アニメ「ダンジョン飯」でコカトリスが登場した際、センシが
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「バジリスク同様、我々を体温で認識している。」
とコメントしていました。
実際、赤外線スコープで見たような視覚で、扉の向こうにいるセンシやマルシル、チルチャックを認識している描写もあり、センシの言葉が正しいことがわかります。
この能力ですが、コカトリスやバジリスク特有の能力なのでしょうか?
調べてみたので、詳しく解説したいと思います。
アニメ「ダンジョン飯」でのコカトリスが体温で獲物を認識する能力の解説
コカトリスが体温で獲物を認識する能力が、アニメ「ダンジョン飯」で登場しました。
扉の中に逃げ込んだセンシ、マルシル、チルチャックの行方をきちんと理解し、扉の前で待ち構えています。
センシの言葉では、この能力は蛇頭しか持っておらず、鳥頭のほうは通常の視力だけで獲物を知覚しているとのこと。
よくよく調べてみると、この能力は一部のヘビに見られる、特殊な器官を使った能力であることがわかりました。
ヘビが持つピット器官
ヘビの中でも、マムシ亜科、ニシキヘビ科、ボア科のヘビの顔面に小さな穴が存在しており、この穴によって、温度を近くすることができることが研究の結果、判明したのでした。
この穴と穴の中にある温度を感知する器官をあわせピットと呼ばれています。
具体的な働きとして、数メートルはなれた位置にいる温度差のある物体を「視る」ことができ、少なくとも0.003℃の温度差を感知できるのでした。
赤外線領域の電磁波に対する感覚として可視光領域の電磁波に対する視覚と同様に働き、眼球と合わせて総合的な視覚をヘビにもたらしているのです。
ヘビの顔についている穴
このピット器官としてのあなですが、2種類の穴のつき方があり、それぞれ頬窩(きょうか)、口唇窩(こうしんか)と読んでいるのでした。
頬窩を持つヘビはマムシ亜科で、眼と鼻孔の間の頬部に一対、穴が存在します。
一方、口唇窩を持つヘビはニシキヘビ科とボア科で、口唇に沿って複数並ぶでいるのでした。
ちなみにマムシ亜科は日本に生息するマムシの他、北アメリカに生息するガラガラヘビも、その種の仲間となります。
また、マムシ亜科はクサリヘビ科に属し、クサリヘビ科に分類されるヘビの中にもピット器官を有するヘビが存在するのでした。
その代表的で有名なヘビは沖縄に生息するハブで、ハブにもピット器官が備わっています。
ピット器官の役割
ピット器官によって温度の違いを近くすることができ、その違いを視覚とともに感知できるのでした。
このような働きをするピット器官、ヘビはなぜ、身に付けるようになったのでしょうか?
一番の理由は、獲物の捕獲に便利なためです。
ピット器官をもっているヘビにとっては恒温動物の体は、いわば「光って」見えるのです。
このことは獲物を探すのにとても好都合ですが、実はそれだけではありません。
ヘビにとって彼らを獲物とする敵から避けるためにも非常に都合が良いいのです。
これらの理由のため、長年にわたり、進化してきたと考えられていました。
しかし、最近の研究ではさらに新しい働きも発見されています。
ヘビは変温動物なのですが、ヘビ自身の体温調節のためにも役立っていることがわかってきたのです。
今後、この体温調節に関する働きについて、より詳しいことがわかるように研究と観察がなされているとのことでした。
迷宮で鶏の視力がどれほど役に立つのか?
ところで、温度が感知できるピット器官を、迷宮の中で生息する魔物が持っていることの利点を考えると、とても便利で合理的だと思います。
その反面、コカトリスやバジリスクの鳥頭は、一体どのような有益性があるのか、疑問に思えてきました。
アニメ「ダンジョン飯」でバジリスクはまだ、迷宮の中でも光のさす階層で生息していました。
が、コカトリスは地下5階。マルシルの魔法がなければ、光のささないような暗闇の世界です。
全く真っ暗なわけではないかもしれませんが、太陽の光が燦々と降り注ぐといった環境とは全く異なり、薄暗い世界だと思われます。
そんな世界に、いわゆる「鳥目」という言葉もあるくらい、暗闇で役に立たない鳥の目をもった魔物が、生息していけるのでしょうか?
よっぽど、大蛇の魔物のほうが、環境に適して、活きていけるような気がします。
解説のまとめ
アニメ「ダンジョン飯」で登場したコカトリスが獲物を体温で認識していることについて、解説してみました。
ヘビの中で一部の種類に備わっているピット器官と呼ばれる、顔について小さな穴。
この穴によって、温度の変化を感知し、視覚とともに温度の違いを見ることができるのです。
コカトリスの蛇頭はこのピット器官をもち、その能力によってセンシ、マルシル、チルチャックの体温を認識して、隠れた場所を探し当てていたのでした。
このピット器官は0.003℃の違いを感知することができるため、扉の向こう側にいた3人の体温を感じることできたのです。
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