映画「トロールズ ミュージック★パワー」
残念ながら日本では劇場公開がスルーされたアニメ映画「トロールズ」の2作目となります。
とはいえ、1作目を見ていなくても問題ないほど内容に関連性はありません。
1作目を見ていないことで、分かりずらい点をあえて挙げるとすれば主人公のポピーやブランチをはじめとしたポップトロール達の関係性でしょうか。
しかしそれもそれほど気にならないように内容がまとめられていますので、ほとんど問題はないでしょう。
そんな映画「トロールズ ミュージック★パワー」ですが、とても楽しめた点とちょっと残念に思った点の2つがありましたので、ネタバレ感想として紹介したいと思います。
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映画「トロールズ ミュージック★パワー」を楽しめた点のネタバレ感想
何といっても映画「トロールズ ミュージック★パワー」で楽しめた点は音楽と歌でしょう。
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ポップ
ハードロック
クラシック
カントリー
テクノ
ファンク
という6つの音楽と、それらの音楽に合わせてデザインされたトロールが登場します。
更に他にも、スムーズジャズ、K-POP、レガトン、ヨーデルといったジャンルの音楽のトロールも登場し、それぞれの音楽と歌を披露する超豪華なラインナップ。
そして最後にすべての音楽ジャンルのトロールによるオリジナル曲「Just Sing」は圧巻の一言です。
また、トロールズならではの明るい色彩とかわいいキャラクターでまとめられている世界観も、音楽ととてもマッチしてとても楽しい気分で、始めから終わりまで楽しむことができました。
映画「トロールズ ミュージック★パワー」の残念だった点のネタバレ感想
そんな映画「トロールズ ミュージック★パワー」ですが、残念に感じた点もありました。
それは、登場する音楽のジャンルが多すぎると感じた点です。
多くの異なる音楽がそれぞれ一緒になってより良いものを生み出す、というエンディグになっていますし、主題も「異なる個性を認め合う」というものである以上、より多くの違いを登場させないといけません。
が、その異なる個性を音楽のジャンルにおいてしまったせいで、それこそ数限りなく細分化できてしまうことになります。
映画で登場した10種類の音楽の他にもそれこそ山のように多ジャンルが存在しますし、例えば「クラシック」の中にはさらに、
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古代の音楽
中世西洋音楽
ルネサンス音楽
バロック音楽
古典派音楽
ロマン派音楽
国民楽派
印象主義音楽
新古典主義音楽
近代音楽
現代音楽
と分類することができます。
「ジャズ」だって「スムーズジャズ」が登場するなら他の「ジャズ」は?となりますし、日本人としてはK-POPが入っているならJ-POPだって、と思わずにはいられません。
しかし映画という限られた時間の中で、登場人物を増やすことはストーリーをまとめるをとてもむつかしいものにしてしまいます。
一つ一つの音楽ジャンルのトロールに焦点を当てるエピソードを盛り込まなくてはいけませんが、ジャンルが増えれば増えるほど、個々のエピソードがどうしても短いものにならざるを得なくなってしまうのでした。
具体的に言えば「クラッシック」。
主要な6つの音楽の一つに含まれていましたが、スムースジャズよりも存在感がなかったように思いました。
また、K-POPとレガトンも無理やりストーリーに絡ませた感を感じなくもない、という印象も受けました。
つまり簡単に言えば、
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世界観を広げすぎてまとまりに欠ける感じがした
、ということです。
その点を考えると1作目のほうがストーリーがきっちりと始めから終わりまですっきりしていたと思いました。
映画「トロールズ ミュージック★パワー」の主題歌Just Singの紹介
映画「トロールズ ミュージック★パワー」でのエンディングではハードロック・トロールの女王バーブと彼女の企みを阻止しようとしたパピーのために、すべてのトロールたち自らの音楽を失ってしまいます。
しかし6つに分かれていたトロールたちがそれぞれの心の中から湧き上がる音楽を音にして、それらを融合することで音楽を取り戻すのでした。
その時の歌こそ、主題歌の「Just Sing」
他との違いなどを気にせずに自分自身をさらけ出し、同じように自分を出した周りの人とハーモニーを作ることで音楽は生まれる、と訴えています。
映画「トロールズ ミュージック★パワー」の主題でもある「他との違いをお互いに認めよう」という主張は、昨今の世界中に広がる自国主義や多民族や他人を排除するヘイトに相反するもの。
「Just Sing」の制作に携わり、映画全体でもエグゼクティブ音楽プロデューサーを務めたジャスティン・ティンバーレイクは、主題歌を含めた映画の曲に対し、インタビューでこのように話していました。
今、世界はとても身近になってきていてどんな情報でもすぐに手に入れられることができる。
それは音楽も同じことで、全く異なるタイプの音楽をどこにいてもすぐにふれることができるようになった。
いわゆる多様性をこれまで以上に身近に触れることができるようになり、「違い」というものが珍しいことではなくなったのだ。
それなのにいまだに異物は排除しなくてはいけない、という価値観があり、同じであることが重要という考えがいまだに人々の中から消えてはいない。
よく自分でも「僕らは一緒だ」とか「僕らは同じだ」とよく口にするけど、同じ人種の人間だって全く同じ人間は一人としていない。
そしてその違いこそが、我々を強くしてくれるし、一人一人が個性を発揮していることにつながっていると思う。
自分の息子にも言って聞かせているけど、例えば学校に行って自分は他の友達と違う、変わり者だ、と感じて落ち込んだり、不安になったりすることがあると思う。
しかしその違いこそが、自分というかけがえのない、他にはどこにもない一人の人間を作り出しているということの大切さであり、もっと肯定的にとらえるべきなんだ、と。
その思いを音楽に託し、いろんなジャンルの音楽を組み合わせて作り上げたのが「Just Sing」なんだ。
ジャスティン・ティンバーレイクの言葉は簡単そうでいて、なかなか実際にはその通りに行動できないと、自分でも反省してしまう、とても大切なものだと感じました。
だからこそ、「Just Sing」が、そのノリノリの音楽とも合わさって、とても心に響くのでしょうね。
最後に「Just Sing」のオフィシャルミュージックビデオ(英語版)を紹介しておきます。
まとめ
映画「トロールズ ミュージック★パワー」は子供向けの映画としてかわいらしく明るいテイストでまとめられている上、大人にも楽しめる音楽のオンパレードとなっています。
そして映画を通して語りかけられる主題は、多様性への賛美と個性の重要性、そして違いの融和でより良い世界を作るという、近年問題とされている排他主義や特定の人種至上主義を真っ向から否定するというもの。
どうしても他人と違うことはいけないことだ、と思ってしまいがちですが、それを他では絶対に出せない自分独自の個性で、その個性と他の人の個性を融合することでより良い世界や社会ができる可能性を感じずにはいられない映画となっていました。
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