アニメダンジョン飯チェンジリングの元ネタについての解説!輪っかについての考察も

アニメーション

アニメ「ダンジョン飯」でライオスたちが全く異なる人種に変化してしまう原因となったチェンジリング。

日本語で訳すと「取り替えっ子」という意味であり、ヨーロッパの伝承ではトロールやエルフと言った妖精によって、子供が他種族と取り替えられてしまう、というものです。

アニメ「ダンジョン飯」ではこの原因をキノコの力によって、という設定にされていました。

そこには「チェンジリング」の「リング」にかけられた作者のアイデアがあったと思われます。


今回はまず、「チェンジリング」の元ネタについての紹介をしていきます。

そして、なぜ輪っかをくぐることで身体が変化するのか?の理由についての考察をしていきたいと思います。








アニメ「ダンジョン飯」チェンジリングの元ネタについての解説

チェンジリングの元ネタはヨーロッパの伝承からです。

人間の子供が密かに連れ去られ、そのかわりに妖精の子供が置き去りにされる、というものが主な伝承の内容です。

理由としてトロールは洗礼前の幼い子供をさらうと信じてられていました。

人間の中でも美しい子供と若い女性、特に金髪の持ち主は、フェアリーに好まれ、取り替えっ子の対象となったと考えられていました。

スコットランドの民俗伝承では、子供は地獄へ十分の一税として献上される妖精の子の身代わりに取り替えられたという記録があります。

一部の民俗学者はフェアリーが多神教時代のヨーロッパの住人で、侵略を受けて地下へ隠れたと信じています。

そして、取り替え子を行う理由は、自分たちのひ弱な子供の代わりに、侵略者である人間の健康な子欲したため、というものでした。

ヨーロッパの取り替えっ子伝承

取り替えっ子の伝承はヨーロッパでも地域によって内容が異なります。

例えばスカンジナビアの民族伝承では、妖精は鋼を恐れるので、取り替えっ子を防ぐため、洗礼前の子どものゆりかごにハサミやナイフを隠していたそうです。

しかしそのような対策をしていても取り替えっ子の被害にあってしまった場合、取り替えっ子にひどい扱いをすると本当の自分の子供を取り返せると信じられていました。

このことで、子供がオーブンで焼死させられるという裁判記録が残っているほどです。


イギリスのウェールズ地方の取り替えっ子伝承では、初めは取り替えられた者に似ているとされています。

が、成長するにつれて病的な顔つきになり、不格好で気難しく、叫んだり噛み付いたりなどして、次第に容姿や振る舞いが醜くなっていくのだそうです。

取り替え子は、同じ年頃の人間の子供よりも決して賢くはなく、むしろ子供っぽい知恵とずるさによって正体を見破られてしまうとされていました。


アイルランドでは、赤ん坊に対する称賛や羨ましいという感情が妖精を刺激し、その赤ん坊を盗んでいく、という伝承が残っています。

中でも女性で健康的で美しいと妖精の国で新しい花嫁や新しい母親にされると信じられていました。

考えられている本当の原因

取り替えっ子だと疑われた理由の本当の原因は、奇形児や知的障害児だと考えられています。

特に正常に成長しない子供たちの特異性を説明するために、取り替えっ子説が発展し、少なくとも用いられてきたのでしょう。

成長の遅れや異常のある症状、特に、自閉症児は取り替え子や、その不可思議さや時に説明しがたい振る舞いから、エルフの子というレッテルを貼られがちであった考えられています。

チェンジリングの輪っかについての考察

アニメ「ダンジョン飯」のチェンジリングはキノコの輪っかの中に入ることで発生する、とされています。

これは「チェンジリング」の「リング」が輪っかの意味である「RING」と同じ発音であること。

そしてキノコの中で菌輪(きんりん)または菌環(きんかん)と呼ばれる、輪っか状にキノコが発生する現象と結びつけることで、設定されたと考えられます。

菌輪(きんりん)と「リング」の関係

菌輪(きんりん)、または菌環(きんかん)とも呼ばれるこの現象は、キノコが地面に環状(あるいはその断片としての弧状)をなして発生すること、あるいはその輪自体のことを指す言葉です。

環状という輪を形成することから、輪の意味である英語の「RING」と結び付けられました。

実際、菌輪(きんりん)のことを英語で「Fairy Ring」と言い、直訳すれば「妖精の輪」という意味になります。

しかし厳密には「チェンジリング」の「リング」は「Ling」であり、輪っかを意味する「Ring」とは違う綴です。

ではこの、「Ling」の意味はどういったものなのでしょうか?

「Ling」は親しみなどが込められた「指小辞」

「Ling」は専門的な言葉でいうと「指小辞(ししょうじ)」といいます。

その意味は、主に名詞や形容詞に付着して、「小さい」「少し」といった意味を付随させる接辞になるのでした。

日本でもこの指小辞に当たる言葉はありますが、「きれい」の頭に「こ」をつけて「小綺麗」というように、単語の頭につけるものも存在します。


用法として、相性や親近感を込めるために使用したり、逆に軽蔑の意味を込めて用いたりします。

また、「…のようなもの」といった意味で用いたりする場合も。


「チェンジリング」に関しては、できれば関わりたくないことから、侮蔑の意味が含まれると考えられます。

実際、チェンジリングが疑われる対象の子供は、知的障害児であったことが理由と考えられていますので、なおさらだと思われます。

ある意味、差別的な言葉でもある、と考えることができますね。

チェンジリングで輪っかにこだわった理由を考察

アニメ「ダンジョン飯」では、チェンジリングの理由としてキノコの胞子がくっついたため、となっています。

しかし実際の行動では、輪っかをくぐることが変化のきっかけになっていました。

胞子の付着が変化を作用するのであれば、輪っかをくぐるかどうかなど、関係ないはずです。


「チェンジリング」の「リング」とある種のキノコが形成する菌輪(きんりん)、これが英語では「フェアリーリング」と呼ばれていること。

これらの要素を考慮して、「ダンジョン飯」世界ではキノコの胞子をつけた状態で、輪っかの中に入ることで、身体が変化する、という設定にされたと思われます。

まとめ

チェンジリングの元ネタについて紹介し、体の変化に輪っかが関わる理由を考察してみました。

「チェンジリング」はヨーロッパで伝承されていた取り替えっ子のお話が元ネタです。

地域によって条件は異なりますが、何らかの条件が満たされた子供は、妖精に気に入られ、彼らの子どもと取り替えられる、というお話になっています。

この伝承が生まれた原因は、子供の知的障害が発達障害で、多くの他の子どもと比べ、奇異な行動をする子供に対して、合理的な説明をつけるため、と見られています。

そして、取り替えっ子によって連れ去られた子供を取り戻す手段として、残された子供を虐待するという方法が信じられていたことにより、実際に子供が殺められてしまう、という事件が起こったという悲劇が記録されているのでした。


アニメ「ダンジョン飯」の世界でチェンジリングに輪っかが関係している理由は、「チェンジリング」の「リング」が輪っかを意味する英語「Ring」と同じ発音であるためです。

そしてきのこの仲間のうち、菌輪(きんりん)と呼ばれる環状にキノコを発生させる種類があるため、結び付けられたと考えられるのでした。







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