アニメ「逃げ上手の若君」で無事、諏訪に逃げることのできた時行。
そんな彼とその郎党にとって、最初の試練は牡丹と呼ばれる牛鬼と説明された巨大な獣を退治することでした。
この牡丹、「山に出没する、人を食べる巨大な牛鬼」と隣国で噂になっていた生き物ですが、その正体については明かされていません。
一体どのような生き物なのか、考察してみたいと思います。
アニメ「逃げ上手の若君」に登場した牡丹はイノシシの化け物?
アニメ「逃げ上手の若君」に登場した牡丹は、その外見からイノシシのように見受けられます。
ただ、イノシシにしてはとてつもなく巨大で、その形態からも完全にイノシシとは思えません。
詳しく観ていくことにしましょう。
牡丹とイノシシの違い
まずは大きさ。
通常、日本に生息するイノシシは、
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体長:オス 110~170cm、メス 100~150cm
肩高:60~90cm
尾長:30~40cm
体重:80~190kg
といったところです。
アニメに登場した牡丹は、体重はわかりませんが、大きさから言えば、通常のイノシシよりも遥かに大きいと感じられます。
またイノシシは下顎から発達した犬歯が伸びて牙のように突き出ているのが特徴です。
が、牡丹のように牙が4本あることは、有りません。
同様に、牡丹の鼻あたりにある6本の突起は、イノシシでは観られることは有りません。
完全に牡丹は、イノシシをベースとしてデフォルトされた外見を持っていると考えられます。
雑食性のイノシシ
戦乱が続く世の中のお陰で、牡丹は苦労せず人間の屍肉にありつくことができ、その味を覚えたため、自らも人を襲って人肉を食すようになった、とされています。
この説明は、説得力があるようで、少し考えるとちょっとおかしい、と感じるのでした。
戦の結果、戦死した人間の屍肉が出ることはわかります。
しかし、それは戦場となった場所でなければなりません。
そして戦場とは、ある程度開けた地形で、多くの人数が展開できる場所となります。
そんな場所は山の中であることは少なく、草原や河原といった地形がほとんど。
牡丹が人の屍肉を食らって味を覚えた、というのであれば、牡丹が、そのような地形に出没していた、ということになります。
山の中だけで活動していたのでは、なかなか戦死した人間の屍肉にありつく機会はなかったのではないでしょうか。
話を食事のことに戻します。
イノシシは雑食性で、動物も食すことがあります。
しかし、メインの食料はたけのこやどんぐりといった木の実。
畑や田圃に出現して稲などの農作物にも被害を出すこともあります。
そして食す動物は、ヘビやカエル、ミミズ、昆虫、タニシ、ネズミやモグラといったもの。
また、動物の死骸を食べる腐肉食を行ったという事例も、世界中から報告されていますが、その殆どがシカ類の遺体だそうで、やはり手に入りやすいということからこのような結果になったことがわかります。
逆を言えば、イノシシが人の死骸を見つけた場合、食べないという選択肢があるとは思えず、躊躇なく食すでしょう。
ただ、その機会がシカと比べれば限りなく、可能性が低いということになる思います。
また、シカや人間といった大きな動物を、あえて襲って息の根を止め、そこから食す、というのは、現実的では有りません。
ただ、可能であれば、あえて人を襲って息の根を止め、その後、食すことは可能ですし、牡丹ほどの巨体があれば、より成功率も上がるのではないか、と考えられます。
牛鬼とは?を詳しくを解説
アニメの中では牡丹のことを牛鬼と表記していました。
で、牛鬼について調べてみると、とても興味深いことが分かったので紹介しておきます。
牛鬼は日本古来から伝承されている妖怪で、牛の頭に鬼の胴体、または頭が鬼で胴体が牛という姿をしていると伝えられています。
ほとんどの伝承において、残忍で獰猛な性格。
毒を吐くことができて、人を食い殺す、となっています。
牛鬼の伝承は西日本が中心であり、主に海岸にあらわれて浜辺を歩く人間を襲う、とされています。
その他に山間部、森や林の中、川、沼、湖にも現れるとされていて、特に淵に現れることが多いそうです。
近畿地方や四国には「牛鬼淵」や「牛鬼滝」という地名が多く残っていて、淵に現れるという伝承の裏付けになっているのでした。
日本各地に残る牛鬼伝承を探ってみても信州が舞台となった話はないようです。
完全に作者の創作で、「逃げ上手の若君」に取り入れられたことが伺いしれます。
まとめ
アニメ「逃げ上手の若君」に登場した牡丹について考察してみました。
イノシシのような外見ですが、イノシシでは有りえない4本牙や6つの突起物を見ると、イノシシを原案にした創作だと思われます。
また、イノシシは雑食性で屍肉を食べないわけでは有りません。
がしかし、人の屍肉を属したことで人を襲うようになった、というのは牡丹が人を食料として遭遇する確率を考えると、ちょっと飛躍しすぎているような響きを感じてしまいます。
「人も襲うようになった」というのが正しい表現ではないでしょうか。
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