映画「ジュディ 虹の彼方に」は映画「オズの魔法使い」で主役のドロシーを演じて大成功を収めた子役ジュディ・ガーランドがどん底に落ちた境遇から復活をするまでを描いた伝記作品です。
ところで「オズの魔法使い」は1939年に公開されたミュージカル映画の古典ですが、実はこの映画にまつわるいろいろなトリビア&裏話があるのをご存じでしょうか?
今回はその映画「オズの魔法使い」に関するトリビア&裏話を紹介していきたいと思います。
映画「オズの魔法使い」のトリビアと裏話
映画「ジュディ 虹の彼方に」でジュディ・ガーランドが酒や薬物に苦しめられていた描写がありましたが、実はその発端は映画「オズの魔法使い」にあったことが分かっています。
そんな1938年10月から1939年3月までの撮影期間中の出来事や裏話、原作の児童文学小説「オズの魔法使い」に関するトリビアなどを見ていくことにしましょう。
主役のドロシーの名前の由来に関するトリビア
まずは原作の児童文学小説としての「オズの魔法使い」についてのトリビアです。
執筆したのはライマン・フランク・バームで20世紀を代表する童話作家で、オズの魔法使いを執筆する前からすでに成功していました。
そんな彼が自ら子供たちに語って聞かせた物語をもとに執筆したのが「オズの魔法使い」ですが、その時、主人公の少女の名前をドロシーと名付けることにした理由は、悲しい理由があったのです。
それは、妻方の親類で女の子が出産され、ドロシー・ルイーズ・ゲイジと名づけられてのですが、生後5か月で夭逝してしまったことでした。
姪の死に悲しみ、同じく深い悲しみに落ち込んでいる親類家族を慰めるためもあり、主人公の名前を亡くなった姪と同じドロシーとすることを決めたのです。
臆病なライオンの衣裳に関するトリビア
臆病なライオンの衣裳に関するトリビアですが、やはり1938年という時代ということもあるのでしょう。
俳優が扮するライオンの見た目が、よりライオンに近づくようにと作られた衣装、その素材は何と本物のライオンの毛皮を素材として作られたものでした。
今では考えられないことですが、毛皮に関する動物愛護の考えなどはまだ存在していなかったこともあり、このような決定がなされたのだと思います。
さらに興味深いのは、このライオンの衣裳、2014年にオークションにかけられ、300万ドルで落札されたということでした。
これはインフレーション計算で今現在の価値に換算すると333万ドル、2014年の円とドルの為替レートが102円から120円の間で推移していますので、日本円の価値としては3億3千万円から4億円弱といったところでしょうか。
命にかかわる裏話、雪の代用にアスベスト!?
ドロシーとその一行がエメラルドシティーを目前として、ポピーのお花畑を通り抜けようとしたとき、西の悪い魔女のせいでドロシーとライオンが魔法の眠気に襲われて寝てしまうシーンがあります。
案山子とブリキの木こりが途方に暮れて助けを求めていると、北の良い魔女の助けで、雪が降りだし、そのことでドロシーとライオンは目を覚ます、という流れになっていました。
この雪が降るシーンですが、1938年ごろの撮影では雪を表現するための小道具として、実は普通に、アスベストが使われていたのです。
今でこそ、発がん性物質として広く認知され、建築資材としてだけでなくどのような使用に対しても厳しく規制がされているアスベストですが、そのことが認知される前であった「オズの魔法使い」の撮影時には、だれも何の疑問も持たず、普通に使われていたのでした。
ブリキの木こり役に関する裏話
ブリキの木こりを演じたのはジャック・ヘイリー。
しかしもともとは別の俳優がブリキの木こりを演じる予定でした。
そしてその予定だった俳優は、というと案山子を演じたレイ・ボルジャーだったのです。
もともとは、レイ・ボルジャーがブリキの木こり役、そして案山子役としてバディ・イプセンという俳優が担当することになっていました。
ところがレイは、どうしても案山子役がやりたくて、そのことを監督のヴィクター・フレミングに直訴します。
監督はその願いを聞き入れ、レイとバディの役柄を取り換えて撮影に臨むようにしました。
しかし、ここでとんでもない問題が発生します。
ブリキの木こり役としてのメーキャップをしたバディですが、そこに含まれていたアルミ紛に対し、重度のアレルギー症状を起こしてしまったのです。
どれくらい重度であったかは、バディが病院に担ぎ込まれ、入院をしなくてはならないほどのものでした。
これによってバディは撮影から降板、ジャック・ヘイリーがその代役としてブリキの木こりを演じることになったのでした。
撮影裏話 西の悪い魔女は大けがを負っていた
西の悪い魔女役を務めた女優マーガレット・ハミルトン。
彼女の有名な緑の肌をした魔女は、その後、魔女といえば緑の肌、という不文律を作り出してしまったほどの、有名な姿です。
そんな彼女ですが、映画「オズの魔法使い」の撮影の際、とんでもない大けがを負っていたのでした。
それは彼女が魔女として登場する、マンチキンたちの町の中でのシーン。
この場ではルビーの靴を手に入れられないことを理解した魔女は、一度退散していきます。
その演出として床から上がった煙の背後に身を隠し、床に空いた穴から脱出しますが、彼女が舞台から消えた後、もえさかる炎が現れます。
しかし本番では、マーガレットが床の中に消えるはずであったエレベータがうまく作動しませんでした。
それによってマーガレットは正しいタイミングで炎から身を隠すことができず、顔にⅡ度火傷を、腕に皮膚の厚さ全てが熱による傷害を受けるⅢ度火傷を負うことになったのです。
このケガによってマーガレットは病院に入院することになり、その後6週間、治療が必要となってしまいました。
この療養期間中、ジュディはマーガレットを見舞うため自宅に通い、マーガレットの息子の面倒を見ていたそうです。
完全に回復した6週間後、マーガレットはスタジオに戻り、撮影が終わっていないシーンの撮影を行いましたが、火傷を負ったためNGとなったシーンの再撮影には決して同意しませんでした。
そのため、本番前に撮影されていたリハーサル映像が、本番用として使われることになったのです。
また、西の悪い魔女役を演じていたスタント役の俳優も大けがをしていました。
ドロシーがエメラルド・シティーにたどり着いた後、西の悪い魔女が魔法の箒に乗って空を飛び回り、ロケット雲で「降参しろ、ドロシー!」というメッセージを空に描くシーン。
このシーンはマーガレットではなく、スタント担当のベティー・ダンコが西の悪い魔女役で撮影に臨んでいました。
パイプを箒の柄のように飾り付け、煙が出るようにして撮影をしていたのですが、3度目のテイク時にそのパイプが爆発してしまったのです。
この爆発によりベティーは足に5センチ以上の深い傷を負い、病院に運ばれて治療をすることになりました。
そこで11日の入院をする羽目となり、ベティーでこのシーンを撮影することができなくなったため、新しいスタント担当としてアリーン・グッドウィンが急遽代役を務め、無事撮影を終えたのでした。
撮影トリビア 紫色の馬はゼラチンデザート「ジェロ」で塗られた
ドロシー一行がエメラルド・シティーに到着した後、そこの住人に大歓迎を受けます。
紫色をした馬が引く馬車に乗せてもらいますが、この紫色、実は本物の馬に着色して撮影を行いました。
その着色に使用したものはアメリカで古くから親しまれているゼラチンデザートの「ジェロ」の粉末。
その中のブドウ味を使って紫色の色素を作り出し、本物の馬に塗り付けたのでした。
撮影トリビア ルビーの靴は原作では銀の靴
ドロシーが西の悪い魔女に付け狙われる理由はただ一つ、姉妹である東の悪い魔女の持ち物だったルビーの靴がドロシーのものとなったため、それを取り戻すためです。
実はこのルビーの靴、原作ではルビーではありませんでした。
原作で登場する魔法の靴は銀の靴。
ですが、映画を製作したメトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)スタジオは、当時最新のテクニカラー技術を見せるため、明るい赤色に変更したのです。
ちなみにこのルビーの靴、
撮影用に何足か作られており、今現在存在が確認されているのは4足だそうです。
そのうちの1足は2005年に展示されていた博物館から盗まれたのですが、2018年に見つかり、無事回収されたというニュースがありました。
ちなみにこの1足はスクリーンテスト用に作られた靴で、ジュディは撮影で履いたことがないそうです。
2011年50万ドル以上の値段で、オークションで落札されてものでした。
撮影トリビア ドロシーの飼犬トトの給与はマンチキンの給与よりも高かった
ドロシーの飼い犬であるトト。
このトトを演じた犬はテリーという名前の撮影用に訓練されたケアーン・テリア犬でした。
テリーという名前は雄用ですが、雌の犬です。
映画「オズの魔法使い」でトトを演じたほかに合計で21作品に出演しています。
が、トトとしての出演が一番有名で、そのせいもあって名前をトトに変更されたのでした。
映画「オズの魔法使い」では給与がとても高額であったことで知られています。
週給125ドルという金額で、2019年の価値に換算すると週給2300ドルにもなるそうです。
マンチキン役の俳優たちが週給50ドルしかもらえていないことを考えると、倍以上の金額を稼いでいたテリーは、かなりの大御所といえるのではないでしょうか。
撮影に際し、ジュディになつく訓練ため、2週間貸し出されて一緒に生活をしました。
その間、ジュディはすっかりテリーのことが気に入り、持ち主に譲ってほしいとお願いしたそうですが、断られたそうです。
トリビア エムおばさんを演じた女優クララ・ブランディックは安楽自殺をした
ドロシーの叔母であるエム叔母さん。
演じたのはクララ・ブランディックという女優です。
映画「オズの魔法使い」に出演した時の年齢は63歳。
その後も1950年の74歳まで俳優として現役を続けていました。
が、その頃になると彼女の健康はどんどんと悪くなってきていました。
視力も衰え、関節炎による痛みはとてもひどいものになっており、引退をせざるを得なくなってしまいます。
86歳となった1962年、ついに病気による慢性の苦痛を理由に、大量の睡眠薬を服用し、安楽死自殺をしてしまったのでした。
「オズの魔法使い」の主演ジュディ・ガーランドに関するトリビア&裏話
ここからは主役ドロシーを演じたジュディ・ガーランドの「オズの魔法使い」に関するトリビアと裏話をまとめて紹介していきましょう。
厳しすぎるダイエット
MGMと契約をし、映画「オズの魔法使い」のドロシー役に抜擢されたジュディ・ガーランド。
しかしMGMはジュディの体形に不満を持っており、彼女を豚呼ばわりしてダイエットをするように強要します。
そのためジュディは撮影の最中、口にしていいものは、
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・チキンスープ
・ブラックコーヒー
・タバコ
だけという制限をかけられていました。
ちなみにダイエットですが、ジュディだけが被害者ではありあません。
西の悪い魔女役であったマーガレット・ハミルトンも魔女としてのボディラインを保つようにダイエットを強要され、彼女の場合は液体のみしか、口にしてはならないというほどの厳しい制限をされることになったのでした。
監督に殴られた!?
ジュディ・ガーランドが映画「オズの魔法使い」の撮影に臨んだ時の年齢は17歳。
すでに芸能界で経験を積んでいたとはいえ、まだまだ子供の年齢です。
そんな彼女が撮影の際、臆病なライオンが初めて登場するシーンで、ライオン姿のバート・ラーの姿に我慢できず、笑いが止まらなくなってしまいNGを連発してしまいました。
それに良かった監督のヴィクター・フレミングは怒りが収まらなくなり、ついには彼女に平手打ちを加えて、「まじめにやれ!」と怒鳴ったそうです。
が、その後、監督はジュディに対する自身のふるまいに大いに恥じ入ってしまい、ついにはスタッフの一人におわびのしるしとして思いっきり顔をぶんなぐってくれ、と願い出る始末。
結局はジュディが監督の鼻の頭にキスをすることで、すべてが丸くおさまったのでした。
薬物摂取
映画「ジュディ 虹の彼方に」の中でも取り上げられているジュディ・ガーランドの薬物接種問題。
実はこの映画「オズの魔法使い」のころからジュディは覚せい剤の服用をしていたのでした。
その当時、覚せい剤が体に悪いものという認識はなく、疲労回復薬として普通に使われていたのです。
過酷な撮影スケジュールを乗り切るため、実の母親が薬としてジュディに渡し、服用させていました。
また、MGMスタジオもダイエットに効果があるということで、覚せい剤をジュディに渡していたのです。
「オズの魔法使い」後、当時大スターだったミッキー・ルーニーとコンビを組んで大人気となったミュージカルシリーズの主役を務めますが、このミッキーの証言で、その当時の撮影がどんなに過酷なものか、そしてそれに耐えるためにどれだけ薬物に頼っていたかを示すコメントがあります。
「撮影の疲労が激しすぎて逆に眠れない。だから睡眠薬を飲んで4時間睡眠をとる。その後、十分に回復していない体に鞭を入れて仕事に行くために覚せい剤を服用するんだ。
そうすると72時間ぶっ通しで撮影ができるようになるからね。」
覚せい剤は戦争後、日本でも普通に薬局で売られており、「疲労がポンととれる」ということから「ヒロポン」の愛称で親しまれていました。
そんな時代に有名人として寝ずに働くためには、覚せい剤に頼らざるを得なかったのでしょうが、そこまでして得た人気に価値があるのか、疑問を持ってしまいます。
マンチキンからのセクハラ!?
ジュディは生涯5回の結婚をしていますが、その5人いる旦那たちの中の3番目の夫、シドニー・ラフトが回顧録を執筆し、その中でジュディが映画「オズの魔法使い」の撮影最中、マンチキン達にセクハラを受けた、とつづっていたのでした。
撮影現場でスカートの中に手を入れようとしたことがあったそうです。
また、マンチキン役の俳優の中には、酒に入り浸っていたものもいたそうで、スタジオの近くのバーでしこたま飲んで、泥酔したまま撮影に現れた者もいたそうです。
これに関してはジュディ自身がインタビュー番組で証言していました。
が、マンチキンを演じた俳優で唯一存命のジェリー・マーレンはこれを否定しています。
雑誌の取材に応えた彼は、
「どうやったら週給50ドルで毎晩酔っ払うことができる? ドイツから来たビール好きな子どもたちもいた。彼らは朝から晩まで飲み続けていてちょっとしたトラブルを起こしたこともあった。女の子と出会いたかったようだが、そういうことをしていたのは彼らだけだった」
と証言したのでした。
しかし酔っぱらって問題を起こした者もいたようで、スタジオは警察に厄介になったマンチキン役の俳優の身元引受人として出向いたり、問題を起こさないように監視をする人物を雇たりするようになった、と記録には残っています。
映画「オズの魔法使い」を無料視聴する方法
映画「オズの魔法使い」は以下の動画配信サービスで視聴することができます。
しかもサービスによっては無料で視聴することができる方法もあります。
その主な動画配信サービスは、
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U-NEXT
U-NEXTでは映画「オズの魔法使い」は見放題作品に分類されており、入会するだけで追加課金なしに視聴することができます。
また、初めてU-NEXTに登録する方には31日間の無料トライアルサービスを利用することができます。
つまり、そのサービスを利用すれば無料で「オズの魔法使い」を視聴することができるのです。
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まとめ
いかがでしたでしょうか?
ジュディ・ガーランドを有名子役としてその名を世界中に知らしめた映画「オズの魔法使い」。
制作年が1938年という古い時代でもあり、今では考えられないような撮影方法を取っていたことに驚かされます。
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子役であろうと長時間労働は当たり前。
その疲労回復に覚せい剤を使用する。
ジュディが壊れてしまったのも納得がいきますね。
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