映画「フェイブルマンズ」はスティーブン・スピルバーグ監督の幼少から学生期の出来事を映画にした自伝作品です。
その中でも特に両親からの影響と、母親との絆をメインに描かれている映画でした。
「好きなもののために他を犠牲にする」という生き方は、仕事を始めると立場を重んじて私を滅してしまいがちな日本人にはわかりにくいというか、共感しにくいところがあります。
ですので、個人的にも母親のミッツィのわがままには苛立ちを感じてしまう場面もありました。
しかしある意味、両極端ではあるにせよ、振り切っていることを考えると、気持ちはわからなくもない、とも思える自分が居ました。
今回はこの映画「フェイブルマンズ」の基本情報や予告動画や登場人物情報、そして映画のあらすじを分かりやすく紹介していきます。
映画「フェイブルマンズ」の基本情報
それでは映画「フェイブルマンズ」の詳細あらすじを紹介する前に、映画の基本情報を紹介します。
「ジョーズ」「E.T.」「ジュラシック・パーク」など、世界中で愛される映画の数々を世に送り出してきた巨匠スティーブン・スピルバーグが、映画監督になるという夢をかなえた自身の原体験を映画にした自伝的作品。
初めて映画館を訪れて以来、映画に夢中になった少年サミー・フェイブルマンは、母親から8ミリカメラをプレゼントされる。家族や仲間たちと過ごす日々のなか、人生の一瞬一瞬を探求し、夢を追い求めていくサミー。
母親はそんな彼の夢を支えてくれるが、父親はその夢を単なる趣味としか見なさない。
サミーはそんな両親の間で葛藤しながら、さまざまな人々との出会いを通じて成長していく。
サミー役は新鋭ガブリエル・ラベルが務め、母親は「マンチェスター・バイ・ザ・シー」「マリリン 7日間の恋」などでアカデミー賞に4度ノミネートされているミシェル・ウィリアムズ、父親は「THE BATMAN ザ・バットマン」「ラブ&マーシー・終わらないメロディー」のポール・ダノが演じるなど実力派俳優が共演。脚本はスピルバーグ自身と、「ミュンヘン」「リンカーン」「ウエスト・サイド・ストーリー」などスピルバーグ作品で知られるトニー・クシュナー。そのほか撮影のヤヌス・カミンスキー、音楽のジョン・ウィリアムズら、スピルバーグ作品の常連スタッフが集結した。
第95回アカデミー賞で作品、監督、脚本、主演女優(ミシェル・ウィリアムズ)、助演男優(ジャド・ハーシュ)ほか計7部門にノミネートされた。
引用:映画ドットコム
映画「フェイブルマンズ」の予告動画
続いて映画「フェイブルマンズ」の予告動画紹介です。
映画「フェイブルマンズ」の登場人物紹介
最後に登場人物の紹介です。
サミー・フェイブルマン
後に映画監督となる16歳の青年。
スピルバーグがモデル。
演じるのはガブリエル・ラベル。
ミッツィ・フェイブルマン
才能のあるピアニストでサミーを励まし続ける良き母。
スピルバーグの母親、レイア・アドラーがモデル。
演じるのはミシェル・ウィリアムズ。
バート・フェイブルマン
サミーの父親。コンピューター技師。
スピルバーグの父親、アーノルド・スピルバーグがモデル
演じるのはポール・ダノ。
ベニー・ロウウイ
バートの親友でビジネスパートナー。
演じるのはセス・ローゲン
映画「フェイブルマンズ」ネタバレあらすじを分かりやすく解説
それでは映画「フェイブルマンズ」のネタバレ有のあらすじを分かりやすくお届けします。
起・映画との出会い
時は1952年。
ニュージャージー州のハドン・タウンシップに住むユダヤ人夫婦のミッツィとバート・フェイブルマンズ。
1月10日の夜に彼らは幼い息子のサミーと一緒に映画を見に行くことにしました。
映画はセシル・B・デミル監督の「地上最大のショウ」
サミーにとっては初めての映画でした。
その映画の中の列車の衝突脱線シーンに大きな衝撃を受けたサミーでした。
そしてユダヤ教の祝日ハヌカに、両親に鉄道の模型を買ってもらうことをねだります。
そのサミーの希望通り、両親は彼に電動式の鉄道模型セットを一式、買い与えたのでした。
サミーはその模型セットを使って、映画のシーンを再現させます。
夜遅く、両親もすでに就寝している時間に置きだし、見事にそのシーンを再現させたのですが、脱線した模型が棚を倒してしまい、その物音で両親が驚いて置きだしてしまいました。
模型は少し壊れてしまい、父親のバートはなぜせっかく買い与えた模型をサミーが壊すようなことをしたのか、全く理解ができません。
が、母親のミッツィはサミーが映画で見たシーンを再現させたかったことに気が付きます。
翌日、ミッツィはバートの8㎜カメラをサミーに渡し、脱線シーンの撮影を許可します。
これによってサミーは初めて映像の撮影を行い、その面白さのとりことなるのでした。
それ以来、サミーはいろんな場面を考えついては撮影するようになります。
その撮影には妹のレジー、ナタリー、リサをも交えて行われました。
1957年、バートはヘッドハンティングで新しい職場につくことになり、家族はアリゾナ州フェニックスに引っ越すことになります。
ビジネスパートナーで親友でもあり、家族ぐるみで付き合いのあるベニー・ロウウェイは、ヘッドハンティングの対象ではなく、ニュージャージー州に残る予定でした。
が、ミッツィの強い勧めもあり、バートは会社に掛け合って、ベニーも一緒に引っ越すことになります。
数年後、10代となったサミーはボーイスカウトに所属していました。
そして友人とともに無声映画を作成していたのでした。
最新作は西部劇の物語でしたが、銃を撃ち合うガンファイトシーンの出来栄えが気に入りません。
映像として見ると、どうしてもフェイク感を感じずにはいられない、陳腐なものでしかありませんでした。
しかしふとしたきっかけで穴の開いた紙を手に取る機会があり、それによってとあるアイデアがひらめきます。
ボーイスカウトの発表会で、サミーは友人と一緒に製作した西部劇を披露します。
そこには両親と妹たち、ベニーも来ていました。
いざ、ガンファイトシーンになると、通常のシーンが映る画面に絶え間ないわずかな光が映し出され、あたかも本物の銃での撃ち合いをしているように感じられるようになっていました。
この迫力ある場面に視聴者全員が大興奮し、サミーはボーイスカウトがミッションを繰り指した際にその証としてもらえるバッジを見事に手にしたのでした。
父親のバートも大興奮をしてサミーを称えます。
そしてどうやって本当のガンファイトをしているような視覚効果を思い付いたのか、を訪ねるのでした。
サミーは、それに対し、必要な部分にフィルムに小さな穴をあけて銃を本当に売っているかのような効果を得たことを明かします。
父親は、そのアイデアを理解し、さらにサミーを誉めます。
が、その後の会話で、父親はサミーの映像の撮影に対して、趣味であり、本当の仕事なるわけがないと、所詮遊びとしか認めていないことも明らかになるのでした。
その後、家族はベニーと一緒にキャンプ旅行に出かけます。
その間もサミーはカメラを回し続け、家族の思い出を記録していたのでした。
承・家族のきずなのほころび
が、その後しばらくして、ミッツィの母親は老衰で亡くなってしまいました。
ミッツィのショックは大きく、精神的に不安定になってしまいます。
自分一人ではどう、妻を元気づけられるのか、わからなくなったバートはサミーに新しい最新の映画編集機器を買い与える代わりに、彼に仕事を依頼します。
それは、ミッツィを元気づけるためにキャンプ旅行の映像を映画に仕上げることでした。
このアイデアについてサミーは賛成するものの、バートが今週末で仕上げて家族での上映会をする、という予定には反対します。
というのも、週末の撮影には、すでに多くの友人に声をかけて、撮影に協力してもらうことを取り付けていたからでした。
が、バートはサミーの映画に対する情熱を趣味に過ぎないと考えていることに加え、家族の危機を自分自身はどう、対処していいのかわからないという思いを正直に伝えるのでした。
翌朝、彼らのもとに、かつてライオンの調教師で映画製作者だったミッツィの叔父ボリスが突然、訪問してきます。
彼にとっては実の姉が亡くなったので、その訪問は実にまっとうな行動の結果でした。
その夜、サミーとボリスは映画製作や芸術について、話し込むことになりました。
ボリスはサミーに、家族と芸術を両立させたいと思っても、対立し続けることを伝えます。
そして、かつて自身がそうであったように、サミーには芸術のために家族を犠牲にする性質があることを指摘するのでした。
ボリスが去った後、サミーはキャンプ旅行の映像の編集を開始します。
何度も自分の撮影したシーンをしっかりと見ていくうちに、サミーはミッツィとベニーの様子がおかしいことに気づいてしまうのでした。
そしてその違和感をはっきりさせるべく、二人の行動を注視した結果、二人の浮気に気が付き、激しく狼狽してしまいます。。
それ以来、サミーはベニーを無視し、ミッツィに対してはいつも怒気を含んだ対応になります。
ついには、サミーとミッツィは激しい口論をすることになり、ミッツィはサミーの背中に平手打ちをするという体罰を、初めてしてしまうのでした。
自室に戻ったサミーのもとにミッツィが謝罪に訪れます。
そして何がサミーに苦痛を与えているのか、聞き出そうとするのでした。
そんなミッツィにサミーは彼女とベニーの秘密をまとめたキャンプの映像を見せます。
それによってミッツィは、サミーに秘密を知られたことを知り、うろたえるのでした。
サミーは、母親に秘密を守って口外しないと告げます。
翌週、バートは仕事の成功からIBMにヘッドハンティングされたことを家族に告げます。
そして家族はカリフォルニア州サラトガに引っ越すことになるのでした。
しかしベニーはIBMからは必要とされておらず、フェニックスに残ることになります。
ミッツィも、今回はバートとの結婚生活を守るため、ベニーが残ることに対して反対はしませんでした。
サミーは今回のことがトラウマとなり、カメラを売り払ってしまいます。
そして二度と撮影はしない、と決めたのでした。
しかし、ベニーはサミーに新しいフィルムカメラを贈ります。
ある意味、ベニーからサミーへの謝罪の気持ちも含まれている物でした。
サミーは受け取ろうとはしませんでしたが、ベニーの、サミーが撮影をしなくなったらミッツィが悲しむ、という言葉に、35ドルで買い取ることを提案します。
これによってサミーはベニーからカメラを受け取るのですが、去り際、ベニーは受け取った35ドルをサミーのポケットに盗み入れ、去っていくのでした。
転・映画の力
カリフォルニア州に引っ越してから、サミーは新しい学校生活にうまく馴染めませんでした。
そしてローガンとチャドに目を付けられ、サミーがユダヤ人であることでいじめを受けてしまいます。
そんな中、サミーはローガンが赤毛の女生徒と人気のない場所でキスをしているのを目撃します。
その後、仲間と恋人イザベラを引き連れたローガンに囲まれてしまいますが、あまりのあおりに怒りを感じたサミーは、イザベラが先にローガンとキスをしていた女性と出ないことに気が付き、彼女にローガンの浮気を告げるのでした。
これにイザベラは怒って、ローガンに絶縁を告げます。
ローガンはサミーを殴りつけ、イザベラに謝って、ローガンの浮気は嘘であると仲を取り持つことを強要するのでした。
サミーはイザベラとあって、ローガンに要求された通りにします。
が、彼女は赤毛の女性とに心当たりがあることもあり、サミーのうそを見破ってしまうのでした。
一方、イザベラは彼女の友人モニカと一緒でした。
モニカは熱狂的なクリスチャンでキリストをアイドル視していました。
そのためユダヤ人であるサミーに興味を抱き、二人は付き合うことになります。
ある日の夕食にモニカを招待した時のこと、サミーがかつて頻繁に撮影をしていたことを知ります。
そこで彼女はサミーがビーチ行われる「ディッチデー」の撮影することを勧めます。
「ディッチデー」とは「スキップデー」とも呼ばれる、アメリカの高校最上級生徒が行うイベントで、平日の一日、学校を休んで行われるイベントに参加する日のことを言います。
彼女は父親が持つ16mmのアリフレックス・カメラを借りての撮影を提案したことで、サミーは撮影のボランティアに申し込むことを承諾するのでした。
「ディッチデー」の撮影にモニカと一緒に参加し、サミーはとても楽しい一日を過ごします。
カリフォルニア州に引っ越してきてからのミッツィはひどい状態になっていました。
荷物は箱から出さずにそのままになっており、家事もできないほどのうつ状態に陥っていたのです。
急な引っ越しのため借家であったのが、新居の購入が決まった後も、ミッツィの状態に変化はありませんでした。
ついにミッツィはバートに対してベニーに対する気持ちを打ち明け、二人は離婚し、ミッツィはフェニックスに戻ることにします。
妹たちは両親の突然の決定に狼狽し、激しく怒ります。
しかしサミーは一人、淡々と両親の決定を受け入れていたのでした。
卒業パーティーにモニカと一緒に出かけたサミーは、モニカに愛の告白をし、結婚を全店で高校卒業後、一緒にハリウッドに来てほしいと懇願します。
モニカはテキサスA&M(農工)大学への進学が決まっており、サミーの全く計画性のない提案には乗ることができません。
モニカはサミーとの別れを宣言するのでした。
Ditch Dayの映画の上映時間となりました。
サミーは傷ついた心のまま、上映を開始します。
映像はあの日の楽しさがそのまま感じ取れる編集となっていました。
そんな中、チャドがある女生徒に言い寄って振られ、波打ち際をとぼとぼと歩いているときに波で靴とズボンを濡らすシーンが映し出されます。
そのあまりにみじめな姿にチャドは、恥ずかしさのあまり、その場から去ってしまうのでした。
一方、ローガンはその日に行われたイベントでの活躍のシーンが続く雄姿ばかりが映し出され、困惑します。
周りはそのかっこよさに歓声を上げ、イザベラでさえ、復縁を求めて彼にキスするほどでした。
一方、モニカも素晴らしい映像にサミーを探すのですが、彼の姿は会場のどこにもありません
一人、会場の外で座り込んでいたサミーにローガンが詰め寄ります。
そしてなぜ、自分を英雄のように映し出したのか、と激しく問いただすのでした。
さらに、あの姿はいつも自分が理想として目指していたもので、現実はそれには伴わないことを思い知らされていたこと、しかし映像を見た周りの学生全員が自分を英雄だと勘違いしたことにとてもショックを受けていることを涙交じりに打ち明けます。
そこに映像でコケにされたチャドがやってきて、サミーにつかみかかろうとします。
そんなチャドをローガンは殴り飛ばし、追い払うのでした。
その後、サミーはなぜローガンを映像であのような姿にしたのか、自分でもわからないと正直に言います。
ただ、映像的に美しかったから、というのが多分本当のところだろう、とも。
ローガンとサミーはどこかで分かり合えたことができました。
去り際にローガンはサミーに絶対に誰にも口外するな、とだけ言い、その場を去っていきます。
翌朝、ミッツィとサミーは台所で一緒に将来について話をしました。
彼女がベニーへの愛をあきらめることができないのと同じように、彼女はサミーに映画製作への愛をあきらめないように言います。
結・ついに映像の世界へ
一年後、サミーはハリウッドでバートと一緒に暮らしていました。
サミーは大学に通っていましたが、目標を定められず、中退したいことを父親に言います。
と同時に、本心から映画製作の分野に進みたいのですが、仕事を見つけることができない現実の不安も白状するのでした。
お茶を飲んですこし落ち着いたサミーは母親からの手紙を見つけます。
その手紙の中に入っていたミッツィとベニーの写真を見た後、バートはサミーに、彼を幸せなるために、自分がいきたい道を歩み続けるように励ますのでした。
バートはついに息子の情熱を受け入れたのです。
同じ手紙の束の中にサミーはテレビ局のCBSから封書を見つけました。
そこにはテレビドラマ「ホーガンズ・ヒーローズ」のアシスタントスタッフの面接通知があったのです。
面接に訪れたサミーはドラマの共同制作者であるバーナード・フェインに、映画製作にも興味を持っていることを触れられるのでした。
パーナードは自分が若いころとサミーを重ね合わせ、サミーに好意を示してくれます。
そして映画監督のジョン・フォードに会わせてくれたのでした。
映画製作に最も大きな影響を与えた人物の 1 人であるジョン・フォードはこの時、サミーにフレーミングに関するアドバイスをしてくれます。
それは、画面の中の地平線が画面の下もしくは上にある場面では、視聴者は興味を持ってくれるが、中央にある場合は、気にしてくれない、というものでした。
ジョンのオフィスを追い出されたサミーは、嬉しそうに撮影所の中を歩き始めます。
画面はフォードのアドバイスに反して、サミーの歩きはじめはカメラが地平線を中央にフレーミングしていました。
が、最後にアドバイスに従って地平線を一番下に再フレーミングするのでした。
最後に簡単な感想
スティーブン・スピルバーグ監督の幼少期から学生期のころの話。
全て本当に起こった出来事だとしたら、つらいような、なんとも言えない気持ちになりました。
映像制作にのめりこんでいたから母親の浮気に気づき、映像の持つ虚像を作り上げる力によって認められたわけですから。
逆にだからこそ、やめられなかったのか。
そんな恐ろしい世界とわかっていながら、やめられないのか。
そんなことを考えさせられてしまいましたね。
一つ疑問に思ったのは、3人もいた妹たちは全く母親の浮気に気が付かなかったのか、ということ。
ああいったことは女性のほうが気が付きやすい、と何かで読んだことがあったので。
もしくはそこは、演出として妹たちは気が付いていなかったことにしたのかもしれませんが。
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