ネタバレ感想 1 豪華な俳優に人気小説が原作なのに…
人々の主演がエマ・ワトソン、トム・ハンクス。原作は人気小説で面白いと評判。
なのに映画にしたらこんなにも、ぱっとしないのはなぜなんでしょう?
小説の中の世界で、非現実的であっても受け入れられるけど、映像としてとなると、
ちょっと説得力というか、主人公のメイがサークル社の内部のことを受け入れる過程が
不自然だからでしょうか?
実在しない会社ですが、このサークルという会社、あまりにも社員のプライベートまで
踏み込んでくる、まるでカルトみたいな世界で、異様でした。
会社の寮に寝泊まりし、仕事をしていないときまで会社の敷地内に用意されたアクティビ
ティに参加することが当然、といわれ、病気の両親の介護が必要だからというと、その
両親にまで手を回して、介護をしなくてもいい状態を作り出し、会社に残るようにする
のって、正常な会社なのって思ってしまいます。
主人公のメイだって、一流企業に務めることができて、そのステータスを手放したくないが
ために仕事をしますが、勤務時間以外でも会社にいるべきだって言われたら、そんなの
自分が決めることだから口出ししないでほしい、と思ったはずです。
なんか、大きなコミュニティを形成しているのはいいのですが、その中で色々な価値観が
きちんと尊重されているという感じがせず、こうであるべきという一方的な価値観を
ほとんどの社員が盲目的に追従している感じがして、とても気分が悪くなりました。
例えばマーサーが作った鹿の角のシャンデリアだって、鹿の角が1年に一度、抜けることを
誰も知らない事に驚きでしたが、角を手に入れるために多くを殺して作ったといい、それを
理由に匿名でマーサーに嫌がらせをしているという事実。
まるで魔女狩りで、大半がネガティブなことを発信している中で、肯定的なことをいうと
言ったその人物までも不条理な攻撃にさらされる可能性があるという、全くいじめの世界
そのものだと感じました。
そういった、ネットの匿名性を悪用した中傷が問題になっているのに、あんなにもネットの
世界でほとんどシェアを独占しているほどの大企業が、何の対策もできていないことが
おかしいと思ったわけです。
ゆくゆくは政府とタイアップして選挙投票までもできるようにするというくらいの技術が
あるはずなのに、ネットの匿名性の悪用という問題すら解決できていないのは、あまりに
説得力が欠けると思いますし、そこら辺でリアリティが無くて映画に入り込むことができ
にくいのではないでしょうか。
ネタバレ感想 2 プラバシーを完全に放棄することが幸せになるのか
メイはカメラを付けて24時間、365日ずっと自身の行動をネットで公開します。
自身のプライバシーを完全に放棄したわけですが、その動機が夜の海で監視カメラに命を
助けられたから、ということらしいです。
でもあの出来事って、たまたまメイがカヤックから落ちて溺れそうになったから、助け
られたという結果になりましたが、無事にカヤックをし終えていたら、監視カメラで
不法侵入がバレて警察のご厄介になっていたかもしれません。
そうなったとしても自分のプライバシーを完全に放棄する決断をしていたのか、という
疑問が出てきてしまいます。
そういう意味では人々のメイがボランティアで世界へ自分を公開することを決心した出来事と
して、少し説得力が足りないと思わざるを得ませんでした。
たしかに現実社会でもネットに不用意に上げた写真などから自分の住居住所がバレたり、
思ってもみない非難を受けることになったりしています。
子供の通う幼稚園など、園内で写真を撮ることは原則禁止、自分の子供なら例外的にOKです
が、他の子供が写り込まないようにすることは当然ですし、先生もそのことにとても注意を
払っています。
そういった流れがもはや当たり前である一方で、映画のように自ら24時間、自分のことを
世界にさらけ出してもいいと感じて、行動に移すことはあまりにかけ離れていて、メイの
気持ちがわからずに、困惑してしまいました。
そんな状態で視聴していては、感情移入することは決してできないし、マーサーの悲劇も
ちょっと考えれば予想がつかないのか、と腹立たしささえ、感じてしまいました。
そんなことがあってもネットでのフォロワーに慰められて、公開することを続けるという
のも、意味不明です。
というより、あんなことがあった後、たくさんいるフォロワーがただただメイを慰めて
くれていただけなら、そう感じるのもわかりますが、マーサーが追いかけられて嫌がって
いる映像が流れている時点で、「止めるべきだ」と感じた人が全くいなかったような
描かれ方に納得がいきませんし、あの悲劇が起こった大部分の責任はメイ自身にあると
僕は感じましたので、同じように感じたフォロワーが、それを責めるようなコメントを
まったく残していないことにも、作り話感が全面に出ていたような気がして興ざめでした。
ネタバレ感想 3 ラストについて&小説はおもしろいらしいので
映画の終わり方についても十分には納得できかねる終わり方だったと感じました。
メイは本当は何がしたかったのか、分からないというのが素直な感想です。
イーモンとスタントンが秘密を隠していたことは、タイに連絡した時点で初めて
わかったことですので、メイがサークル社に戻ると決めた理由は彼らの矛盾した行動
に対する怒りではありません。
話の流れから察するに、世界とつながっている存在であることは、正しいことなので、
それが悪用されることなく、正しく使われるようにしたい、というのが会社&ネットに
戻る動機だと理解していました。
そんな中で、世界と秘密が一切ない関わりを奨励していたトップの二人が、じつは
裏でいろんなことをやっていたとわかったので、それを罰するために公開に踏み切った
という流れだと、僕は理解しています。
人々のそうなるとマーサーの死に対する復讐は、全く存在しない感情だと言わざるを得ません。
どちらかと言えば、サークルのシステムを正しく使い、世界をより良くしていけることを
証明することが、マーサーに対する謝罪になると考えていたように思えます。
ですが、マーサーはサークルのようなシステムとそれに依存した人々とは一切関わり
たくないというスタンスだったと思っているので、これはメイの勝手な自己満足でしか
ないと、僕には思えるのです。
それでイーモンとスタントンの秘密を暴いたところで、僕にはどうしてもスッキリ感は
えられませんでした。
そんな小さいながらもいくつも感じたフラストレーションを抱えて、小説のことを
思い出しました。
映画化されるほどなので、多分面白いのだろうと思ったのです。
実際に小説についても感想を調べてみると、高評価のものばかりが目立ちます。
ラストが映画と一緒かどうか、読んでいないのでわかりませんが、ほとんどが考えさせ
られるという感想でしたので、似ているようで、もっと説得力のある終わり方をしている
と思われます。
時間があれば一度読んでみたいと思いました。
全体的にメイのもっと詳しいバックグランドが書かれていて、そんな背景を持っていた
からこそ、今までと全く違う生活をおくることになるサークル社の中の生活にのめり込んで
いき、遂には自身を世界に公開したという、納得できる展開になっているのではないかと
期待できます。
とにかく映画は、期待してみた割には、大したことのない映画だったという感想しか
もてません。
地元で公開されてから数週間で映画館の中から消えて、不思議に思っていましたが、
その結果は納得できる、その程度の映画だったなぁと思えたのでした。
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