アニメ逃げ上手の若君の悪党瘴奸とは?野盗との違いを詳しく解説

アニメ逃げ若

ニメ「逃げ上手の若君」において小笠原貞宗に雇われた「悪党・瘴奸」

この悪党とは、鎌倉時代末期から日本史の中に現れる、いわゆるこの時代に登場した新興勢力のことを指します。

アニメの中では野盗のように村々を襲って虐殺を繰り返し、略奪や人さらいなどを行う外道の集団として描かれていました。

おおよそ「悪党」という名前の響きに則した振る舞いですが、

    悪党=野盗

という単純な構図ではないのが、この悪党という人々。

今回は「悪党」について解説を行っていきたいと思います。







アニメ「逃げ上手の若君」の悪党瘴奸は野盗?

アニメ「逃げ上手の若君」に登場する悪党・瘴奸は仲間の手下たちとともに、小笠原貞宗の命令によって諏訪家の領地内にある村々を秘密裏に襲撃していました。

瘴奸の軍事的な才能によって、戦略上重要な拠点を抑えることで、後の戦の際に優位な立場に立つための計算もされた上での行動でした。

が、その襲撃の内容はかなり悲惨なもので、大人の男性は皆殺しにされ、女子供は人身売買でお金に変えるというもの。

まさに彼らの通った後はぺんぺん草も生えない、という表現がピッタリの、およそ武士というよりは野盗といったほうが良い振る舞いです。

確かに「悪党」という響きから、その何ふさわしい振る舞いをしているわけなのですが、では、この時代、多くの悪党が誕生したと言われています。

このような札ばかりを好んで荒らし回る野盗の集団が日本中に発生していたのでしょうか?

鎌倉末期から現れた「悪党」とは?

実は「悪党」という名前は、野盗を表すわけでは有りませんでした。

この「悪党」という呼ばれる様になった理由は、この時代、土地の所有権を認めている公の制度のルールを破って、勝手に所有権を主張し、実力で持って実効支配してしまったからなのです。

簡単に言えば、

    法律を破って人の土地を盗んで、自分のものにしてしまう集団

ということのなります。

これだけ聞けば、野盗と変わりない、と思うかもしれませんが、彼ら悪党が生まれたのは、この当時の時代背景も密接に関わっており、登場するべくして登場した、とも言えるのでした。

土地の所有権を定めていた荘園制度

この時代、奈良時代に始まった荘園制度によって土地の所有権が決められていました。

もともと、土地はすべて朝廷のもので、未開の地を開墾して畑に作り変えても、その畑は開墾した人のものにはなりませんでした。

そのため、開墾が進まずに困った朝廷は、開墾した土地は開墾した人の所有物になるという法律を作ります。

これによって人々は開墾をするようになり、日本全国に田畑が増えていったのでした。

租税が高いために取られた対策

しかし、いくら土地が自分のものになっても、租税は厳しく取り立てられ、場合によっては土地を取り上げられることも有りました。

そこで、その対策として、開墾した土地を寺院や貴族に預ける、という方法が取られるようになりました。

当時、寺院や貴族には税の免除と朝廷の立ち入りを拒否できるという特権を持っていたのです。

開墾した人物は、土地を寺院や貴族のものと手続き状してもらうことで、高い税を払わず、土地を取り上げられることもないという恩恵を受けられたのです。

そして寺院や貴族には、朝廷よりも安い税を納めることで両者が両得できるという関係を気づいたのでした。

所有者と管理者の争い

寺院や貴族は預かった土地まででむいて管理するようなことはぜず、その土地に管理者を雇っていました。

これらの管理者が、他人から土地に対して影響を受けないように自衛したことで武士という階級が形成されていきます。

そして時代が進むにつれ、貴族や寺院よりも地元の武士のほうが力をつける様になってきました。

そしてはるか昔、土地を預かってもらうときに取り決めていた、貴族や寺院に対する税を収めなくなっていくのです。

こういった行動が起きると、貴族や寺院は朝廷や幕府にルールを破ったことに対して訴えを起こします。

そして朝廷や幕府によって、ルールを破ったということで「悪党」として、公式に認められてしまうのでした。


しかしながら、朝廷や幕府に「悪党」と定められたとしても、討伐されないだけの力があればどうってことはありません。

いわゆる、独立国を自分自身で作り上げた、という状態になるわけです。

これが鎌倉時代末期から現れ始めた「悪党」という人たちの詳しい説明でした。

瘴奸は悪党?野盗?その違いを詳しく解説

アニメ「逃げ上手の若君」に登場した瘴奸は、諏訪家の領地を切り取るために活動をしていました。

諏訪家の領地は幕府によって定められたわけですから、そのルールを破って勝手に領土を切り取ろうとしているため、悪党と言えます。

が、悪党は自分の領地を自分勝手に切り取って自分のものにするわけで、自分のものにした後、そこから農作物が徴収できなければ、意味がありません。

また、それも1年だけ、というわけでなく何年も続け、既成事実を積み重ねて実効支配してしまう、というところまでやってしまわないと行けないわけです。


しかし瘴奸は、自分の領土とするべき村々で虐殺を繰り返していました。

これでは、略奪はできても、来年の農作物の収穫は、期待できません。

何より、村人たちから新しい領主として認められることは不可能でしょう。

まさに悪党というよりも野盗としか呼べないような集団だったわけです。


どちらかといえば、瘴奸は中国という大陸に存在していた匪賊といった、盗賊団のイメージで描かれています。

日本には歴史上、地形的な制約もあり、そこかしこを荒らし回って略奪の限りを尽くす盗賊団、といったものは生まれませんでした。

襲撃した先を将来的には自分の領土とする、ということを考えて行動していたわけですので、見境なく略奪や虐殺をするメリットはありません。

力で押さえつける事になったとしても、毎年税を納めるだけの生産力を残しておかなければ、領土として意味がないのです。

この考え方の違いが、悪党と野盗の根本的な違いだと言えるでしょう。

まとめ

アニメ「逃げ上手の若君」で登場する悪党ですが、今私たちが聞いて想像する悪党とはちょっと意味が違います。

「現行ルールを守らない」という意味では、同じですが、詳しく言うと、

    幕府や朝廷が決めたルールに従わず、自分勝手に土地所有権を奪って広げていく

人々のことを「悪党」とよんでいたのでした。









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