ネタバレ感想 1 ハクソーリッジはどこにあるの?本当に激戦区?
映画「ハクソーリッジ」はスピルバーグ監督の「プライベート・ライアン」以来の、いや
それ以上の戦闘シーンだと思いました。
本当に例えでなく、銃弾が雨あられと降り注いでいますし、あんな中で生き残れるのは
もはや奇跡だな、と思うくらいの激しさで、兵士の一人が怖気づいて動けなくなって
いましたが、まさにその通りだと思いました。
アメリカの映画ですので、ともすると戦勝国のアメリカを正義の味方、相手国の日本兵士は
鬼悪魔のような典型的な敵役、となっているのでは、と心配していましたが、そんな描写は
なく、手強い敵として描かれていたことには満足がいきました。
この「ハクソー・リッジ」の戦いは、日本では前田高地の戦いとして知られています。
今回の映画公開で戦地跡への観光客が増えているというニュースも出ていました。
戦況としては中西部から沖縄島に上陸したアメリカ軍が首里を攻略するに当たって、この
高田高地に構えられた日本軍陣地を奪取する必要があり、逆に日本軍にとってアメリカ軍の
侵攻を食い止めるための陣地帯の中心的重要な場所でした。
しかしここを守る日本軍は、他の場所で負けて撤退してきた部隊で、アメリカ軍との戦力
差は絶望的です。
それでも映画にあったように地形を最大限に利用し、戦車などを使えない場所を主戦場と
することで、アメリカ軍に大きな損害を与えることができました。
すなわち崖の上までは簡単に登れるものの、登った後、身動きがとれないように火力を
集中させて討ち取るような陣地に仕立て上げたのです。
ですので、アメリカ軍はこの前田高地を奪取するのに大きな損害を払い、9日間もかかって
ようやく成功しています。
これはやはり、数の差で押し切られたといえると思いますし、日本軍は援軍は愚か、
補給物資も満足に受けてれていないと思われます。
ただし、映画の中での誇張だとは思いますが、デズモンドが1日んで75名もの負傷者を
救出した、というのは非現実的で、おそらくは数日に渡る救出劇の結果、トータルで75名
という数字になったと思われます。
ネタバレ感想 2 五体満足のときはそのありがたみがわからない
映画の前半で、デズモンドが武器をさわれないと、訓練でも頑なに信念を貫き通した姿は
素晴らしいと思います。
なかなかあそこまでメンタルが強い人はいないでしょう。
部隊の仲間たちもはじめはその特異な振る舞い、軍隊に入って武器をさわれないという
考えに驚き、軽蔑し、やがてそれはいじめに発展していきます。
その心理状態は非常にわかりやすいのですが、戦場で負傷してはじめてデズモンドの凄さが
分かるのは、僕らでも健康のときには全く使用しないし、役立たずの代物が、熱を出して
体がだるくなってしまってから、その存在にとても感謝してしまうのと似ていると思います。
訓練中にあれほど威勢がよく、デズモンドをからかっていた輩も、怪我して歩けなくなり、
唯一の助けは衛生兵だとして「おいて行かないで」「見捨てないで」と泣いて懇願する
のを見ると、こうなることを想定して、もっと前からデズモンドを認めていればよかった
のに、と思ってしまいます。
部隊が撤退した後も一人前線に残り、負傷兵を敵味方分け隔てなく助けて回った後、
誰もが彼の存在に対して軽蔑したりすることはなくなりました。
夜を徹して負傷兵を助け、崖下に降りて仲間の間を歩いているシーンで、デズモンドを見る
兵士の表情は驚きがほとんどのようでしたが、つまり誰もデズモンドの能力を予期して
いなかったということで、尊敬の念も含まれていたと思います。
ネタバレ感想 3 降伏すると見せかけて爆弾を使うのは自爆テロと一緒
戦況が同仕様もなくなったのちに、降伏をした日本兵士が、スキを見て手榴弾を使って
「死なばもろとも」攻撃をしているシーンが有りました。
おそらく実際にもあったことでしょうし、当時の日本人への教育からそういう行為に走る
ことは不思議ではないと感じました。
ただ、こういうことをすると、今後アメリカ兵は日本兵が降伏をするといっても、自爆テロを
するのではないか、という疑問を持ってしまうため、日本兵の降伏を信じなくなって
しまいます。
そうなると、本当に降伏したい兵士がいたとしても、信用してもらえず、その場で
処刑されてしまう可能性が高くなるでしょう。
ある意味、降伏を偽装しないというのは戦争中の暗黙の了解だと思います。
これを破る日本兵は、敵であるアメリカ兵から忌み嫌われても、尊敬をされることは絶対に
ないでしょう。
敵を一人でも多く倒したい、という気持ちはわかりますが。
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