映画ワンスアポンアタイムインハリウッドのエンディングが意味するものとは?を考察!

映画

映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」はクエンティン・タランティーノ監督が自ら脚本を書いた映画です。

1969年のハリウッドを舞台とし、チャールズ・マンソン・ファミリーが起こしたシャロン・テート殺人事件をヒントを得て、映画化されました。

が、シャロン・テート殺人事件を映画のストーリーに取り入れてはいるものの、映画のエンディングには、実際に起きた結末とは違ったものを用意しています。

今回はクエンティン・タランティーノ監督が実際に起った事件を元ネタにしながら、エンディングを架空の話にしてしまった理由について、考察していきたいと思います。







ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドの時代背景

この映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」は1969年のハリウッドで起こっていた事件をベースにしています。

だからこそ、この頃のハリウッドの事情を知っておかないと、特にリックに感情移入がしにくいかと感じました。

そしてそのことは映画のエンディングにも関連していると思いましたので、簡単にこの頃のアメリカ、そしてハリウッドとそこで撮影される映画について解説をしておきます。

第二次世界大戦が終わり、アメリカにたくさんの若者が帰ってきます。
そして彼らが新しく家庭を持ち、その結果、ベイビーブームが起こるのでした。

アメリカ経済も順調に発展していき、多くの中流階級が誕生します。

彼らのステイタスとしてマイホーム、自家用車、テレビや冷蔵庫と行った家電を持つことが成功の証となっていきました。

これにより、それまで娯楽の中心であった映画館が下火となり、自宅でテレビを見ることのほうが好まれるようになります。

このことは映画撮影をメイン産業としているハリウッドにとっては、大きな影響を与えられた時代の変化の一つでした。

この頃の映画やテレビでの人気のジャンルといえば西部劇でした。

主人公のリックのように、西部劇ドラマのシリーズ物の主人公を演じる俳優がスターとして認知されていたのです。

リックがテレビドラマの主人公を演じていた頃は、男臭いくらいのハンサムな俳優が好まれていました。

が、1960年代後半になってくると、大衆の嗜好に変化が現れ、髪の長い中性的な俳優に人気が集まりだします。

そういった俳優が主人公を務める様になると、それまで主人公を演じていた俳優は、自身のドラマが打ち切られ、新しく始まった西部劇ドラマにゲストとして参加するようになります。

それは大概、リックが映画の中で演じていたように、悪役のボスというような役どころでした。

かつての人気がなくなり、大衆から忘れ去られてしまうという恐怖を感じ、リックのように酒に溺れたり、最悪のケースでは自殺をしてしまった俳優もいました。

なんとか活路を見出そうとアメリカを離れ、ヨーロッパに活躍の場を移して成功した俳優もいます。

リックの再ブレイクストーリーは、そういった俳優をモデルにしているのでした。

一方でリックのようなかつての人気者を脇に追いやり、ハリウッドの新しい人気者となったのが、ポランスキー監督やその妻の女優シャロン・テートでした。

つまり1969年という年は、ハリウッドにおいてまさに世代交代がなされていた時代、といっても過言ではない時期だったのです。

実際に起ったシャロン・テート事件は?

映画の中でも語られていますが、おさらいとしてシャロン・テート殺人事件が起こった一連の流れも簡単に紹介しておきましょう。

チャールズ・マンソン・ファミリーとは?

チャールズ・マンソン・ファミリーとはチャールズ・マンソンが作り上げたカルト集団のことを言います。

このチャールズ・マンソンは売春婦の母親のもとに生まれましたが、実の母親の育児放棄、祖父母や親類のもとをたらい回しにされ、最終的には孤児院に入れラるという悲惨な幼少時代を過ごしました。

その結果、9歳のときはじめて犯罪に手を染めてから33歳までの間、そのほとんどを刑務所で過ごすことになります。

出所後、当時アメリカの若者の間で流行していたヒッピー文化を利用し、家出した少女たちを薬物を用いて洗脳。そうした少女たちを使って男性を誘惑させ、「ファミリー」という集団生活を始めたのでした。

ヒッピーとは?

ヒッピーについて簡単に解説すると、それまでの伝統や制度、規則など主流派の価値体系を否定し、自由に生きようという考え方です。

特にアメリカで発生したこともあり、それまで人々に価値観を強要し続けてきた保守系キリスト教の教えに反発し、東洋やインドの思想に傾斜していったり、反体制思想や左翼思想、自然回帰的な集団生活を目指すグループが多く生まれました。

特にこの時代、アメリカはベトナム戦争で若者をベトナムの戦場に送っていましたので、それに反対するのもヒッピーが行った大きな運動の一つです。

その他に、自由は性交渉、大麻などの薬物の使用を進んで行うことにも特徴があります。

そういった考えに深くのめり込んだ若者たちは、ヒッピーだけが自由で愉快に暮らすユートピアの建設を目指して、ヒッピー同士だけので集団生活を送っているのでした。

シャロン・テート殺人事件が起こる前

このようなヒッピーの考え方を利用して、自分に都合のいい集団生活の場を作り上げていったのがチャールズ・マンソンです。

ヒッピーはそれまで当たり前と考えられていた規則や制度を無視して自由に生きることに重点を置いていましたので、怠惰な集団生活を送ることは、大いに家出をしたヒッピーたちを引きつける魅力になっていたのでした。

さらに彼はオカルト的な考えにのめり込んでおり、スピリチュアルな事柄に傾倒しているヒッピーたちをより惹きつけます。

やがて世界の破滅が訪れるが、自身が救世主となり、彼を信じる者達だけが救われて、破滅の後に現れるユートピアに行ける、という話をファミリー内に信じ込ませたのでした。

それはヒッピーが好んで使用する薬物を使っての洗脳へと繋がり、やがてファミリーのメンバーはチャールズ・マンソンが指示をするだけで、なんのためらいもなく犯罪を犯す集団を作り上げることになったのです。

実際のシャロン・テート殺人事件

チャールズ・マンソンはミュージシャンでもあり、彼は音楽での成功を目指していました。

数人の著名な音楽家とも知り合いで、ビーチボーイズのメンバーの一人も含まれています。

そんな音楽関係の知り合いの一人に音楽プロデューサー、テリー・メルチャーがいました。
チャールズ・マンソンの証言ではテリーがチャールズ・マンソンに音楽デビューの話を持ちかけたものの、途中で話を反故にしたそうです。

一方でテリーの証言では、チャールズ・マンソンの歌は特別なものでもなんでもなく、デビューの話はしたこともない、となっています。

どちら本当かはわかりませんし、それほど重要でもありません。

が、重要なのはチャールズ・マンソンがテリーに嘘をつかれた、と信じてしまったことです。

チャールズ・マンソンはその復讐の機会を狙っており、とうとうそれを実行すべく4人のファミリーメンバーをテリーの家に送ります。

が、そのときにはテリーはその家から引っ越しており、その後の住人がポランスキー監督とその妻のシャロン・テートでした。

4人が家を襲撃した際には、ポランスキー監督はロンドンで次の映画の脚本を執筆中で不在でした。

妊娠6ヶ月のシャロン・テートと友人3人が在宅しており、チャールズ・マンソン・ファミリーのメンバーによって無残に殺害されてしまったのです。

事件後の話

事件後、警察は犯人の特定が出来ないまま、チャールズ・マンソンは別の殺人事件を起こさせます。

この事件でも、チャールズ・マンソンは自ら殺害には手を出していませんでしたが、指示を出したとしてシャロン・テートの事件とともに殺人共謀罪で逮捕されました。

死刑判決が出たにもかかわらず、執行前にカリフォルニア州で死刑制度が廃止されたため終身刑となり、2017年に死去するまで12回仮釈放の申請をするも、すべて却下され、48年間ずっと獄中で人生を過ごしていたのでした。

エンディングの意味を考察

映画の中では、テリーの家だと信じていたファミリーメンバーが、シャロン・テートの家の間で真夜中に車のエンジンをかけたまま停車していたことで、リックに怒鳴られて退散します。

リックにしてみれば、かつて人気に陰りが見えた際、経済的にも豪邸を維持できなくなる可能性があったことがトラウマになっていたようで、家を守るという行為がオーバーリアクションになってしまうのではないでしょうか?

いかに真夜中にその地域の住人とは明らかに違うタイプの人達が家の前にいると言うだけで、あそこまでヒステリックに怒鳴りつける必要はなかったのでは、と思うのです。

それをあそこまで怒鳴りつけてしまったのは、リックが家を失いかけたということを未だに恐怖を感じているから、と考えてしまいます。

一方で一度は退散したものの、その後、リックのことに気がついたメンバーは、子供の頃にリックが主演として出演していた西部劇で人を傷つけることを学んだのだから、そのことを実行できることを見せるためにリックを狙うことにします。

かなりぶっ飛んだ理屈で動機を決めていますが、四六時中薬物でラリっているとそんな訳のわからない思考をするようになるようですね。

ところが室内に侵入してみるとクリフと彼の飼い犬がいるだけです。

丸腰のクリフに武装したメンバーたちは勝ち誇っていますが、クリフは飼い犬とともにメンバーたちに反撃し、全員を痛めつけるのでした。

一人は錯乱したまま、プールのあるデッキに表れてリックを驚かせ、リックによって火炎放射器で駆除されます。

やがて警察や救急車もやってきて、事情徴収を行ったり、傷ついたクリフを病院に連れて行ったりしています。

襲撃した3人のメンバーについての安否は、はっきりとは述べられていませんが、黒いかばんを運ぶ担架が映像の中に映っていましたので、少なくとも一人は亡くなられたように見受けられました。

たとえ生きていたとしても、かなりのダメージが体に残ってしまうのではないでしょうか。

同じく傷を負ったクリフも救急車で運ばれます。
が、ナイフが突き立てられた箇所は臀部に近かったし、担架の上で元気に話しをしているところを見ると命に別状があるとは思われません。

そんな騒動が気になったのでしょう、シャロン・テートの友人であるジェイ・セブリングが様子荷を見に来ますが、そのことでリックはシャロン・テートと知り合うこととなり、彼女の家に招待されるのでした。

これは、今まさにハリウッドで起こっているテレビ・映画俳優の世代交代の代表的な二人が映画の最後で友人となる、という演出で映画を終えています。

かつてはテレビドラマで主役を演じていたものの、時代の流れとともに人気が落ちた結果、なんとかその流れにしがみつこうとしているリック。

一方で、時代の寵児として今まさに絶頂期を迎えようとするポランスキー監督やシャロン・テート。

そんな対比される2つのグループのそれぞれの代表ともいっていい二人が、手を取り合ってこれから友人になるのであろう、というシーンで映画タイトルが浮かび上がり、映画が終わるのでした。

この最後に映画のタイトルが現れるという手法を用いることで、全てがハリウッドで昔々に起こった物語ですよ、ということを強調させ、つまりはすべてがおとぎ話です、といっているように感じました。

クエンティン・タランティーノ監督自身8歳になった1971年にロサンゼルスに引っ越してその当時のカルフォルニア州の雰囲気を自分の目で見ていますし、そのときに見聞きしたハリウッドの移り変わりを、そのまま映像として再現してみたかったのでしょう。

そして、チャールズ・マンソン・ファミリーの犠牲者にならなかったのであれば、シャロン・テートもその後、同年代の俳優であるロバート・デ・ニーロらのように、今でも銀幕の中で活躍していたかもしれません。

今でこそ、チャールズ・マンソン・ファミリーが犯した凶悪犯罪の犠牲者として歴史に名を残してしまっているシャロン・テート。

そんな彼女の不憫を思うと、もしも、悲劇に見舞われなかったのであれば、と想像して、それまでのテレビや映画界を引っ張ってきていた俳優たちとの交流を広めていったのではないかという想像を膨らましたくなってしまうのも、わかる気がします。

クエンティン・タランティーノ監督はハリウッドのトップスターの世代交代の時代を描き出し、その世代交代がリックとシャロン・テートが最後に知り合うことで、無事に行われた、ということを描きたかったのではないか、と思うのでした。

考察のまとめ

映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」は1960年代後半におこったハリウッドでの世代交代という時代を描いていると感じました。

そして1969年のシャロン・テート殺人事件をエンディングにもってきて、しかもその結末を完全に変えてしまうことで、世代交代がスムーズに行われていったことで、クエンティン・タランティーノ監督が作り出したおとぎ話の世界の中の出来事として、ハッピーエンディングとしています。

凄惨な殺人事件としてではなく、犯人を返り討ちにした武勇伝としたことで、これからの新しいハリウッドスターたちは輝かしい未来が待っていることになり、また彼らに主役の座を奪われた過去のスターたちは、別の場所を主戦場として再びスタートして返り咲いています。

大きな時代の流れの中で、それぞれがそれぞれのハッピーエンディングを迎えることが出来た、そんな映画の終わりにしたかったからこそ、事実とはまったく異なるエンディングを用意したのだと思います。

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