映画「ノマドランド」で主人公ファーンが多くのノマド生活者と知り合うきっかけになった「砂漠の集い」イベント。
そのイベントを主催しているのはボブという人物でした。
ファーンだけでなく、多くのノマド生活者に、ノマド生活のノウハウや生活の知恵を伝授し、個人的にも相談に乗っているリーダーです。
そんなボブを演じた俳優はいったい誰なのでしょうか?
今回はボブ役を演じた人物の詳しいプロフィールを紹介していきましょう。
映画ノマドランドでボブを演じたのは俳優でない本人!
実は映画「ノマドランド」でボブを演じた人物は俳優ではありませんでした。
本名ボブ・ウィルスという、ノマド歴25年以上の一般人だったのです。
それでは、このボブという人物がどういった経歴の持ち主で、いかにノマド生活者になったのか、といった背景、映画に参加することになったいきさつなどを見ていくことにしましょう。
本名ボブ・ウィルスのプロフィール
ボブ役を演じた人物は、本名ボブ・ウィルスという一般人で、俳優ではありません。
調べることのできた、彼の分かっている情報を順に詳しく紹介していきます。
ボブの出身や家族情報・ノマド生活を始めたきっかけ
ボブはアラスカ州のアンカレッジ出身です。
生まれは1955年もしくは1956年であることが分かっています。
彼の父親が働いていたスーパーマーケットに、ボブも職を得、一緒の店舗で働いていました。
が、父親は定年退職をして2年後に亡くなってしまいます。
その時、人生のほとんどを働き詰めで、その他にはこれといった楽しみのなかった父親の生活を、自分は歩みたくない、と思ったそうです。
彼は結婚し、二人の息子達に恵まれましたが、1995年に妻と離婚をしなくてはならなくなります。
子供の養育費に、元妻の生活費を仕送りしなくてはなくなり、スーパーマーケットの給与ではとても賄えず、生活は困窮してしまいました。
そこで、ある日、中古のバンが売りに出されていたことがきっかけで、家ではなくバンで寝泊まりする生活を考え付きます。
こうしてアパートの大家に部屋の退去を伝え、ノマド生活を始めたのでした。
ノマド生活者となって体験した充実した生活
「アパート代を支払わなくていい」という生活で、ボブの経済状態は大幅に改善されます。
養育費や生活費を送っても十分生きていけるだけのお金が残ったのでした。
しかし、家ではなく車の中で寝泊まりする生活という境遇に、最初はショックを受け、精神的にきつく、夜な夜な泣きながら眠ったそうです。
ですが、そのうちノマド生活にもだんだんと慣れ、しかも生活費が以前ほど必要と無くなったことで、早朝から夜遅くまで目いっぱい働かなくてもいいことが分かってきました。
そのため、休みを取る余裕にも恵まれ、その時間は息子たちと一緒に過ごすことに充てて、家族の絆を深めていったそうです。
ちなみにボブは6年間のバンでのノマド生活の後、とある女性と知り合い、二度目の結婚をしています。
そしてそれを機にノマド生活を辞め、新しい奥さんと家での生活を始めたのでした。
「砂漠の集い」モデルとなった「ラバー・トランプ・ランデブー」
2005年のある日、ボブは車中生活を送っているシングルマザーと3人の子供たちが、気温の低い時期に車の中で寝ているのを目撃します。
この光景にショックを受け、自分自身にはこういった境遇の人たちに何かしてあげられることはないのか、と考えた結果、6年のノマド生活で得た知識と経験を広めるホームページ「cheaprvliving.com」を立ち上げたのでした。
(今現在、休止中)
ボブ自身はその後、妻と一緒にノースカロライナ州に引っ越すことになります。
が、そのころになると、結婚生活のストレスや家の中で住む生活のわずらわしさに悩まされていることに、はっきりと気が付くようになっていました。
結局、2度目の結婚も離婚という形で終わりを迎え、それを契機にボブはバンやキャンプカーによるノマド生活を再開させることなったのです。
映画の中で登場した「砂漠の集い」
シニア層が多い、ノマド生活者が一堂に会し、交流を深めるイベントでしたが、このイベントはボブが始めた「ラバー・トランプ・ランデブー」をモデルとしています。
2010年に記念すべき一回目が開かれましたが、内容はまさに映画の中で紹介されたように、ノマド生活のためのノウハウや生活の知恵を交換し、互いの交流を深めるイベントでした。
この2010年のイベントでは45人の参加者でしたが、2018年には3000人を超え、翌2019年には10,000人を超える参加者が集まりました。
今では「ラバー・トランプ・ランデブー」は世界で一番参加者の多い、ノマド生活者のためのイベントになっています。
イベントでシェアされるものとして、
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・町や都会で目立つことなく駐車して寝泊まりする方法
・個人でできる車の修理
・太陽電池の設置方法
・歯医者や眼医者の治療費が安い地域情報
等があるそうです。
また、映画の中にあったように、それぞれのノマド生活者がいらなくなったものを交換したり、分け与えたりする市も開催されています。
映画に出演することになったきっかけと男優になった感想
映画「ノマドランド」は2017年の発表されたノンフィクション小説「ノマド:漂流する高齢労働者たち」と原作としています。
この小説の中にもボブは登場しますし、その作者であるジェシカ・ブルーダーも執筆に際するインタビュー等でボブととても親密な友人となったのでした。
そしてクロエ・ジャオ監督による映画化の話が持ち上がった際、ジェシカを通じてボブとクロエは知り合うことになります。
クロエ・ジャオ監督は、俳優でない一般人を本人役として映画に出す手法を、これまでに撮影・発表した2作品で、すでに行ってきており、「ノマドランド」でも同様の手法を用いることにしていました。
そのため、ボブにも映画出演の話がなされ、ボブもそれに快諾して、映画の出演が実現したのです。
映画の撮影について、難しさなどはなかった、とボブはインタビューで答えています。
というのも、映画内の役はボブ本人であり、普段ボブがしていることをファーン役のフランシス・マクドーマンドに対して、するだけでよかったからでした。
「砂漠の集い」では、普段からしているノマド生活者としてのノウハウをしゃべるだけで、セリフを覚える必要はありませんでしたし、映画のラストでファーンと話している会話も、彼自身が体験した昔話や、ノマド生活に対して普段から思っていることを話すだけだったのです。
ただし、ファーンとの会話のシーンは台本のようなものがあったそうですが、昔から物覚えは得意でないうえ、年齢というハンディキャップもあったので、結構不安だったそうです。
しかし、作り話を覚えて話すわけではなかったので、このトピックに関して自分自身のことを話すだけで良かったため、一語一句間違わずに台本通りに話せたわけではなかったけど、おかしなことを言っているわけではなかったので、心のどこかで安心感はあったそうです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
映画「ノマドランド」でボブ役を演じたのは自身も20年以上のノマド生活者であるボブ・ウィルスという本人でした。
現実のボブも映画の中で登場したように、「砂漠の集い」モデルとなった「ラバー・トランプ・ランデブー」を主催し、他のノマド生活者の助けをして交流の場を提供しています。
「cheaprvliving.com」というサイトでノマド生活者の役に立つ情報を発信し、ユーチューブ動画も多数、アップしているのでした。
今現在、ボブは他のノマド生活者のように季節労働をしなくとも、生きていけるだけの収入があり、人生の100%を自身と、他のノマド生活者の助けのためだけに生きているのです。
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