映画最後の決闘裁判のあらすじをネタバレ有で分かりやすく解説!

あらすじ

映画「最後の決闘裁判」は実際に1386年に起こった、世界史上、最後の決闘裁判を基にして作られた映画です。


騎士が戦場で戦っているような時代。

そんな昔に今でも問題となっているレイプ問題が発生し、それを解決するために決闘裁判が行われたのでした。


そんな出来事を映画ならでは、のストーリーで見せてくれるのが「最後の決闘裁判」

単純なものかと思われた事件は、実は問題はもっと根が深いことを感じずにはいられませんでした。


今回はこの映画「最後の決闘裁判」の基本情報や予告動画や登場人物情報、そして映画のあらすじを分かりやすく紹介していきます。










映画「最後の決闘裁判」の基本情報

それでは映画「最後の決闘裁判」の詳細あらすじを紹介する前に、映画の基本情報と予告動画、そして登場人物の紹介をしておきます。


映画「最後の決闘裁判」の基本情報と予告動画

巨匠リドリー・スコット監督が、アカデミー脚本賞受賞作「グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち」以来のタッグとなるマット・デイモンとベン・アフレックによる脚本を映画化した歴史ミステリー。


1386年、百年戦争さなかの中世フランスを舞台に、実際に執り行われたフランス史上最後の「決闘裁判」を基にした物語を描く。

騎士カルージュの妻マルグリットが、夫の旧友ル・グリに乱暴されたと訴えるが、目撃者もおらず、ル・グリは無実を主張。

真実の行方は、カルージュとル・グリによる生死を懸けた「決闘裁判」に委ねられる。

勝者は正義と栄光を手に入れ、敗者は罪人として死罪になる。そして、もし夫が負ければ、マルグリットも偽証の罪で火あぶりの刑を受けることになる。

人々はカルージュとル・グリ、どちらが裁かれるべきかをめぐり真っ二つに分かれる。



「キリング・イヴ Killing Eve」でエミー主演女優賞を受賞したジョディ・カマーが、女性が声を上げることのできなかった時代に立ち上がり、裁判で闘うことを決意する女性マルグリットに扮したほか、カルージュをマット・デイモン、ル・グリをアダム・ドライバー、カルージュとル・グリの運命を揺さぶる主君ピエール伯をベン・アフレックがそれぞれ演じた。

引用:映画ドットコム





映画「最後の決闘裁判」の登場人物紹介

続いて登場人物紹介です。

ジャン・ド・カルージュ

無骨ながら有能で勇敢な騎士だが癇癪持ち。

戦争以外、特に領地経営などはそれほど有能ではない。

彼ながらに妻のマルグリットを深く愛している。


演じるのはマット・デーモン。

ジャック・ル・グリ

カルージュの友人の従騎士。

浮名を流す美男子で領主のアランソン伯ピエール2世にも気にいられている。

マルグリットに会った時から心奪われてしまう。


演じるのはアダム・ドライバー。

マルグリット・ド・カルージュ

ジャンの妻。

女性の権利がほとんどない時代に彼女が告発した事件はカルージュとル・グリの決闘裁判を引き起こすことに。


演じるのはジョディ・カマー。

アランソン伯ピエール2世

カルージュやル・グリの直接の領主。
フランス王シャルル6世のいとこ。

ル・グリを公私ともに重用し、カルージュのことを嫌っている。


演じるのはベン・アフレック。

映画「最後の決闘裁判」の見どころ紹介

映画「最後の決闘裁判」は3つの章に分かれています。

このの発端から決闘裁判が行われるまでを主要登場人物の3人の目線でそれぞれがどのように感じていたのか、を見せているのです。


そして最後のマルグリットの目線で見た一連の出来事の捕らえ方が、一番真実を映し出している、と映画は主張しているように感じ取れました。

お互いが自分の主観で相手のことやその行動をどう、自分に都合よく捕らえているかが非常に見事に描かれています。

そのことに気が付いた映画の後半、もう一度、他の人物の主観がどうであったのか、詳細を確認したくなってしまいました。


そして決闘裁判の結果、果たして勝者が本当に幸せになったのか、深く考え込んでしまう自分がいたことに気が付いたのです。







映画「最後の決闘裁判」ネタバレあらすじを分かりやすく解説

それでは映画「最後の決闘裁判」のネタバレ有のあらすじを分かりやすくお届けします。

序・決闘裁判直前

1386年フランス、パリ。

マルグリット・ド・カルージュは夫ジャン・ド・カルージュの友人で従騎士のジャック・ル・グリに強姦された、と訴えました。


夫のジャンは時のフランス王シャルル6世にル・グリに対する決闘裁判を訴えます。

決闘裁判とは、カルージュとル・グリのどちらの主張が正しいのか、決闘を行い、生き残った勝者の言い分が正しいものであると決める裁判方法でした。


強姦を主張したマルグリットはル・グリが勝利した場合、うその証言をしたという罰で生きたまま火あぶりに処されることになります。

こうして3人の運命を決める決闘裁判が王をはじめとした多くの観客の面前で開始されたのでした。

起・ジャン・ド・カルージュの主観

百年戦争のさなか、ジャン・ド・カルージュは従騎士としてジャック・ル・グリとともに戦場にいました。

激しい戦闘中、お互い助け合い、無事に生きて勝利したある戦闘の後、ル・グリがカルージュに命を救われたことを感謝するほど二人の友情と信頼は厚いものだったのです。


シャルル6世の命によって二人はアランソン伯ピエール2世の元で働くことになります。

二人はアランソン伯に忠誠を誓いますが、アランソン伯はカルージュのことを好んではいないようでした。


ある日ル・グリがアランソン伯の命のもと、カルージュのもとに課税の支払いを求めてやってきます。

が、カルージュにはその課税を支払うだけの余裕がありませんでした。

そこでル・グリは、自身がアランソン伯の腹心として重用されている立場であることから、アランソン伯にカルージュに対する課税の猶予を願い出ることを約束します。


カルージュは苦しい財政を建て直すことを目的に、マルグリット・ド・ティブヴィルと結婚します。

父のルバード・ド・ティブヴィルから大量の持参金とマルグリットが子供のころから気に入っていた非常に肥沃な土地、オスール・ファル・コーンを譲り受けることを口頭で約束していたのでした。


しかし結婚式の途中で読み上げられた持参金のリストの中に、約束されたオスール・ファル・コーンが入っていません。

カルージュは異議を唱えますが、そこはすでにアランソン伯によって取り上げられ、アランソン伯はその土地をル・グリに褒美として渡していたのでした。


納得のいかないカルージュはアランソン伯とル・グリの二人を訴えます。

しかしこの訴えは公文書を交わしているアランソン伯とル・グリ側の勝利で終わったのでした。


訴えに負けた後、しばらくして父親が病気で亡くなっってしまいました。

そしてカルージュは、先祖代々「ベレム長官」としてカルージュ家に与えられていた地位を引き継げないことを知ります。

アランソン伯との関係が悪化した結果、アランソン伯はカルージュを意図的に排除する動きに出たのです。
新しいベレム長官職にはル・グリが付くことに決まったのでした。


その最初の赴任の歓迎式に招待されていないのもかかわらず、カルージュは赴きます。
そして怒りを抑えきれず、アランソン伯とル・グリに激しく抗議したのでした。

カルージュとル・グリの間にできた溝はどんどんと大きくなっていってしまいます。

その話を帰宅した夫から聞いたマルグリットは心配そうに顔を曇らせたのでした。


それから一年後、仲間の従騎士の一人の家で男子が出産したための祝いのパーティーの誘いが届きます。

妻マルグリットの勧めもあり、カルージュ夫妻は出席することにしました。


会場ではル・グリも来ていました。

二人の関係性を知っている人々は緊張した面持ちで二人の再会を見守りますが、ル・グリの差し出した仲直りのための手をカルージュが固く握り返したことで仲間からも喝さいを浴びます。

カルージュは妻マルグリットを紹介し、ル・グリに習わしに従って誠意の証のキスをするように言いました。

マルグリットも習わしに従ってル・グリに接吻しますが、この時からル・グリはマルグリットに特別な感情を抱いてしまいます。


その後、カルージュはスコットランドに遠征し、その地で騎士の称号を得ます。

が、戦争はつらく苦しいもので、思うような戦果は上がらず、仲間の多くも戦死してしまうものでした。

そんな環境下でしたがカルージュは無事生きて帰国します。

無事帰ってきた夫をマルグリットは出迎え、再会の抱擁を交わすのでした。


少し休養をした後、騎士となったことでの賞与をパリに受け取りに、カルージュは数日家を留守にします。

そして戻ってくると、マルグリットの様子が変なことに気が付きました。

わけを尋ねると、ジャンが留守中、ジャンの母親ニコールがジャンがマルグリットを一人にしてはいけないと命じていたにもかかわらず、全使用人を連れてセントピエールに出かけたと、話し始めます。

そして一人で家にいた時、男が訪ねてきて、馬蹄を取り換えなければならず、それが済むまで中で暖を取りたい、と懇願したのでした。

親切にもマルグリットは扉を開けますが、彼は一人ではなく、別の男性が同行しており、その男性に強姦された、と打ち明けたのです。


あまりにショッキングな話にジャンはその卑劣な男が誰なのか、尋ねるとマルグリットはル・グリである、と告白しました。

そして夫であるジャンの助けがなければ、この卑劣な犯罪を裁くこともできないので助けてほしいと言います。

ジャンもマルグリットに降りかかった悪夢のような出来事に、守ってやれなかったことを謝り、必ずル・グリに正義の裁きを下す、とマルグリットを優しく、そして強く抱きしめて決意するのでした。


二人は親しい友人知人、親類を集め、事の詳細を明かします。

そしてこの話を世間にどんどんと広めるように、頼むのでした。

母親ニコールは一族の恥をわざわざ広めることに反対でしたが、話が広まればル・グリも無視することはできなくなります。

そうして、こちらの訴えに応じざるを得なくなる状況にして、ジャンはさらにそこからル・グリを糾弾するための秘策を考えていたのでした。


その秘策とは、彼らの領主であるアルサケス伯を飛び越え、国王であるシャルル6世が参加するパリ高等法院の審理会にル・グリを引きずり出し、決闘裁判で有罪にするというものだったのです。

アルサケス伯は寵愛しているル・グリに有利な判決を出そうと準備していましたが、カルージュのシャルル6世への訴えのほうが早く、二人はパリでお互いの意見を主張することになります。


カルージュはその場ではっきりとル・グリの有罪を主張し、それを証明するために決闘裁判をして神に判断を仰ぐことを申し入れました。

ル・グリも自身の無実を主張し、決闘裁判を受け入れて神によって証明されることに同意をします。

こうしてシャルル6世の許可のもと、二人は決闘裁判で自らの主張を正当化することになるのでした。

承・ジャック・ル・グリの主観

カルージュがル・グリの命を助けた戦闘は、気の短いジャンが他の騎士の諫めも聞かず単騎で突撃を開始し、一人で行かせればいいという意見もあった中、ル・グリが放っておくわけにいかないとして、突撃命令を下し、戦闘が開始されたものでした。

実際、カルージュは敵兵士によって落馬させられ、とどめを刺されようとしていたところ、ル・グリの救援が間に合って、切られずに済んでいたのです。

その後の先頭のさなか、カルージュがル・グリの窮地を救う場面もありました。

ただ、戦闘が終わった後、ル・グリはお礼を口にして伝えたのに対し、カルージュからお礼を言われたことはありませんでした。


ル・グリは裕福な生まれの出身ではありませんでしたが、僧侶になるための勉強をしていたこともあり、教養を身に着けていて、ただの戦時の時だけの騎士というわけではなかったのです。

アランソン伯に仕えるようになり、内政面での力も発揮します。
納税が遅れていた部下たちから厳格に徴収したことでアランソン伯からの信頼を得、寵愛を受けるようになりました。


アランソン伯は政治よりもパーティーなどの遊びのほうに熱心でル・グリはそちら方面でもアランソン伯に付き合うことがたびたびありました。

ハンサムな彼は多くの女性と浮名を流すことになります。


そんなル・グリをますます寵愛したアランソン伯はマルグリットの父親ルバード・ド・ティブヴィルから未払いの租税のかたとして取り上げたオスール・ファル・コーンという土地をル・グリに褒美として授けます。

また、ジャン・ド・カルージュの父親が亡くなったために空席となったベレム長官の職にル・グリを据えるのでした。


口約束とはいえ、すでにオスール・ファル・コーンを結婚式の持参金の一部として譲り受けることになっていたカルージュはアランソン伯とル・グリに不満を抱きます。

そして代々カルージュ家が勤めてきたベレム長官職までもル・グリに取られたとあって、腹の虫がおさまらず、長官就任式の祝いの場に、招待されていない身で現れるのでした。

そこでカルージュは領主であるアランソン伯に暴言を吐き、ル・グリに向かっても宮廷内出世の能力がうまいだけの太鼓持ちだと叫んでしまいます。

ル・グリは大人の対応をしますが、カルージュに対してあきらめを感じざるを得ないのでした。


それから一年後、仲間の従騎士の一人の家で男子が出産したための祝いのパーティーの誘いが届きます。

参加して会場にいたル・グリはカルージュが夫婦で現れたことに気が付きます。

二人の関係性を知っている人々は緊張した面持ちで二人の再会を見守りますが、ル・グリの差し出した仲直りのための手をカルージュが固く握り返したことで仲間からも喝さいを浴びます。

カルージュは妻マルグリットを紹介し、ル・グリに習わしに従って誠意の証のキスをするように言いました。

マルグリットも習わしに従ってル・グリに接吻しますが、この時からル・グリはマルグリットに特別な感情を抱いてしまいます。


パーティーの会場内でル・グリは一人でいたマルグリットに話しかける機会を持ちます。

マルグリットが読書好きであることが分かったル・グリは彼女と書物に関しての会話を楽しみました。

その後、夫とともにダンスをしているマルグリットから視線を外せないル・グリでしたが、マルグリットも彼に視線を送っていることに気が付きます。

ル・グリはマルグリットが、文字の読めない夫が彼女のことを嫡男を産むためだけの物としてしか扱っていないため、本当に夫のことを愛しているのではないのだ、と考えるようになってしまうのでした。


スコットランドに遠征に行っていたカルージュでしたが、はかばかしい戦果もなく戻ってきます。

領主であるアランソン伯へ戦争の報告に現れたカルージュに、カルージュの戦争指揮のせいで悲惨な結果になったわけではない、とアランソン伯のそばに同席していたル・グリは慰めの言葉をかけました。

が、その情けを恥辱と感じたのか、騎士となったカルージュは従騎士に過ぎないル・グリが騎士の敬称である「サー」を付けて名を呼ばなかったことに激しく叱責します。

この返事に表情を硬くしたル・グリはその後、通り一辺倒の表面的なやり取りしかカルージュにはしなくなってしまいました。


その一件での会話の中で、カルージュが騎士に昇進したことによって得られる賞与をパリにもらいに行くため、数日家を留守にすることをル・グリは知りました。

そして全ての使用人がカルージュの母親ニコールのお供によっていなくなったことを知ると、従者のアダムを使ってマルグリットを欺き、家の中に入り込みます。

ル・グリはマルグリットを愛していることをはっきりと伝え、夫ジャンが彼女を本当に愛しているのではない、と主張してそんな彼女を救いたい、と迫るのでした。


すでに既婚の身である、と拒絶する振りをするマルグリットを、ジャンの妻であるという立場がそう主張せざるを得ないのだ、と信じ込み、本当はマルグリットは自分を愛していると盲信して、ついにはル・グリはマルグリットと結ばれます。

ことが終わった後、このことは秘密にしておいたほうがよい、とマルグリットにアドバイスします。

ジャンの気性からこのことが分かれば、マルグリットはジャンに殺されるだろうと思ってのことでした。

そう言い残してル・グリはその場を去ります。


その後、彼は教会で罪を懺悔するのでした。

が、この行いは愛していたからこそであり、彼の純粋な気持ちからの行動であったと信じていました。

そのため、アランソン伯に呼ばれ、ル・グリがマルグリットを強姦したといううわさが広まっていることを聞いたときには、驚いてしまいます。


アランソン伯は単なるうわさで真実ではないことを確かめるためにル・グリを呼び出したのですが、彼はマルグリットへの思いを正直に告白し、その思いが募りすぎたが故の行動であったことを打ち明けます。

またマルグリットは、人妻という立場から拒むふりをせざるを得なかったが、本当は自分を愛しているのだ、とも言い、ル・グリは二人はほんとうに愛しあっていると主張するのでした。


困惑するアランソン伯でしたが、裁判が行われても自身が捌くことになるため、ル・グリに本当に関係を持ったことは黙っておくように言います。

そしてアランソン伯が裁く裁判が開かれますが、そこで判決を出す前に、カルージュが国王シャルル6世に訴えたことを知るのでした。

これによって裁きの決断はアランソン伯の手から離れ、シャルル6世によって下されることになってしまいます。


数か月後にシャルル6世の名のもとに開かれたパリ高等法院での審理でカルージュは決闘裁判によって有罪・無罪を決したいと主張します。

ル・グリも自身の無罪を晴らすため、カルージュからの決闘裁判の申し出を受けることを明言するのでした。

転・マルグリットの主観・本当の真実

マルグリットは従騎士のジャン・ド・カルージュと結婚しますが、それは逼迫したカルージュ家の財政を、マルグリットの父親ルバード・ド・ティブヴィルが用意した多額の持参金で建て直す目的があったからでした。

しかし結婚式の日、ルバードとジャンの間で持参金に含むと口約束が交わされた、オスール・ファル・コーンという土地が含まれていないことが分かります。

怒りを発するジャンでしたが、ルバートはアランソン伯によって没収されたことを伝えます。

どうすることもできないジャンは結婚式を続けますが、そんな彼の怒りを見たマルグリットは不安を隠さずにはいられませんでした。


結婚後、ジャンは彼なりにマルグリットを愛してくれていましたが、マルグリットにはジャンが彼女を世継ぎを産むための女性としか見ていないと感じずにはいられません。

そしてマルグリットがなかなか懐妊しないことで、二人の関係は気まずいものになっていってしまったのでした。


マルグリットはジャンがル・グリとの関係を悪化させていることを気にしていました。

そのため、ある時、仲間の従騎士の一人の家で男子が出産したための祝いのパーティーの誘いが届いた際、仲直りのきっかけになることを期待して出席を勧めました。


当日、会場には思った通りル・グリも来ていました。

二人の関係性を知っている人々は緊張した面持ちで二人の再会を見守りますが、ル・グリの差し出した仲直りのための手をカルージュが固く握り返したことで仲間からも喝さいを浴びます。

その後、夫とともにダンスをしている最中、彼に向かって「脅しや怒りより笑顔や優しい言葉のほうがうまくいくことがある」と微笑み、こちらを見ているル・グリの様子にも気が付いて視線を返すのでした。


マルグリットは会場内で友人の女性たちとたわいもない話をして過ごす時間がありました。

女性たちの話題は若くてハンサムで多くの女性と浮名を流しているなル・グリのことばかり。

友人の一人、マリーもル・グリが美男子であると言っていましたが、マルグリットはその意見に賛成しつつも、どうも信用ができない、と返します。


ジャンはスコットランドに遠征に出かけます。

彼がいない間、マルグリットが領内の内政を切り盛りし、普段ジャンがやらない方法も試します。

そしてそれが効果的な結果をもたらすこともあり、彼女自身も手ごたえを感じ、やりがいを見出していました。


マリーが久しぶりに訪問し、市場に最新のデザインの服が出ていることをマルグリットに伝えます。

それを身にまとってジャンが戻った際に出迎えればさぞ喜ぶだろうというマリーの提案に乗って、服を見に行くことにしました。

その時、市場でル・グリを見かけます。

お互いにお互いのことに気が付きますが、手を振ってくるル・グリに対し、マルグリットは視線を逸らすのでした。


ジャンが帰宅したという知らせを受け、使用人たちとともにマルグリットは外で出迎えます。

マリーと一緒に見て入手した最新のデザインの服、胸元が広く空いたデザインのドレスと着て、でした。

が、出迎えるマルグリットの姿を見たジャンは彼女を無視し、険しい顔をして家の中に入ってしまいます。

驚いて追いかけた彼女に、ジャンははしたない恰好をして、と激怒していたのでした。

そんなジャンの反応にマルグリットはショックを受けます。


家に戻ってしばらくするとジャンは騎士に昇格したことで支払われる賞与を受け取りにパリに出かけます。

ジャンの留守の最中、義母のニコールはジャンがマルグリットを一人にしないように命じていたにもかかわらず、使用人全員を連れ、セントピエールに出かけてしまうのでした。


一人になったマルグリットのもとに、かつて彼女の父に仕えていたこともあるアダム・ルヴェルが訪ねてきます。

誰も家に入れてはならないと言われていましたが、暖を取らせてほしいと懇願するアダムを信用し、扉を開けます。

しかしアダムは一人ではなく、一緒にいたル・グリも家の中に入ってくるのでした。


驚くマルグリットですが、ル・グリは彼女に愛を告白します。

既婚であることを理由に拒絶し、帰るように言いますが、ル・グリは聞く耳を持たず、恐怖を感じて逃げ出したマルグリットを追って寝室まで迫ってきました。

そしてそこで嫌がるマルグリットを押さえつけ、手籠めにしてしまいます。


マルグリットは激しいショックを受け、放心状態の時を多く過ごすようになってしまいます。

翌日友人のマリーが訪ねてきたときも同じでしたが、ノックの音にびくっと反応して恐怖を感じているようでした。

マリーであることが分かって彼女を招き入れると、彼女はとても嬉しそうにマルグリットに話しかけます。


それは彼女が妊娠したこと、でした。

が、そのニュースを聞いたマルグリットは目から涙をこぼしてしまいます。

友人の懐妊を喜んではいるものの、自分の今の境遇を考えると涙が自然と溢れてしまったのでした。

そんなマルグリットをみてマリーは心配し、一緒に祝ってくれないのか、と口にしてしまいます。

マルグリットは涙をぬぐって、彼女を祝福するのでした。


ジャンが戻ってきたその夜、寝室でマルグリットはジャンにル・グリが彼女にしたことを正直に話します。

あまりの話にジャンは逆上し、マルグリットがル・グリから逃げようとしなかったことを責めるのでした。

が、逃げようとしたものの失敗したことを知ったジャンは、ル・グリに対して敵意をむき出しにします。

マルグリットが夫のサポートを得ながら、ル・グリの無法を裁きたいという言葉に同意するものの、ジャンはル・グリによって汚されたマルグリットを清める意味で、マルグリットの意思を聞くことなく、夫婦の語らいをおこなうおうに強制し、ベッドに入ることを命じるのでした。


ジャンはル・グリを決闘裁判の場で打ち負かすことを秘策にして、準備行動を始めます。

まず手始めにしたのは、ル・グリがマルグリットを強姦した、という話をできるだけ広めることでした。

そうすることでうわさが広まれば、ル・グリがだんまりを決め込むことができなくなるからです。


その作戦はカルージュ家に恥を書かせることになるとニコールは反対しますが、ジャンは聞き入れません。

ニコールはジャンがこのような手を使うことに対する不満をマルグリットにぶつけるのでした。

それは彼女さえ黙っていれば、公にならず、家名も保たれた、という理屈からです。

しかしマルグリットは一歩も引かず、ル・グリの悪事をさばく必要があると反論するのでした。


そんなマルグリットにニコールもかつて若いころ、レイプされたことがあると打ち明けます。

そしてその時のことは彼女の胸にしまっておくことで今まで生きてこれたのである、とも付け加えるのでした。


一方で友人のマリーはマルグリットに対して理解不能な反応をします。

マリーの考えからすれば、ル・グリを糾弾する行動に出ることは考えられないものだったようです。
それはまるで被害者であるはずのマルグリットに非があると取れなくもないものと、マルグリットは感じたのでした。

結・パリ高等法院での審理と決闘裁判の行方

パリ高等法院での審理が始まるとジャンとル・グレに審問が行われましたが、その後にマルグリットにも審問が行われました。

実はこの時、マルグリットは妊娠しており、そのことがマルグリットは虚偽の証言をしようとしていると疑われたのです。

というもの、その当時のキリスト教ではレイプによる妊娠は起こらない、と信じれていたからです。

彼女が妊娠していて、それがル・グリの子供であったのであれば、ル・グリの行為はレイプではない、と決まってしまうのでした。

しかもジャンと夫婦になってから5年の間、妊娠せず、強姦があったと訴えてから妊娠したことについても、疑問を持たれていたのです。


また性行為の際、絶頂を感じた経験はあるのか?ル・グリとの行為の際には絶頂を感じたのか?などという質問も僧侶から浴びせられます。

さらにル・グリのことを美男子であると言ったという証言が得られており、それについても質問されます。

ル・グリを美男子であると言ったことは認めましたが、同時に信用ならないと感じた、と発言したことを述べて反論し、ル・グリとの行為の最中に絶頂は感じなかったと絶叫に近い発言で、彼女への尋問は終わりました。


最後に、この段階でマルグリットには全く知らされていなかった事実がシャルル6世の口から発せられます。

それは、ジャンが決闘に負ければ、マルグリットは虚偽の証言で裁判を起こしたという罪を犯したことになり、その罰として生きたまま焼かれることになる、というものだったのです。

この決闘裁判の結果によって、マルグリットも死んでしまうかもしれない、ということでした。

その事実を知り、ショックと恐怖で顔をこわばらせながら、マルグリットは訴えはすべて真実である、と明言します。

これでシャルル6世は決闘裁判を認め、カルージュとル・グリの決闘が行われることが正式に決まったのでした。


審問会が終わった後、ジャンはマルグリットに、彼女がル・グリのことを美男子だと言ったことに対して責め立てます。

が、マルグリットのほうも、決闘裁判でジャンが負ければ彼女も焼き殺されることを知っていながら黙っていたジャンを責めるのでした。

マルグリットのためと言いながら、本当はジャンは自分の虚栄心を満足したいがためにル・グリとの決闘裁判を起こしたのであり、マルグリットはジャンにとって、自分の虚栄心を満たすための駒にしか過ぎない存在だったわけです。


1386年12月8日。
決闘の日がやってきます。

生まれた待望の男児を抱いて、マルグリットは準備をするように、と言いに来たジャンにこうつぶやくのでした。

「愛しい息子を産んだのにこの子の成長していく姿をもう見れないのかもしれない。そんな危険があると知っていたのであれば、これまでの多くの女性のように、あんな目にあっても黙っていたのに。」と。


シャルル6世をはじめとした貴族、騎士、聖職者、そして多くの国民が見守る中、カルージュとル・グリの決闘は始まろうとしていました。

マルグリットは決闘上の中に作られた櫓の上に鎖でつながれて、決闘の行方を見ることになります。

そして櫓の下には薪が備えられ、火のついたかがり火も近くに用意されていたのでした。


まずは馬に乗ってランスを使った決闘から始まります。

3度の激突の末、二人は馬から投げ出されてしまいました。


ル・グリは片足が馬の下敷きになり、動けなくなってしまっています。

そこに剣を持って近づいてくるカルージュ。

不利な体勢ながらカルージュの剣を受け止め、ついにル・グリは立ち上がって剣を抜きます。


しばし剣を激しく交える二人でしたがカルージュの一撃がル・グリの剣を折ってしまいます。

仕方なく短剣で対するル・グリ。


何とかカルージュの攻撃をかわしつつ、ついに懐に入ってカルージュの右足の付け根に短剣を突き立てることができたのでした。

この傷を見て決闘を見ていたアランソン伯は、時間が経てばカルージュは出血多量で死ぬと、ル・グリの勝利を確信します。


傷のせいで地面に膝立ちしかできないカルージュ。

その背後からとどめを刺そうと近づくル・グリでしたが、近寄ってきたところを見計らい、カルージュは振り向きざまに左足の膝裏あたりに強烈な一撃を加えます。

これによって形勢は再び逆転。

地面にあおむけに倒れるル・グリにむけ、カルージュは短剣を抜いてとどめを刺そうとします。


必死に押し返すル・グリにカルージュは罪を認めて有罪を受け入れろ、と叫びます。

しかしル・グリは頑として無実を主張。

そんなル・グリの口の中に短剣を突き立て、ル・グリにとどめを刺すのでした。


勝利者の誕生に沸き立つ群衆。

それにこたえるようにカルージュは立ち上がり、開放されたマルグリットと抱擁を交わすのでした。


勝者であるカルージュはマルグリットを馬にのせ、自身も馬に乗ってパリの町へと出ていきます。

が、マルグリットは一度も微笑むことはなく、厳しい表情のまま、カルージュの後をついていくのでした。


数年後、マルグリットと息子は二人で庭に出て遊んでいました。

画面上に字幕が映し出され、ジャンは決闘から数年後に、戦場で命を失ったことが伝えられます。

マルグリットは残された領地を管理し、息子の成長を楽しみに暮らしていました。

そして最後に、マルグリットは二度と結婚しなかったことが伝えられ、映画は終了となります。

最後に簡単な感想

映画「最後の決闘裁判」は、主要登場人物の3人が、それぞれ真実だと思っている主観を基に各章が構成されていました。

それによって武骨で不器用ながらも妻をいたわっていたと思われたジャンは、マルグリットからの視線でみると、実はマルグリットの本当に欲している方法では決してない、ジャンの独りよがりによる行為でしかなかったことが分かるのです。


またル・グリも愛だなんだと言ってはいたものの、実際にはマルグリットが本当に何を欲しているかも考えず、自分自身の欲求だけを満たして、しかもそれを美化しているだけであるのが分かります。

女性の権利がほとんど認められなかったこの時代。
今でも女性が差別されるわけですからこの当時はどんなに理不尽でも自分の胸の中にしまっておくことが最善策であったことを思い知らされました。


最後のマルグリットの主観を見た後、ジャンやル・グリの主観では見られなかった、つまり彼らにとってはどうでもいい出来事がどれだけ無意識に無視し続けたのかを数えたくなってしまったものです。

翻って自分に置き換えると、夫としてジャンのような振る舞いが多少なりともあるのではないかと、とても考えさせられ、反省することになった映画でした。、












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