アニメ「ダンジョン飯」でシュローのパーティーのメンバーであったアセビは、ファリンキメラ戦のあと、行方不明となってどこにいるかわからなくなっています。
そのことをマイヅルがシュローに報告すると、「足抜けであろう、捨て置け」と返事をしていました。
この「足抜け」とはかなり古い時代からある単語で、ここでは
-
ある境遇や状況から抜け出ること
の意味で使われています。
つまり、パーティーから出奔した、ということですね。
ただ、シュローたちは日本を思わせる東方の出身であり、日本の武家社会を匂わせる背景を持ち合わせています。
アセビの足抜けは、ただパーティーから出奔した、というより、シュローを主君とする家から抜け出した、という意味合いが含まれているのでした。
では、なぜアセビは足抜けするという決断をしたのでしょうか?
その理由のネタバラシをしていきたいと思います。
アニメ「ダンジョン飯」アセビが足抜けした理由をネタバレ!
アニメ「ダンジョン飯」でアセビが足抜けした理由ですが、いくつかの要因が重なり合ってのものでした。
その中でも一番大きな理由は、彼女自身にかけられている呪いを解くため、というものです。
彼女は物心付く前から、黒魔術によって大猫と呼ばれる魔物の魂を彼女の魂に混ぜられてしまっており、その結果、体の大半が獣人となってしまっていました。
マルシルが黒魔術を使ってファリンを蘇生させたことから、マルシルであれば、アセビにかけられて黒魔術を解除できる、と思いこんで、彼女の後を追いかける決心したのです。
物心付く前から半獣人だったため、見世物小屋で飼われており、シュローの父親に買い取られたという過去を持ちます。
その後、マイヅルに預けられ、教育されたのです、
が、これまでのことから人間不信がひどかったため、マイヅルに対してもシュローの父親に対しても恩義を感じず、なつくこともなかったのでした。
このように、自分のしたいことを何にも優先して行う自己中心的に行動することが多い性格でした。
そして今回のことでマルシルのことを知って、シュローのパーティーにいるよりも、マルシルの跡を追いかけることを決断します。
彼女に黒魔術を解除させるほうが、自分にとって有意義であるという判断のもとに。
日本の武士社会が根付いていると思われる東方の出身でありながら、主であるシュローやしつけ親のマイヅルに忠誠を誓わずに、足抜けを簡単にしてしまう性格は、アセビのこういう過去や背景があったからなのでした。
足抜けした抜け忍はどうなる?
シュローが「足抜けであろう、捨て置け」と返事をしたくらい、足抜けという集団に対する裏切りは、ライオスたちの出身地方よりも、特別視されていた、と考えられます。
日本の忍者物の作品に置いても足抜けや抜け忍といった行動を取った忍者には、恐ろしい制裁が待ち構えていました。
暗殺集団が組織され、草の根を分けてでも見つけ出して始末される運命、というものが常であったのです。
組織の裏切り者として追われる身に
足抜けや抜け忍という存在に対し、組織の裏切り者として示しをつけなければ、今後も同じような行動をしようとする輩が現れる可能性があります。
特に忍者という特殊な技能を持ち、機密情報に触れる機会が多い職業であれば、その情報が外に漏れれば、組織の存在自体が脅かされてしまいます。
と、考えるのが一般的になっていると思いますが、「足抜け」という単語を調べてみると、面白い事実がわかってきました。
「足抜け」という言葉はもともと「足抜き」という言葉からの派生語です。
古くは南北朝時代の作品「曽我物語」の中に見つけることができ、その意味は、
-
足を抜き上げるように音を立てずに歩くこと
の意味で使われていました。
その後、江戸時代に当たる1630年頃の書物「大淵代抄」では、
-
歩を移すこと
その場を抜け出ること
の意味で使われており、それが転じて、
-
ある境遇や状況から抜け出ること
の意味でも使われています。
更に小説家高見順の1938年の作品「人間」の中で「足抜け」という言葉が登場するのでした。
それは、ある境遇から抜け出すという大きな意味から発展するような形で、
-
芸娼妓などが借金を返済しないで逃げること
という意味で使われています。
つまり借金の方に売られた人物が、借金を返済する前に逃げ出すことの意味で使われており、その後、ヤクザなどが所属した組から抜け出すことも「足抜け」と呼ばれるようになったのでした。
そして歴史書の中で忍者について「足抜け」という言葉が使われた書物はないそうなのです。
なぜなのでしょう?
そもそも忍者とは
実は忍者とは大正時代に作られた言葉で、今私たちが忍者だと思っている人たちが活躍した戦国時代などには、忍者という言葉はありませんでした。
乱破、素破と呼ばれた人々がおり、これが当時の忍者であった、という説もありますが、どちらかといえば、情報収集やゲリラ戦法を使う野盗や傭兵の集団といったほうが正しいようです。
忍者の故郷として有名な伊賀上野でも忍者というより、その地方を合議制で治めていた地侍として考えたほうが正しい様です。
山間の盆地という土地柄、農業では食っていけないこと、その当時の日本の中心である教に近かったことから情報の重要性がお金になりやすかったことから、情報収集のための技術が研究、訓練され、今で言うところに忍術になっていったのでした。
冒険者が存在しないとできない足抜け
現在した忍者と考えられる人々は、村や集落で共同生活をして生きていました。
そして今のようにたやすく旅に出られるわけではありません。
よそ者が流れて住み着けるのは、よほどの大都市だけで、田舎で同じようなことをすれば、すぐに見つかってしまい、その土地の人達に常に監視されてしまいます。
つまり足抜けした者がいたとして、そういった者が生活していける場所や就ける職業というものが、とてつもなく限られていた時代だったのです。
足抜けするということは、その後、一生世捨て人になることと同義語であり、ちょっと不満があるから辞めて出ていく、というような軽い気持ちではできることではありません。
一方で「ダンジョン飯」の世界では、迷宮という場所のお陰ではぐれ者たちでもお金を稼げる場所ができています。
迷宮内に住み着いている犯罪者もいるとのことで、そういった場所があることで、生まれ育った社会から飛び出して生きていくことは容易いでしょう。
ある意味、ライオスやファリンも故郷から飛び出しているわけですが、彼らが生きてこられたのも迷宮でお金が稼げる冒険者になったから。
ただし逆を言えば、冒険者は迷宮から離れて生きられないということになるため、アセビが足抜けしたことで、迷宮内で暮らす冒険者になるしかないことが、シュローにはわかっていたのでしょう。
そしてそれが故郷の家にとってなんの脅威にもならないこと。
更にアセビの性格から仲間を作って、という行動は取りにくいことを考慮し、「捨て置け」といったのだと思います。
まとめ
アニメ「ダンジョン飯」でアセビがシュローのパーティーを足抜けした理由のネタバレと、足抜けした抜け忍のその後について紹介してきました。
アセビが足抜けした理由は、彼女にかけられた黒魔術の呪いをマルシルが解けるのでは、と思ったから。
そして彼女の過去の生い立ちからシュローたちに恩義も忠誠も感じていなかったため、自身の利益のみを判断材料にして、マルシルの後をつけたほうが得である、と考えたからでした。
通常、組織を抜け出す「足抜け」は、組織にとっては許しがたい行為であり、暗殺などの報復が待ち受けています。
そうでないと組織を簡単にやめていく人々が多くなり、また組織の機密情報が漏洩してしまう恐れがあるから、です。
ただし、シュローにとってアセビは、故郷から遠く離れた迷宮内で行方不明となっており、しかもアセビが、この後、仲間を作ってシュローの家の脅威になることは考えにくい性格をしていることを知っていました。
さらにファリンキメラによって受けた被害のことを考えると、早急に地上に戻ることを優先したほうが良いと判断し、アセビを「捨て置く」ことにしたのだと思います。
コメント