【バックトゥザフューチャー】1.21ジゴワットの電力単位は?タイムトラベルと原子力

SF

映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で登場するタイムマシーン「デロリアン」

デロリアン・モーター・カンパニーのDMC-12という車を改造して作られました。

映画の中でのドクの説明では、タイムトラベルに必要なエネルギーは電力「1.21ジゴワット」と話しています。

いったいこの「1.21ジゴワット」とはどのような電力なのでしょうか?

今回はこの「1.21ジゴワット」について調べたことを紹介していきたいと思います。









【バックトゥザフューチャー】1.21ジゴワットの電力単位はどのくらい?

「1.21ジゴワット」という電力が一体どれくらいのものなのか、それを理解するためには「ジゴワット」の意味を理解する必要がありますね。

「ジゴワット」は、じつは「ジゴ」と「ワット」の2語からなる言葉なのでした。

それでは「ジゴ」と「ワット」のそれぞれの意味を理解すると「1.21ジゴワット」がどのくらいの電力単位なのかわかることになるわけですね。

そちらを説明していきましょう。

「ジゴワット」の電力単位とは?

「1.21ジゴワット」の「ワット」は電力の「ワット(wat)」になります。

電球などの「60W」、「100W」とか、LED電球の「15Wで100W相当の光」などと表記されている「w」の「ワット」です。


この「ワット」という電力単位、知っていそうでいざ説明するとなると、いったいどういった単位なのか、答えにつまってしまうのではないでしょうか?

「ワット」という単位を簡単に説明すると、

    一定の時間の中で電流が行う仕事量を表す単位

となります。


なぜか余計にわかりにくくなってしまったような説明ですね。

それは私たちが日常生活で触れているこの「ワット」の使い方にあるのではないかと思います。


日常でよく使う家電にはそれぞれ、スイッチを入れて使うために必要な「ワット」数があります。

例えば、

    ・液晶テレビ 150W
    ・冷蔵庫 150W~600W
    ・洗濯機 800W~1,000W
    ・炊飯器 300W~700W
    ・掃除機 1,200W
    ・トースター 1,000W

などなど。

つまり、これらの家電は、必要な電力、「ワット」がなければ動かないということになるわけです。


映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の話の中でいえば、デロリアンがタイムトラベルするためには「1.21ジゴワット」の電力がないと、時間転送装置が作動しない、ということになるわけです。


では「ジゴ」とはいったい何なのででしょうか?

「ジゴワット」の電力単位は間違いだった?

実はこれ、英語で表記するところの、

    「gigawatts」

となり、正確には「ジゴワット」ではなく「ギガワット」なのでした。


ギガは100万ですので、1.21ギガワットは121万ワットということになるのです。


では、なぜ「ギガワット」ではなく、「ジゴワット」となってしまったのでしょうか。

それについて脚本を担当したボブ・ゲイルがこのように明かしています。

「gigawatts」の正しい発音はもちろん「ギガワット」なのだけど、監督のロバート・ゼミキスと二人で下調べをしたとき、相談した人物が間違えて「ジゴワット」と発音したんだ。

僕ら二人は全くこの言葉を知らなかったので、この時、「ジゴワット」と発音するものだと思い込んでしまった。


また、「giga」という言葉はもともとギリシア語からの由来の言葉で、ギリシア語は「G」の発音を英語の「G」よりも「J」に近い発音をすることがある。
例えば「巨大な」という意味の「ジャイゲンティック(Gigantic)」などがギリシア語由来の言葉として残っているくらいだし、「ジゴ」と発音することはありえると思いこんでしまったんだ。

そして脚本にもはっきりと「ジゴワット」と書いてしまった。

でも正確には「ギガワット」であり、100万ワットのことで、1.21ギガワットは121万ワットということになるんだ。



と。


これが「ジゴワット」の正体だったのでした。

「1.21ジゴワット」の数字の根拠がどこから来たのかを考察

「1.21ジゴワット」は正確には「1.21ギガワット」であることが分かりました。

ではこの「1.21ギガワット」という数字はいったいどこから来たのでしょうか?


この数字がいったいどこから来たのかについては脚本を担当したボブ・ゲイルも監督のロバート・ゼミキスも言及はしていません。

ですので、映画からわかる情報を基に考察してみたいと思います。

原子力発電所事故の電気出力

デロリアンは1.21ギガワットの電力を得るために原子力を使っていました。

逆説的に言えば、1.21ギガワットの電力を得るためには、原子力の力を使う以外方法がなったのでした。


映画が公開された1985年の6年前に起こった北米最悪の原子力発電所事故「スリーマイル島原子力発電所事故」のスリーマイル島原子力発電所では、二つあった原子炉から837メガワットと959メガワットの電気出力を記録していました。

1000メガワットで1ギガワットになるため、二つの原子炉を足すと電気出力が1.796ギガワットとなります。

また、日本の原子力発電所でいえば、2011年の東日本大震災で大きな災害を受けた福島第一原子力発電所には6つの原子炉がありましたが、そのうちの1炉の電気出力が460メガワト、さらにもう一炉は1100メガワット(つまり1.1ギガワット)、そして残りの4炉が784メガワットでした。

つまり、2020年になった今現在でも原子力の力を借りないと1.21ギガワットという電力は手に入らないことになります。

逆説的な数字と物語の設定のため?

このことを考慮してなぜタイムトラベルに1.21ギガワットの電力が必要になったかを考えると、

    原子力の力を使うくらいしか、方法がないほどの膨大な電力にしたかったからではないか、

と考えられるのではないでしょうか。


つまり、

    プルトニュウムを使ってタイムトラベルをしないといけないことにし、
       ↡
    そのプルトニュウムを過激派テロリストから入手をしたことにして、
       ↡
    ドクが射殺される(実際には死んでいませんが)

という状況を無理がないようにストーリー展開していけるようにしたかったから、です。

1.21ジゴワットとタイムトラベルの設定

これで

    「1.21ジゴワット」の正確な電力単位
    タイムトラベルになぜ「1.21ジゴワット」が必要なのかという設定の理由

が分かりました。


が、実はシリーズを見ていくと、少し疑問が出てきてしまう点があるので、そのことを指摘してみましょう。

バックトゥザフューチャーで一貫した設定

    タイムトラベルをするためには1.21ギガワットが必要



という設定はパート1からパート3まで一貫して変わることのない設定ですが、よくよく考えるとパート3では、電力のことはストーリーから忘れ去られてしまっているのではないでしょうか。

確かにタイムトラベルをするためには時速88マイル、キロメートルに直すと時速140.8キロのスピードが必要です。

が、それはタイムトラベルを発動させるために必要な条件であり、実際のタイムトラベルには1.21ギガワットの電力が同時に必要なはずです。

パート3だけ例外?

ですが、「バック・トゥ・ザ・フューチャー3」では、電力のことは全く触れられず、どうやって時速88マイル(時速140.8㎞)まで加速をするか、という問題をクリアすることが、映画の山の一つになっていました。

そのことについてデロリアンを馬に曳かせてみたり、氷の上で滑らせればとか、坂道を使ったら、とかいろいろとドクは考えていました。

映画内では、蒸気機関車による加速という方法になったわけですが。


実際に蒸気機関車で時速140キロというスピードが出るのかどうか、気になって調べてみました。

すると、日本における最高速度は、

    1948年製造のC62が1954年に時速129 ㎞を記録

とあります。

ただし、この記録を出した状況まで詳しく調べていないので、客車を引いていたのか、など、どのような条件で出した記録かは定かではありません。


そしてこの記録は狭軌(きょうき) レールにおける蒸気機関車での世界最速のものだそうです。

ちなみに狭軌(きょうき)とは、鉄道が走る二本のレールの幅について、軌間1435mmのものを標準軌といい、それよりも小さいもののことを言います。

それに対して標準軌より大きいものを広軌と称します。


さらに世界に目を向けると、

    ・1938年にイギリスの東海岸本線のグランサムにあるストーク・バンクの下り坂で樹立された時速203キロという蒸気機関車の世界最高速度記録をもつマラード号

ものや、

    ・1936年にドイツ国鉄05形蒸気機関車が樹立した記録、時速200.4キロ

というものがあります。


これだけを見れば、映画のように蒸気機関車で時速140キロを出すことは不可能ではなさそうです。


ただし、時速140キロというスピードだけでタイムトラベルが可能なのあれば、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」でもわざわざ落雷を次元転移装置に送電させる必要はなかったはずですね。


その一方で、あのデロリアンはパート2で2015年に行ってきたものですので、もしかするとプルトニウムを必要とせずに1.21ジゴワットが出力できるタイプのものだったのかもしれません。

が、パート1のエンディング、パート2の冒頭であった描写のような、燃料としてのバナナやビール、アルミ缶も1885年には存在しなかったと思うので、いったい何を使って「1.21ジゴワット」を出していたのかが謎のままです。


さらに突っ込んでしまえば、「1.21ジゴワット」はデロリアンに搭載された、家庭ごみを燃料として発電する超小型の核融合炉「ミスターフージョン」で発電できるのですから、さらに電力出力を高め、電気によって時速140キロまで走行可能に改造していれば、問題はなかったのでしょうけどね。

まとめ

映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」でドクが発したセリフ、デロリアンがタイムトラベルに必要な電力は「1.21ジゴワット」ではなく、正確には「1.21ギガワット」であったことが分かりました。

そしてこの間違いは、脚本作成の時点での間違いが気が付かれず、そのまま撮影にまで行ってしまったことが原因だったのです。


さらに1.21ギガワットという電力は原子力を使うくらいでしか作り出せないことが分かりました。

おそらくは、原子力でした作り出せないほどの膨大なエネルギーが必要であったために「1.21ギガワット」という数字が出てきたのだと思われます。


「バック・トゥ・ザ・フューチャー」がここまで大ヒットした映画だからこそ、「ジゴワット」は有名な言葉になってしまったのですね。












コメント

  1. ななしのごんべ より:

    3でのタイムトラベルの電力はミスターフュージョンを使っています。ミスターフュージョンとはゴミを使って原子力並みの発電をする機械です。ですので、バナナやビール缶ゴミがなくても、他のものでいくらでも代替えできる設定になってます。また、電力で走行すればよかったという話ですが、ガソリンエンジンと電気自動車は車を走らせる原理が根本から違います。3の時代でガソリンエンジン車を電気自動車に変える技術は存在しません。それが可能ならガソリンエンジン車を直せますし、ガソリンも再生可能でしょう。電気自動車用のコンデンサーやバッテリー、モーターエンジンを作るのはそれほど高い技術を要するのです。なので、辻褄的にはとても完成されています。

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