地獄楽・陸郎太の異名ダイダラボッチの元ネタは何?

アニメーション

アニメ「地獄楽」で登場する死罪人の一人、陸郎太。

彼には「備前の大巨人」という異名が付けられていますが、その「大巨人」を「ダイダラボッチ」と読ませています。


この「ダイダラボッチ」とはいったいどういったものでしょうか?

今回はその元ネタを調べましたのでご紹介していきます。







地獄楽・陸郎太の異名「ダイダラボッチ」の元ネタは何?

アニメ「地獄楽」に登場する「備前の大巨人(ダイダラボッチ)」陸郎太。

3m以上の異常な巨大な体と人間離れした怪力を持つ大男で、その怪力から両親をはじめ、多くの人々を殺めてきました。

しかし知能は低くまるで赤子のよう。空腹などで不機嫌になると見境なく暴れまわり、監視役の衛善すらも一撃で瞬殺してしまいました。

関連記事:地獄楽・衛善(えいぜん)は弱いから死亡?序列1位の強さはどこに?


そんな陸郎太ですが、彼の異名「ダイダラボッチ」とはいったいどこからついたのでしょうか?

実はダイダラボッチの元ネタは、

    「大太郎」+「法師」

だったのです。

ダイダラボッチは「大太郎」+「法師」が元ネタ

「大太郎」は文字のごとく「大きい」に、日本の古来からの男性の名前として使われてきた「太郎」を合わせた言葉です。

読み方は「ダイタロウ」です。


これに「法師」がくっついたわけですが、この場合の「法師」は僧侶の敬称として使われているものではありません。

人物一般に対する呼称で、例えば

・琵琶法師
・一寸法師
・起き上がり小法師
・影法師
・ツクツクボウシ

といった使われ方と同じです。

ダイダラボッチは妖怪?

日本に昔から伝わる巨人伝承が各地にあり、その土地で「ダイダラボッチ」によく似た発音で呼ばれています。

例えば「でいだらぼっち」であったり、「デイダラボッチ」であったり、「タイタンボウ」であったり。


これらの巨人は地獄宅に登場する陸郎太のように恐ろしい殺戮者の妖怪として描かれているか、というと、伝承を調べるとそのようには伝えられていません。

ほとんどが山を作ったり、運んだり、池や沼がダイダラボッチの足跡であったり、川を作ったり、といった伝承です。

妖怪伝承が巨人伝承になったという説も存在しますが、ダイダラボッチが妖怪というより、もっと別の考えのほうが強い感じがします。

国づくりの神に対する巨人信仰

「ダイダラボッチ=妖怪」以外の考えは何か、というと国づくりの神に対する巨人信仰がダイダラボッチ伝承を生んだという説です。

確かに山を動かした、作った、削って平地にしたといった伝承は国づくりのものに類似していると感じます。

中にはダイダラボッチによって山が動かされたおかげで日当たりがよくなった地域があったり、沼地の底をさらって水が流れるようにして川にしたり、湖の水を排出させて平地を作ったりと、後にそこに住む人々に恩恵を与える行動をした、といった人助けのために行ったと考えられる伝承を見つけることができます。


中には富士山を作ったのもダイダラボッチで、富士山を作るために甲州盆地が出来上がったとか、琵琶湖が出来上がったという伝説もあるほどです。

富士山や甲州盆地、琵琶湖を作ることのできるダイダラボッチとは、いったいどれほどの大きさだったのか、と思ってしまいますが、これほどのスケールの大きい話であれば、妖怪よりも神様と考えたほうが自然なような気がします。

「備前の大巨人」の元ネタ

「備前の大巨人」と呼ばれた陸郎太ですが、彼の元ネタと思われるダイダラボッチ伝承がありました。

それは備前のお隣の国である播磨に伝わるダイダラボッチのお話です。

ちなみに備前とは、大まかにいうと岡山県の東側で瀬戸内海沿いのエリア。

一方、播磨は、神戸市の西側から姫路市をこえ、赤穂市の一部を含む兵庫県のの瀬戸内海沿いの地域を言います。


播磨のダイダラボッチ伝承は、奈良時代に成立した「播磨国風土記」の中で見つけることができました。

より詳しく紹介すると、播磨国の託賀郡(たかのこおり)という現在の兵庫県多可郡〈たかぐん〉について記された「託賀略記」の中に記されています。

それは、「天が高いから楽に立って歩けると言ってこの地を好み、沼と化す数多の足跡を残した大人(おおひと)の伝説」で、この伝説より「天が高い」地域ということで「たか」という地名になったのでした。


ただ、その内容からは陸郎太のような、人々を殺して回る恐ろしい巨人というイメージは一切ありません。

陸郎太の元ネタになった可能性はありますが、存在としてのネタ元であり、陸郎太というキャラクターは完全なオリジナルだといえます。

まとめ

死罪人・陸郎太の異名である「備前の大巨人(ダイダラボッチ)」のダイダラボッチについて、元ネタを紹介していきました。

ダイダラボッチは「大太郎」+「法師」の二つの言葉がくっついた上、なまった結果出来上がったことが分かりました。

また、ダイダラボッチと呼ばれていたのは全国共通ではなく、それぞれの地方で似たような名前になって伝承されていたことが分かりました。


また、ダイダラボッチは妖怪伝承が変化して巨人伝承になったという説もありますが、各地に伝わるダイダラボッチ伝承を詳しく見てみると、国づくりの神に対する巨人信仰と感じられる話のほうがメインとなっています。

とはいえ、アニメ「地獄楽」に登場する陸郎太は、国づくりの神という側面はみじんも感じられず、日本古来から伝わるダイダラボッチ伝承とは関係のない、アニメオリジナルの設定を持つキャラクターとして描かれているのでした。









コメント

タイトルとURLをコピーしました