映画「アナと雪の女王2」は、ディズニーアニメーションの歴史において画期的なストーリーになっていると思います。
ご覧になった方は分かると思いますが、「アナと雪の女王2」では、これといった、はっきりと分かる敵役、ディズニーヴィランズが存在しないような印象を受けます。
映画「アナと雪の女王2」ではディズニーヴィランズは存在するのでしょうか?
するとすれば、一体誰なのでしょう?
今回は映画「アナと雪の女王2」におけるディズニーヴィランズについて考察していきたいと思います。
アナと雪の女王2のディズニーヴィランズは?
ディズニーヴィランズは自分自身の中にいる!?
結論からはっきりとさせておきますと、映画「アナと雪の女王2」ではディズニーヴィランズに相当するキャラクターは存在しません。
これは監督のジェニファー・リーがインタビューではっきりと答えています。
曰く、
「今回の作品にキャラクターとしてはっきりとディズニーヴィランズだと分かるような人物は存在せず、自分自身との戦いをテーマにしていて、あえて言うのであれば、迷いや悩みなどが今回のディズニーヴィランズになるでしょう。」
と。
実際のストーリーを見てみると、あえて悪者の役回りとなっているキャラといえば、エルサやアナの祖父、ルナード国王くらいです。
ディズニーヴィランズとしては個性が弱いルナード王
ルナード王は、
-
・ノーサルドラの人々やその森の自然の魔力などをきちんと理解せず、
・自分勝手な解釈から危険視をしてしまい、
・挙句の果てに王としての権力を行使して、相手の力を弱める目的で贈り物をし、
・さらにはだまし討からの根絶やしを企み、それを実行した。
という、とんでもない迷惑な人物として描かれています。
たしかに、聞く耳を持たず、独りよがりの視点だけを盲信し、しかもだまし討からノーサルドラの人々と争いを始め、さらには戦争の原因をノーサルドラの人々に押し付けたのですから、悪役以外の何物でもありません。
しかし、ルナード国王はエルサやアナがノーサルドラに迷い込んだときにはすでに亡くなっており、エルサやアナに面と向かって対峙するキャラクターではありません。
どちらかといえば、エルサとアナはルナード国王が犯した過ちを正すために今回の冒険を行っている事になっています。
さらにルナード国王のフォローをするとすれば、彼があの時点でノーサルドラを騙して根絶やしにしなくてはならない外因が存在した可能性もあると思うのです。
彼らを根絶やしに、その土地を奪わなければ、国内の反発が抑えきれず、彼自身が倒されかねない、という事情があったのかもしれません。
エルサが見た過去の真実を知るシーンの、ルナード国王と部下の会話を見る限り、その可能性は低そうですが…。
ディズニーヴィランズが存在しない理由
とにかく、映画「アナと雪の女王2」ではディズニーヴィランズに当たるキャラクターは存在しません。
これはディズニーが未来に向けて新しい挑戦をしていく意思の表れでもあります。
個性的な敵がいないことが与えるストーリーへの影響
ディズニーヴィランズがストーリーに与える影響
とはいえ、これまでのディズニーアニメーションは有名なおとぎ話をアニメーション化し、ミュージカル風にキャッチーな音楽を加え、強烈な個性を持つキャラクターを輝かせることで成功してきました。
その個性的なキャラクターの中には、ディズニーヴィランズと呼ばれる各作品の悪役も含まれており、視聴者へのインパクトが大きければ大きいほど、ヒーローやヒロインが際立ってより輝ける効果が期待できます。
実際にディズニーファンの中には歴代のディズニーヴィランズの中で誰が一番魅力的なキャラクターか、という議論がしばしば盛り上がるほどです。
前作でもディズニーヴィランズは薄めのキャラ
ところが映画「アナと雪の女王2」では、そのディズニーヴィランズが存在しません。
エルサやアナが何に対して冒険をし、戦っているのかが最後まではっきりしませんでした。
前作の映画「アナと雪の女王」もディズニーヴヴィランズのハンズが、映画の終わりにようやくその正体を明かすという、これまでにない展開であったためにインパクトが有りましたが、よくよくストーリーを見てみると、ハンズが悪役として裏で糸を引いていた、というよりは、アレンデールの、もっといえばエルサ個人の混乱に乗じて自身の利益を成就させようとしただけです。
明らかに前作でもエルサの悩みがストーリーの中心であり、それを助けようとするアナを始めとした仲間たちの冒険がストーリーに深みを与えていると言えるでしょう。
最後にハンズの悪巧みを阻止し、エルサも自分を信じることができ、ハッピーエンドとなるわけです。
が、ただ、ハンズがディズニーヴィランズとして悪さをしようとし、その企みが阻止され罰を与えられたことで、エルサの立ち直りがより嬉しい結果になったと思います。
もしハンズがいなければ、「アナと雪の女王」のエンディングはあそこまでのハッピーエンドになっていたでしょうか?
ディズニーヴィランズがいないストーリーから受けた印象
そして、今回の映画「アナと雪の女王2」では完全にディズニーヴィランズの存在をなくしてしまいました。
それによってストーリーに深みが増した、より考えさせられた、という結果になったか?というと、個人的には残念ながらその挑戦は大きな成功とはならなかった、と思うのです。
新しい挑戦は成功したのか?
ある映画をモデルにした挑戦
今回の映画「アナと雪の女王2」は、1997年に公開された宮崎駿監督の「もののけ姫」をモデルにしているのでは、という噂が流れました。
「もののけ姫」では、完全な悪役が存在せずに、それぞれの立場で正しいことをしているがゆえに争わなくてはならない、という構図になっていました。
「アナと雪の女王2」も、アレンデールの立場、ノーサルドラの立場、エレメンタルの立場と3つの異なる視点に立つことで、理解不足などから争いが起きたというストーリーになっていました。
そして3つの立場全部を知れば、誰が間違いを犯したのか、がわかりますが、とくに直接争いをしていたアレンデールとノーサルドラは、お互いの立場を理解することは、まず無理となってしまったのでしょう。
だからこそ34年後に、エルサとアナという第三者(厳密に言うと違いますが、)がやってきたことで封印が解けたのです。
こんな個性的な適役はいかが?
しかし、特にディズニーの作品が子供がメインターゲットの客層としている以上、昔ながらのわかりやすい悪役のいる作品でも良かったのではないでしょうか。
確かに前作でディズニーヴィランズが最後にわかるという、他にはないストーリーで、しかも作品自体は大当たりしたので、同じようなトリックは使えない状態でした。
ですから、オーソドックスにディズニーヴィランズをはじめから出しておいたら良かったのではないか、と思うのです。
たとえば、自身の考えに盲信するルナード王の亡霊がディズニーヴィランズとして登場させ、盲信しているがゆえに成仏できない、という設定にするというのはどうでしょう?
新しい挑戦は大成功とは言えないがアナ雪2が一番試しやすかった
そんなこうしてみたら、ああしてみたら、と考える余地があるということは、今回の挑戦が成功した、とは言えないのではないか、と僕の中で結論が出ています。
ただ、前作が大ヒットしたので、その続きとして、新しいことに挑戦するのはタイミング的にはよかったのでしょう。
あのヒット作の続編、というだけで見てくれる人が多くなるからです。
全く新しい映画でこの挑戦をした場合、大コケする可能性もありました。
それを回避することができたわけですから、挑戦はしやすかったのかもしれません。
まとめ
映画「アナと雪の女王2」では、これまでのディズニーアニメと異なり、はっきりとしたディズニーヴィランズのキャラクターは存在しません。
監督はそれよりも、主人公であるエルサの心の迷い、疑いをどう克服していくかを表顕することにし、主人公の成長をメインに持ってきました。
ある意味、ディズニー作品の革命的な新しい挑戦であったわけですが、その結果は、というと、成功した、とは言いづらい、前作ほどの感動が残るような映画に仕上がっていたとは思えませんでした。残念ながら。
最後に今回の映画は、完全にコケた、と思ったわけではないことを付け加えさせていただきます。
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