スパイダーマン映画の最新作「スパイダーマン スパイダーバース」を視聴してきました。
マーベルコミックの最新作かと思いきや、アニメというか、グラフィック・ノベル調の作品。
アニメならではの演出もあり、楽しかったのですが、細かいところを考えるとやはりちょっとご都合主義かな、と思える展開もありました。
総じて楽しめる作品で、子供と一緒に見られると思います。
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簡単なあらすじとキャストの紹介
時空が歪められたことにより、異なる次元で活躍するスパイダーマンたちが集められた世界を舞台に、主人公の少年マイルスがスパイダーマンとして成長していく姿を描いた長編アニメーション映画。
ニューヨーク・ブルックリンの名門私立校に通う中学生のマイルス・モラレス。
実は彼はスパイダーマンでもあるのだが、まだその力をうまくコントロールできずにいた。そんな中、何者かによって時空が歪めらる事態が発生。それにより、全く異なる次元で活躍するさまざまなスパイダーマンたちがマイルスの世界に集まる。
そこで長年スパイダーマンとして活躍するピーター・パーカーと出会ったマイルスは、ピーターの指導の下で一人前のスパイダーマンになるための特訓を開始する。
ボブ・ペルシケッティ、ピーター・ラムジー、ロドニー・ロスマンの3人が監督を務め、「LEGO(R) ムービー」のフィル・ロード&クリストファー・ミラーが製作を担当。
第91回アカデミー賞で長編アニメーション賞を受賞。
マイルス・モラレス: シャメイク・ムーア
ピーター・B・パーカー: ジェイク・ジョンソン
グウェン・ステイシー: ヘイリー・スタインフェルド
スパイダーマン・ノワール: ニコラス・ケイジ
ペニー・パーカー: キミコ・グレン
引用「映画ドットコム」
ネタバレ たくさんのスパイダーマンが一堂に会する新しい展開
スパイダーマンといえば、高校生のピーター・パーカーが正義の味方になり、これといった相棒もなく、一人で戦うというのが原作だったと思います。
その後、アベンジャーズなどで他のスーパーヒーローと一緒に戦うことはありますが。
そこで、もしスパイダーマンが複数いたら、なんていう発想から生まれた夢のようなお話がこの映画のストーリー。
敵役であるキングピンの悪巧み?の誤作動から異次元で活躍する5人のスパイダーマンが主人公マイルスのいる次元にやってきます。
お互いに協力してキングピンの悪巧みを阻止し、やってきた5人のスパイダーマンは元の次元に戻るというのが結末。
この5人のスパイダーマンがそれぞれに個性があって楽しかったです。
マイルスのメンター的な立ち位置になるピーター・B・パーカーは正義の味方活動は上手くいっていたものの、それが原因でMJとの結婚生活はすれ違いが多くなり、ついには別れてしまう羽目に。
そのことで自暴自棄になり、スーパーヒーローにはあるまじき中年太りの体型をしています。
スパイダーマン・グウェンはどちらかと言うと、王道的キャラクター。
スパイダーマンとしてはマイルスの先輩のような立ち位置で、しかも彼の恋人候補という感じ。
それはそれで必要だと思うし、ストーリーに華を添えるキャラではあるけど、逆にそのまんま、というか…。
残りの他の3人と比べると特殊な味がないのはピーター・B・パーカーと同じではないでしょうか。
その残りの3人ですが、かなりギャグキャラ要素が強いように感じました。
実際、登場しなくてもマイルス、ピーター・B・パーカー、グウェンの3人だけでも話は進んでいくように思えますが、ギャグキャラのような3人がいたおかげで、程よいアクセントがついたと思います。
スパイダーマン・ノワールは白黒でハードボイルドの雰囲気を強く感じさせます。
いつもシリアスで冗談が通じないようなキャラかと思いきや、ポロッと的はずれなコメントをしたりして、そのギャップで笑わせてくれます。
ペニー・パーカーは日本のアニメを意識したJKキャラ。
一緒に活動するメカスーツSP//drもなんとなく攻殻機動隊のロジコマを彷彿させるコミカルな表情を見せてくれます。
スパイダー・ハムはもう逆キャラそのもの。
トムとジェリーや白黒時代のミッキーマウスを思い出させるような、超バイオレンスな描写で巨大ハンマーなんかを振り回して戦っていましたが、逆に子供の頃に見たアメリカのTVアニメを久しぶりに見れた感じで懐かしさを楽しんでいました。
さて、そんないろんなスパイダーマンが一堂に会する理由となった敵役キングピンの陰謀なんですが、今ひとつの理由なんです。
ある意味、他人の迷惑顧みず、ただただ突き進むということに関しては説得力のある強烈な理由になるなのかもと思いましたが、それは死んでしまった妻と息子を取り戻すために異次元のまだ生きている妻と息子をこの次元に連れてくるというもの。
ただ、それをすると次元と次元をくっつけた反動で町が破壊されてしまう可能性大。
そんなことはお構いなしに計画を進めるキングピンに、それを辞めさせようとするスパイダーマンたちの活躍というのがメインストーリーとなるのですが、いや、待てよ、と突っ込んでしまいたくなったのですよ。
ネタバレ キングピンの陰謀とその手下プラウラー
キングピンことウィルソン・フィクスが交通事故で亡くした妻と息子を取り戻すために、異次元でまだ生きている妻と息子を連れてこようとしたわけですが、それって根本的な解決になるのでしょうか?
まず第一に彼らが亡くなった理由です。
映画の描写からみるに、ふたりとも父親が犯罪を犯していることを知らなかったようです。
キングピンが暴力を持って何かを恐喝している場面に偶然出くわし、そのショックで二人は車で逃げ出して、その途中で事故にあったわけですから。
運転中に前方不注意で事故を起こしていることを考えるとかなりパニックになっていたことが伺えます。
でなければ、そんな無謀な運転をまずしないでしょうからね。
それで死んでしまったことにショックを受け、なんとか取り戻したい、としていろんな方法を試した結果なのでしょうが、もしなんの問題も副作用もなく二人を取り戻していたとして、メデタシメデタシのハッピーエンドになるのでしょうか?
二人を亡くした後もキングピンは自分のやり方を変えた形跡はありません。自分のしたいことを望み通り行動に移し、邪魔する者は実力で排除します。
この行動が妻と息子にショックを与え、キングピンのもとから二人が去った理由にもなるわけですから、今後、同じことが起こらないという可能性はゼロではありません。
犯罪的な行為を続けていれば、敵ができ、そのせいで二人に危害が加えられる可能性もあります。
自分の悪事がバレてまた二人に逃げられる可能性もあり、また敵に格好の標的にされて消される可能性もあるわけです。
そうなったら、また、別の次元から二人を連れてくればいい、と考えていたのでしょうか?
さらに考えると、二人が連れてこられた異次元では、まだ彼らとその次元にいるキングピンが家族として生活しているはずです。
突然妻と息子が消えてしまったキングピンがその原因を探らないわけ無いと思うのですよ。
そして二人の居所を突き止め、かならず奪い返しに来るとも思うのです。
そうなったら、キングピン同士で死闘を繰り広げなくてはならなくなります。
これは彼の計画を邪魔するスパイダーマンたちと戦うよりも酷な事態になっているように思えるのですけど、どうでしょうか?
もちろん、彼一人ではなく、彼の手下の悪役たちも引き連れてくるでしょうから、アベンジャーズの戦い以上に派手なことになりそうです。
手下といえば、ブラウラーですが、実はその正体がマイルスの叔父さんのアローン・ディビスであることは、この映画のオリジナル設定です。
が、その叔父さん、ブラウラーの格好で自分のアパートの部屋にウラ側の非常階段から帰ってくるってどういうことよ?
わざわざブラウラーの格好のまま、帰宅しなくてもと思ったわけです。
誰にも見られなかったから良かったものの、見られてたらどうするつもりだったのでしょうか?
現にマイルスが来ていて正体を知ってしまうわけですし。
時系列的にはその後のことになりますが、マイルスの父親ジェファーソン・デイビスが心を開かない息子のことを心配してアローンに助けの電話をしています。
これがもし、ジェファーソンがアローンの自宅に訪ねていっていて、というパターンだったらアローンはジェファーソンに危害を加えたのでしょうか?
アローンがブラウラーであることを隠している以上、あんなことはしてはいけないはずです。
ところでマイルスが書いた置き手紙、ブラウラー/アローンの目に触れることはなかったのでしょうか?疑問です。
最後にスパイダーマンの一人がマイルスだったことに気がついたのブラウラーの行動とその後の結末は、テンプレといえばそれまでですが、涙を誘う感動的なシーンなんでしょう。
確かにあの後、マイルスは自分の実力の無さに、自分自身に腹を立てていますし、ピーター・B・パーカーもマイルスを連れて行くのは危険すぎるということで、補欠扱いしています。
ついには父親の本音をドア越しに聞くことで全ての能力を覚醒させるわけですが、あまりにもご都合主義がひどくないでしょうか?
自分自身を信じ無な限り、本来の実力は出せないことはわかりますが、それだけであれだけの動きができるようになるのはちょっと…。
マイルスが蜘蛛に噛まれてスパイダーマンになってから数日しか経っていないのですよ。
映画の感想 王道的な主人公の成長物語、でも覚醒はメンタルの克服?
映画スパイダーマン スパイダーバースはヒーローアニメの王道、主人公の感動的成長物語です。
蜘蛛に噛まれた翌日、異常な能力に戸惑っていたマイルスはスパイダーマンが殺されるところを目撃し、彼の後をついで悪と戦う覚悟をします。
が、特殊な能力を使い切れず、とても戦うどころではない。
そこに別の次元からやってきたスパイダーマンたちと出会い、挫折しながらも最後には力を覚醒させて主人公として悪と戦います。
とはいえ、スパイダーマンになってから大して日にちも経っていない上に訓練や練習らしきものも無いまま、実戦投入している。
そういう状況だったという理由があるにせよ、これでは殆ど戦力にならないのはわかりきっていたこと。
それを主人公だからと言う理由で戦闘に参加しなくてはならないのはちょっと可愛そうでしたし、また、本人の覚悟でいきなり一人前のスパイダーマンとして活躍できるようになるのは、あまりにもご都合主義で勘弁してほしい、と思ってしまいました。
まぁ、話がスーパーヒーローものなので、そんな荒唐無稽なことも可能である、と言われれば、説得力があるような、無いような、ですが。
話はそれますが、北米だと自宅にプールがある家はそう珍しくありません。
しかしだからこそ、幼い子供が大人の目が届かないところで誤って落ちてしまい、溺れ死ぬという事故が起こります。
そんな不幸な事故を少しでもなくそうと、元来人間は水に浮くことができる能力を生まれながらにして持っていることを利用して、赤ちゃんに水に浮かんでいられる訓練をするコースがあります。
どのくらいの年齢からできるか、はっきりと覚えていませんが、自分ひとりで動き回れるくらいまで育ったら、このコースを受けることができたと記憶しています。
もちろん最初は赤ちゃん一人で浮くことはできません。
大泣きしてプール中にその声が響き渡っています。
しかし訓練をするうちに、赤ん坊でも浮いていられるようになるのです。
この「訓練をすれば」が大切なポイントで、人間として生まれつきできる能力も訓練をしないとできないわけです。
放射能汚染された蜘蛛に噛まれてスパイダーマンになれたとしても、いきなりその能力を100%使えるようにならないのは、逆に当たり前ではないでしょうか?
それを溝があった父親との間のわだかまりがなくなったからといって、それだけで全てを使いこなせるようになるのは、あまりに根性主義的なところを感じてしまい、素直に受け入れられないな、と思ってしまったわけです。
まとめ 日本版スパイダーマンの登場シーン紹介も
映画「スパイダーマン スパイダーバース」はスパイダーマンからスピンオフした数種類のスパイダーマンが一同に会し、新たにスパイダーマンとなった少年の成長をストーリーの軸として悪と戦う典型的なスーパーヒーロー成長物語です。
登場するスパイダーマンはすでに別々のストーリーでコミック出版されていますが、そんなスパイダーマンたちが一緒になったらどうなるか、という楽しさが見られる映画です。
残念ながら、それぞれのスパイダーマンのことをあまり知らないので、半分くらいしか楽しめなかったかもしれません。
それでも十分楽しんで見ていられました。
何より小学生前の息子と一緒に見て楽しんだので、子供と一緒に楽しめる映画だと思います。
日本人としては日本版スパイダーマンに彼が乗り込むレオパルドンが登場したら、もっと面白かったのに、と思ってしまいました。
とはいえ、日本版スパイダーマンはマーベルコミックと関係があるのかどうか、謎ですし、マーベルコミックがきちんと公式に認めているかも知りませんが。
が、調べてみたら映画の冒頭に実はしっかりと登場していました!
マイルスが書いたイラストの中にロボットが一機ありますが、実はあれがレオパルドを意識して映画に加えられた一コマだそうです。
監督がインタビューで明かしていましたので、狙って映画に加えられていたのでした!
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