映画「ハスラーズ」はアメリカのニューヨークで実際に起きたストリッパーたちによる詐欺事件を原作に映画化された作品です。
映画のストーリーは実際に起こった事件と同じように進行していきます。
が、果たして映画で描かれているストーリーすべてが本当にあったことなのでしょうか?
もしかすると映画の演出として創作されて組み込まれたかもしれない、と思ったシーンもいくつかあったのではないでしょうか?
今回は映画「ハスラーズ」のストーリーで起こった出来事が実際の事件を反映させたノンフィクションか、それとも映画の演出として作り出されたフィクションなのかを、紹介していきたいと思います。
- 映画の演出のようなラモーナの逮捕シーン:ノンフィクション
- ラモーナが犯罪グループのリーダーだった:フィクション
- 映画内では最初、深酔いさせた金持ちそうな男性をクラブに連れ込んでクレジットカードで大金を引き出す、という方法を使っていました。 が、お酒を飲まなかったり、飲んでも自分のペースを全く崩さない男性に対しては効果がないことから、手っ取り早く被害者の意識を朦朧とさせるため、ケタミンとMDMAを混ぜ合わせた薬を使うようになっていきます。 サマンサとロザリンが実際に行った犯罪でも映画と同じくケタミンとMDMAを混ぜ合わせたものを被害者の飲み物に混ぜて意識を朦朧とさせて、カードに多額の請求をしていたことが分かっています。 ただし、映画内でラモーナとディスティニーが台所でケタミンとMDMAの調合をしていた際の、試しに服用して意識を失い、床に二人して倒れていたシーンは、どうやらフィクションのようで、そのようなことをサマンサもロザリンも一切コメントしたことはありませんでした。 ディスティニーが警察との取引に応じたことをラモーナに伝えた:フィクション
- ディスティニーは学生で家族を養っていた:ノンフィクション
- 空を飛べると信じた男:フィクション
- 求人方法:ノンフィクション
- ストリップクラブに来たセレブ:フィクション
- 「シャキールとコービーの関係と一緒」:ノンフィクション
- ラモーナはストリッパーであった:フィクション
- まとめ
映画の演出のようなラモーナの逮捕シーン:ノンフィクション
映画の最後のほうのシーンですが、スローモーションで撮影されていたこともあり、映画の中でかなり強烈なインパクトを受けるシーンである、ラモーナの逮捕場面について。
街のATMマシーンに現金引き出しに行き、現金を手にして振り向いたら警官が包囲していたというちょっとした衝撃の展開でした。
両手を挙げるように警官から指示されて、現金を持ったままゆっくりと手を挙げるもラモーナ。
さらに警察は、武器などを隠し持っていないことを確認するため、手に平を見せるように要求します。
逆らうわけにもいかず、ゆっくりとこぶしを開くしかないわけですが、当然握っていた現金はどこかへ飛んで行ってしまう。
これまで大金を何度もつかんできたラモーナが、おそらくほとんどを浪費したであろうということを象徴するかのようなシーンでした。
まさに映画のような演出ですが、これはフィクションではなく、実際にも起こった場面だったのです。
ラモーナのモデルとなったのはサマンサ・バーバッシュ。
彼女は2014年6月9日に彼女の家の近所のATMに出向いたところ、警察に逮捕されたのでした。
ラモーナが犯罪グループのリーダーだった:フィクション
映画の中でのラモーナがグループのトップで犯罪計画を企て、その後の実行段階でもすべて指揮しているように描かれています。
ディスティニーはどちらかというとサポートが全般的な役目。
サブリーダー的な役割でした。
が、これは映画内だけのフィクション。
映画の元ネタになった記事を執筆したジェシカ・プレスラーによると、ディスティニーのモデルとなったロザリン・キーオーの方が、詐欺行為の中心人物的役割だった、と答えています。
ロザリンは主に詐欺行為がスムーズにいくようにシステムを構築。
特に、カード会社からの本人確認連絡に対する受け答えをして、クレジットカード使用の最終承認をクリアしていたのです。
北米でクレジットカードで高額な買い物をしようとすると、カード会社から連絡があり、本人確認をされることになります。
例えばロザリンは自分たちの儲けとなる高額な空売りの支払いをした場合、どうなるか。
通常、それまでのカードをの支払い金額と極端にかけ離れている支払いをしようとすると、カード会社から、本当に本人が使用しているのか、本人宛に登録されている連絡番号へ連絡が来ます。
そして
使用したクレジットカード番号の下4桁
母親の旧姓
最後にカードを利用して購入したもの
どこで購入したか
購入金額がいくらくらいであったか
などが聞かれ、これにこたえられないと購入ができなくなり、カードが利用停止となってしまうという安全システムが出来上がっているのです。
逆に言えば、ここをクリアすれば支払い手続きが完了するため、上記で挙げたような情報を会話の中で気づかれないように聞き出す必要があり、その部分をロザリンが担当して情報を集めていた、ということになります。
映画内では最初、深酔いさせた金持ちそうな男性をクラブに連れ込んでクレジットカードで大金を引き出す、という方法を使っていました。 が、お酒を飲まなかったり、飲んでも自分のペースを全く崩さない男性に対しては効果がないことから、手っ取り早く被害者の意識を朦朧とさせるため、ケタミンとMDMAを混ぜ合わせた薬を使うようになっていきます。 サマンサとロザリンが実際に行った犯罪でも映画と同じくケタミンとMDMAを混ぜ合わせたものを被害者の飲み物に混ぜて意識を朦朧とさせて、カードに多額の請求をしていたことが分かっています。 ただし、映画内でラモーナとディスティニーが台所でケタミンとMDMAの調合をしていた際の、試しに服用して意識を失い、床に二人して倒れていたシーンは、どうやらフィクションのようで、そのようなことをサマンサもロザリンも一切コメントしたことはありませんでした。 ディスティニーが警察との取引に応じたことをラモーナに伝えた:フィクション
映画内で警察に捕まったディスティニーが、警察との司法取引に応じて罪を認め、刑を軽減してもらったことをラモーナに伝えるシーンがありました。
二人して警察署を出たあと、娘を一人にできないという理由を語るディスティニーのことをラモーナは理解しつつも、その後、二人は連絡を取ることをやめてしまいます。
実際の事件ではどうだったかというとシングルマザーのロザリンは、映画同様、警察との司法取引に応じて罪を軽くしてもらっていたのです。
ただしそのことを、映画のように、サマンサに伝えることはありませんでした。
現実では、警察に捕まってから二人が話すことはなく、取り調べに対してどのような対応をするかということを、互いに確認しあうこともなかったのです。
そして実はサマンサも警察との司法取引を行い、彼女も罪を軽くしてもらったのでした。
ディスティニーは学生で家族を養っていた:ノンフィクション
映画内でディスティニーの生活の様子や過去についていろいろと明らかになっていきます。
箇条書きにしてみると、
学生であった
年老いた祖母と暮らしていて生活費を工面していた
兄がいた
両親に捨てられて祖母に育てられた
などなど。
ディスティニーのモデルとなったロザリンの背景を見てみると、ディスティニーの人物設定はロザリンそのものであることが分かります。
ロザリンは子供のころに両親から捨てられるようにして祖母と暮らすようになりました。
また兄がいたことも同じですが、映画内ではこの兄は会話でちょこっと登場するだけの役割しかありません。
彼女はストリップクラブで働く前は大学に通っており、ウェイトレスとしてアルバイトをしていました。
そこにやってきた客でストリップクラブのオーナーからスカウトされ、ストリップの世界に足を踏み入れることになったそうです。
その後、数年はストリッパーとして働いたそうですが、ダメ男の彼氏との間に子供ができてしまい、そのため仕事を続けられなくなったのも、映画のストーリーと同じ。
そしてロザリンは子育てのためにもお金を稼がないといけないため、ストリップの世界に戻っていったのでした。
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