カナダ在住20年の筆者が見た映画の感想とふと思った疑問についてを勝手気ままに書いていくブログです。

映画アメリカンアニマルズのネタバレと感想!元ネタの画集の解説も!

2019/07/22
 
この記事を書いている人 - WRITER -

映画「アメリカン・アニマルズ」は普通の大学生が、一攫千金を狙って実際におこした強盗事件を映画にした作品です。

他の作品と異なるのは、この映画が史実を映画にした」作品と冒頭で紹介されているところでしょう。「史実を元にして作成された映画」というものはたくさんありますが、「史実を映画にした」というのは、僕にとっては初めてです。

実際に本当に強盗をした4人や彼らの家族、被害者までもインタビューに答えているシーンを映画の中に取り入れています

よくあるクライム・サスペンスやクライム・アクションというジャンルの映画とは一味違ったクライム・ドキュメンタリーとも言うべき映画なのですが、見終わっても今ひとつ彼らが犯罪に手を染めた動機について、納得することができませんでした







予告動画はこちら

簡単なあらすじとキャストの紹介

2004年に4人の大学生が時価1200万ドル(約12億円相当)のビンテージ本強奪を狙った窃盗事件を映画化。

ケンタッキー州で退屈な大学生活を送るウォーレンとスペンサーは、くだらない日常に風穴を開け、特別な人間になりたいと焦がれていた。

ある日、2人は大学図書館に保管されている時価1200万ドルを超える画集を盗み出す計画を思いつく。
2人の友人で、FBIを目指す秀才エリック、すでに実業家として成功を収めていたチャズに声をかけ、4人は「レザボア・ドッグス」などの犯罪映画を参考に作戦を練る。

作戦決行日、特殊メイクで老人の姿に変装した4人は図書館へと足を踏み入れ……。

エバン・ピーターズ、バリー・コーガン、ブレイク・ジェナー、ジャレッド・アブラハムソンの4人が犯人の大学生役で出演。監督は、

ドキュメンタリー映画「The Imposter」で英国アカデミー賞最優秀デビュー賞を受賞したバート・レイトン。

ウォーレン・リプカ: エバン・ピーターズ

スペンサー・ラインハード: バリー・コーガン

チャズ・アレン: ブレイク・ジェナー

エリック・ボーサク: ジャレッド・アブラハムソン

引用「映画ドットコム




失敗したときのことを想像しないのか?

実話を元に映画化されたのこの「アメリカン・アニマルズ」

映画としてはちょっと変わった作品で、実際に4人の大学生が起こした事件を、本人たちのインタビューを交えて、犯罪を思いついたところから計画・準備段階、そして犯行とその後と時系列に追っていっています

その時の心境など、本人たちにインタビューして話してもらっており、きちんと映画の中で明かされるのですが…。

見終わってもなんとなく、釈然としないのですよね。

なぜ、それをやろうと思ったのか。

わからないからかもしれませんが、犯罪に手を染めた彼らに共感できないのですよ。

一応彼らには、犯罪に手を染めるだけの強い理由があるらしいのですが、僕からしたらそんな理由だけで一線を越える決断をいとも簡単にしちゃう?としか思えないのです。

大学生活を送りながら、これといった楽しいこともなし。

大学生活ですら、なぜ送っているのかわからない。
ただ、なんとなく、それが普通だから。

それだけの理由で生きているウォーレンとスペンサー。

憂さ晴らしに、廃棄される食料を盗み出すくらいしかできない小心者でもあります。
廃棄物ですので、見つかっても店側から訴えられることもないし、警察に突き出されることもない。

そんな安全なところに身を隠し、それでいて危険を味わいたいという矛盾したモヤモヤを抱えている。

まったくもって不健全極まりない。

そんな彼らが、大学の図書館に時価12億円以上の貴重な本が保管されていることを知り、それを盗み出そうと思い立つのです。

もちろん、時価12億とはいえ、手に入れた後、すぐに換金できるわけではありません。
絵画という特殊なアイテムですし、12億を出せる相手もそう簡単には見つけられないでしょう。

その事も考えて、盗品をあつかう売人にコネを作り、盗み出した後、すぐに現金化できるようにもします。

が、計画が稚拙すぎると思わざるを得ないのですよ。

たとえば、この「売人」。

オランダまで行って話をつけてきた事になっていますが、実際にうまく盗み出し、盗品をこの組織に渡した所で、本当に現金が手元に入ってくるのかどうか、不安に思わないのでしょうか?

相手が物だけ手に入れて、ドロンをしたとして、どうやって追いかけるつもりなのでしょう?

また、「盗み出す」行為も、入念に準備をしているように見えますが、実際の犯行時には予期せぬハプニングばかりで、結局目的のものは盗み出せないという間抜けさ

だいたい、逃走経路として予定していた地下室から抜け出せないって、あまりにもお粗末として言いようがないでしょう。

また、たった一人の年配の女性図書館員しか、保管室にいないから盗みやすい、と考えたようですが、それでも彼女は犯罪の目撃者となるわけです。

その対策として変装をしていきますが、当初、計画していた実行日に、一人だと思っていた図書館員が、複数いて実行を断念。

で、急遽、翌日に変装無しで自分の顔をさらけ出したまま、犯行に及びます。

変装していてさえ、目撃者となる人物に接触するのは危険だと思うのですが、素顔を見られて後々足がつかないとどうして思ったのでしょうか?

とにかく、彼らにとって成功、失敗はどうでも良かったような気がします

普通では味わえない興奮を体験できていることで、生きている満足感を味わった気になったのでしょう。

興味深かったのはいざ、実行するとなってスペンサーが失敗した際に自分だけではなく、周りの人、特に家族にかかる迷惑に気がついたことです。

嫌がっていた平凡な人生、それをずっと送っていくことの難しさの断片を、初めて感じ取った瞬間なのかな、と思いました。
やっと今になって気が付いたのか、とも思わなくもないですが。

エリックとチャズが参加した理由?

映画ではウォーレンとスペンサーのシーンが多く、彼らがどうしてこの馬鹿げた計画を思いついて実行に移していったのかを共感はできないまでも、なんとなく理由が薄っすらと形になってくる気になるくらい、二人の心情が伝わるようにできていたと感じました。

その一方で、途中から参加したエリックとチャズの二人は、なぜこの計画に参加し、最終的に犯罪の片棒を担いだのか、今ひとつ、理解ができなかったように感じました

エリックはFBI志望の秀才、チャズはすでに起業して成功をしています。

12億というお金は確かに魅力はあるでしょうが、それでも失敗したときに失うもののことを考えた場合、ウォーレンとスペンサーに乗っかるだけの強い動機がわかりません。

1回めの実行日に、予定外に保管室に図書館員が複数いたため、中止しましたが、その後、犯行を中止したいと強く思ったのはスペンサーのみです。

一方でウォーレンは何が何でもやりたくて仕方がない、という思いは伝わりましたが、じゃ、エリックとチャズは?と思ってしまったのです。

映画で見る限り、二人はウォーレンのように何が何でも実行して金を手に入れんだ、という意志は感じられません。

どちらかと言うとスペンサーのように、実行できなくてよかったという思いが強いような気がしました

それでも、次の日、犯行に加わっています。

なんとなく、エリックとチャズの心情の変化を読み取る描写が物足りないと感じたしだいです。




引き返すタイミングはいくつもあったのに

計画・準備段階では、とくにウォーレンは楽しそうでした。

ただ、実行段階になって、実際に襲ってくる緊張や不安などは、とてつもないものだったことが、映像から感じ取れました。

だからこそ、1回目の予定外の出来事による、計画の中止は、彼らが引き返す大きなチャンスであったと思います。

計画段階では想像もしなかったプレッシャーも、感じることができたわけですから、そんな状況下でも計画通りに犯行ができるのか、自問自答したり、4人で相談する時間をとってもよかったと思います。

また、僕が感じた2つ目の引き返しポイント、結局ここが、最後のチャンスでしたが、ウォーレンに呼ばれたエリックが、保管室前に立ったとき、図書館員がまだ、そこにいて、普通に作業をしていた事に気がついたときだと思います。

ウォーレンはエリックに、「図書館員をなんとかする、それが終わったら上にくるように呼ぶ」と断言しました。

それができていない以上、あそこでエリックが回れ右をし、保管室から立ち去ることはできたはずです。

当初の計画では前日に、万全の変装をして、犯行に及ぶことになっていました。
その計画が狂い、次の日に、素顔を晒したまま、目撃者の前で犯行に及ぶことになってしまっています。

その際、一人だけでなく二人も素顔を見られたとしたら、そこから足が付く可能性はより大きくなってしまうでしょう。

エリックは、そのことを理由にして、犯行に及ぶ前に計画の中止を選択する事ができる立場にいたと思うのです。

しかし、実際にはあまりの緊張に、ウォーレンがやるといっていた図書館員の始末をしていなかったときという事態が起こることに頭が回らず、そうした場合にとるべき行動を考えていなかったため、成り行きに身をもてあそばれるように破滅へと転がり落ちていったように感じました。

元ネタになった画集の解説

映画の中で4人が盗み出そうとし、結局失敗した時価12億円の画集「アメリカの鳥類

映画の中でも少し解説されていましたが、この画集を描いたのはジョン・ジェームズ・オーデュボンという画家兼鳥類研究家です。

1800年台前半に活躍したフランス人ですが、もともとの生まれはフランス領のカリブ海。

一時期フランス本国で育ちましたが、18歳のころにアメリカに渡り、その間鳥の研究やスケッチをおこない、39歳のときにイギリスに渡って、画集を出版しました。

イギリスに渡った理由は、画集の出版元をアメリカで見つけることができなかったからです。

アメリカの鳥類は印刷業者にちなんで「ハヴェル版もしくはフォリオ版」、「オクターヴォ版」、「ビアン版」があり、現在全世界中で120部しか存在していません。

そのうち、107部が研究・展示・教育機関の所有。13部が個人の所有となっています。

過去にオークションで売りに出された際についた金額は、2000年に約9億、2005年には約6億となっています。

こちらどちらもは初版の完全コピーではありませんでしたが、それでもこれだけの値を付けています。

初版の完全コピーが売りに出された2010年と2012年にはそれぞれ、約12.5億、約9億という値段で取引されました。

映画で時価12億と紹介されているのは2010年のオークションでついた値段を参考にしていることがわかりますね。

ただし、映画の舞台となった犯行が行われた時代は2004年。
スペンサーが初めて図書館の保管室で本を見て、絵の価値を含めた説明を受けたのが2003年。

この時点では2000年に約9億円でオークション取引されたのが、その当時、書籍に関する最高値の記録でした。

ですので、本当であれば時価12億というのはおかしいことになります。

12億という数字は2010年のオークションで処版の完全コピーの「アメリカの鳥類」についた値段であり、スペンサーが2003年に図書館で本を見たときには12億という値段まだつけられていないからです。

しかも2000年の9億という値が、世界最高値であったわけですし。

この12億という数字は、明らかに映画の設定ミスですね。

本のサイズは縦100 cm、横72 cmという大きさ。
初版で435枚の絵画、多いバージョンでは500枚の絵画が収められています。

その初版は1巻87枚の計5巻で完全セットになるように分けられていました。

映画で、本2冊をウォーレンとエリックで持ち出そうとしていましたが、とても重そうにしていたのがわかる気がします。

また、2冊だけだと、完璧とはいえず、持ち出しに成功していたとしても12億の値はつかなかったでしょうね

ここまでレアな画集ですので、盗み出した後、たとえ裏の世界だとはいえ売りに出されたら絶対に話題になりますし、その分、足がつきやすいと思うので、お金目的の盗品としてターゲットにするには、かなり向かないものだと思います。

まとめ

最近、バイトテロなど若者の後先考えない行動がよくニュースになりますが、10年以上も前にアメリカで、若気の至りとしては、かなり大掛かりで馬鹿げた犯罪をしてしまった大学生がいたことに、呆れてしまいました。

面白くない日常をぱっと変えたい、という気持ちはわからなくもないですが、そんな、魔法のように、一瞬で物事が変わることって、まず無いんですよね。

結局は小さいものの積み重ねでしか、変わらないし、そうでないと身にもつかないですしね

一時の成功で、うまくいったとしてもそれはたまたまラッキーなだけで同じことを何度も繰り返して成功させることなんてできません。

ま、そんなことがわかっていれば、彼らはあんなバカげたことをすることもなく、7年も刑務所で過ごすこともなく、その後の人生で「あの時やめていたら、」という後悔をし続けなくてすんだのでしょうけどね。








この記事を書いている人 - WRITER -

- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

Copyright© Takmoの映画三昧 , 2019 All Rights Reserved.