アニメ「ダンジョン飯」でシュローの仲間として登場するマイヅルは、魔法使いですが、東方出身ということもあり、マルシルなどとは異なる召喚術を会得していることが描写されています。
魔物を召喚し、その魔物に戦闘をさせるという手法を取っているのですが、その魔物は蜘蛛の化け物ともいうべき、巨大な蜘蛛。
今回はこの蜘蛛の魔物についての元ネタの紹介をしてみたいと思います。
アニメ「ダンジョン飯」マイヅルが操る式神は蜘蛛の魔物?
アニメ「ダンジョン飯」でマイヅルは式神を操る魔術師で、実体化させた式神を敵に対して戦わせています。
その姿は大きな蜘蛛で、顔は牛のよう。
戦い方も蜘蛛を思わせる戦法を使っているのでした。
ライオスたちがようやく地下5階から4階への階段を見つけた後、腹ごしらえに食事の用意をします。
できた料理を食べている最中、何者かに襲われ、ライオスは糸でぐるぐる巻きにされて、拘束されてしまうのでした。
またその後、シュローとかブルーの一行がライオスたちと合流した後、ハーピーが襲ってきた際にも、マイヅルはこの式神を召喚してハーピーたちと戦っています。
この巨大な蜘蛛の魔物は一体どういった魔物なのでしょうか?
この蜘蛛の魔物は日本古来の妖怪「土蜘蛛」であると考えられます。
いちばん有名な土蜘蛛の話は平家物語に登場しています。
そしてその話が能の「土蜘蛛」に取り入れられ、妖怪として広く知られるようになったのでした。
土蜘蛛の元ネタ紹介
続いて土蜘蛛についての元ネタを紹介していきます。
蜘蛛の妖怪として有名な土蜘蛛ですが、もともとは王権に歯向かう勢力のことを下に見ていた事から呼称として使われていた言葉でした。
源頼光に倒された妖怪
妖怪として有名な土蜘蛛は、それを倒した源頼光の敵として平家物語に登場します。
内容を簡単に要約すると次の通り。
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ある時、源頼光がマラリアに罹って床の伏せていました。
そこに身長7尺もある怪僧が現れます。
怪僧は、縄を放ってより光を絡め取ろうとしてきました。
頼光は病床のみでありましたが、名刀「膝丸」で反撃し、怪僧に切りつけます。
頼光の反撃にあい、怪僧は逃げてしまいました。
翌日、頼光が家臣の4天王を携えて、怪僧の血痕を辿っていくと、北野神社の裏にたどり着きます。
そこには便長4尺の巨大な蜘蛛がおり、頼光たちはこれを捕らえて退治し、瓦にその死骸をさらしました。
その後、頼光の病はすぐに回復したそうです。
ちなみに源頼光は酒呑童子という鬼を退治したことでも有名で、彼の家臣の4天王の一人は、坂田金時といって、あの金太郎であるとされています。
元ネタはヤマト王権に歯向かった豪族たち
土蜘蛛は蜘蛛の妖怪として知られていますが、それは作り話であり、「蜘蛛」という文字から連想された創作でした。
もともとの土蜘蛛は、ヤマト王権が誕生し、周りに影響力を広げていく過程で、ヤマト王権には従わず、その支配を良しとしない地方豪族のことを指す言葉でした。
「つちぐも」は「つちごもり」から名前の由来があるとされており、ヤマト王権に逆らった豪族たちが蜘蛛と関係があるからついた名前ではありません。
こうした豪族たちは、横穴のような住居で暮らしていたことから、その生活様式を侮蔑する意味もあって、「つちごもり」と呼び、なまることで「つちぐも」という言葉が生まれたと考えられています。
こういった土蜘蛛と呼ばれていた地方の豪族たちは多くの場所に存在しており、各国の伝説を集めた風土記に記されているのでした。
まとめ
アニメ「ダンジョン飯」でマイヅルによって召喚される魔物。
蜘蛛の魔物だと思われますが、彼女が日本を思わせる東方の出身ということで、式神として支配下においている土蜘蛛であると考えられています。
この土蜘蛛、能のお題目にもなっていますが、元ネタは平家物語に登場する、源頼光による土蜘蛛退治をいう話によって、世間一般にも認知されることになったのでした。
が、元ネタの土蜘蛛ですが、天皇を頂点とするヤマト王権が、その勢力を外に広げていく際、反抗的な種族が存在していました。
そしてヤマト王権は歯向かう部族をひとまとめにして、土蜘蛛である、と公式文章に記しています。
つまり、土蜘蛛は王権に対して支配されることを望まない、反抗的な部族すべてを指す言葉として使われていたということです
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