
クロトワの人となりの描かれ方
クロトワですが、平民出であることが映画内で明かされています。
そしてその際のセリフでトルメキアでは、どんなに能力があっても特権階級に生まれないとある一定以上の出世はできない、階級社会であることが読み取れます。
そんな彼にとって、自身の有能な能力で立身出世をしていくには、将来有望な王族に仕え、その人物に対して影響力を持つことで、ナンバー2の地位を得、その人物が出世した後に、彼の立場もよくなる、という方法を取るしかないようです。
そういう意味では、クシャナ殿下も彼の能力の高さから仕事に関することについては全幅の信頼をしているようです。
風の谷へ巨神兵奪還のために侵攻した時点では、お互いにお互いの能力を利用することで自身の成功と出世が可能なため、協力関係にある、といっていいでしょう。
ですが、平民出であることから政変などの巻き添えを食らわないように気を付けていて、いざとなれば、自分一人で逃げ出すことも躊躇がないようにも感じました。
とはいえ、平民出であることから王族という特権階級の人々よりは、情に厚く、かなりぎりぎりのところまでいかないとクシャナ殿下を見捨てないのではないでしょうか。
何はともあれ、クシャナ殿下がナウシカと会って変化が見られたのに対し、クロトワの方は、その変化には気が付くものの、彼自身が大きく変化した様子は感じられませんでした。
結婚の可能性は限りなく少ないと思う理由
では、クシャナ殿下とクロトワが、その後、結婚をする可能性はあるのでしょうか?
正直、自分には、その可能性は限りなく低いと思っています。
その理由として、彼らの出身階級の違いとトルメキア帝国の風習が挙げられるのではないでしょうか。
何度も言ってきたように、クシャナ殿下は王族出身、クロトワは平民出です。
この身分の差はかなり大きく、2人を見ていると同じ人間ではないような、そんなとんでもない違いを感じてしましました。
特権階級出身者は、多くにして自分より身分の低い人物を将棋の駒としか見ていません。
それはまるで、同じ生き物ではないというような感覚といっていいでしょう。
だからこそ、クシャナ殿下はクロトワを利用価値の高い駒として使い、クロトワも自身の出世の道具としてクシャナ殿下の成功を助けているわけです。
そしてトルメキア帝国という国。
映画の中で強大な軍事国家となっています。
軍事国家であれば、階級差は強国であるためには必要不可欠な要素です。
より分かりやすく説明すれば、兵士に、兵士という特権階級という飴玉を与えることで、戦争で名を挙げてより出世したいと思わせることができ、また、農民等とは違う、という虚栄心から、戦場という厳しい境遇でも我慢できる精神状態を作り出すことができるのです。
それは王族という指揮官クラスも同様で、王族出身者であるというプライドが、逆境でも後ろ指を指されるような行動をとることを阻止しているといえるでしょう。
そんな国の文化に所属している二人が、階級差の垣根を飛び越え、結婚という結ばれ方をするとは思えません。
お互い相手のことを男女とは見ておらず、有能な軍人としてしか見ていないような気がします。
二人には有能な指揮官とその参謀という立場が一番似合っていると思えるのでした。
考察のまとめ
「風の谷のナウシカ」に登場するトルメキア軍のクシャナ殿下とクロトワが、将来結婚するのかどうか、を考察してみました。
映画だけですと限られた二人の性格しか見ることができませんので、それだけで判断をするとどうしても偏ってしまうのですが、それでも二人が将来結婚するという図は、想像ができません。
おそらく二人は有能な軍人として、優秀な指揮官とその参謀という立場を続けていくのではないでしょうか。
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