地獄楽・天仙ムーダンの死ぬ前のセリフ「千年待ったよ、ありがとう」の意味を考察

アニメーション

地獄楽のラスボス天仙。

その中で最初に死ぬのがムーダンで、佐切、士遠、仙太、杠、ヌルガイの5人の協力で倒すことができました。

最後にムーランが死ぬ際、彼にとどめを指した士遠に対して「ありがとう」と発言しています。

この意味はいったい、どのような気持ちが込められているのでしょうか?

今回は天仙ムーダンが死ぬ前に発したセリフ「千年まったよ、ありがとう」の意味を考察していきたいと思います。







地獄楽・天仙ムーダンの死ぬ前のセリフ

佐切、士遠、仙太、杠、ヌルガイの5人のまえに立ちはだかった天仙ムーダン。

タオをより強く知覚し始めた士遠と瀕死の仙太のアドバイスによって最後のとどめを刺されました。

それまでは、しぶとい5人を殺すことばかり考え、実際に発言もしていました。

が、最後の間際に彼らの決死の姿の美しさに感嘆し、感謝の気持ちを伝えて死んでいったのです。

「千年待ったよ、ありがとう」の意味を考察

天仙が「千年待ったよ、ありがとう」と感謝の言葉を発した意味を考える際、その前に発した発言に注意を向けたほうが良いでしょう。

その言葉とは、

    美しい…

    決死の姿…
    生と死の間…
    僕らではたどり着けない
    完璧な陰陽…

    リエンに
    教えて
    あげたいな

この言葉からわかるのは、ムーダンは探し求めていたものをようやく見つけ出した、ということではないでしょうか。

天仙が探し求めているもの

画眉丸たちは神仙郷の島に、不老不死の仙薬を探しに来ました。

そして不老不死の仙薬は実際にはまだ存在せず、天仙が完璧なものを求めて研究開発をしているのを知ります。

天仙自身は不老不死のような存在ですが、完璧に不老不死というわけではありません。

彼らは陰陽のバランスの均衡から生み出されるタオや、他の生物、特に人間から搾り取った丹を使うことで想像以上の長寿や回復力を得ていました。

しかしこのことを裏返しに見てみると、タオの枯渇や丹の摂取ができなくなった時点で天仙も滅ぶしかなくなります。

天仙は不老不死の源として決して無くなることのないタオを見つけ出すために修行を積んでおり、島の外から人をおびき寄せて丹を集めていたのでした。

完璧な陰陽

陰陽のバランスとして男性と女性という二つの性を、天仙は利用していました。

自身の体を男性と女性に変化させることでタオの回復を行うシーンが、これまでも描写されています。

しかし陰陽のバランスの観点から言えば、「男女」という違いよりも「生と死」という状態のほうがより強いことは明白でしょう。

一歩間違えれば死ぬかもしれないぎりぎりの境地で生氣抜く姿。

これは死ぬことができる人間にしか味わえない境地であり、その中で発揮される、いわゆる「火事場のバカ力」が究極的にタオを高めていると言えなくもありません。

そして死ぬことのできない天仙には、決して味わうことのできない境地。

このことに気が付かせてくれたことに対するお礼の言葉だったと考えることができます。

ネタバレ・本当な死にたい天仙達

実はこの後、ストーリーが進んでいくことで明らかになるのですが、天仙のうちのほとんどが、不老不死の仙薬作りが実は不可能であって、彼らのやっていることは実は無意味で無駄なものなんだ、と思っていることが分かります。

ムーダン、ジュファ、タオファが特にその思いが強いようで、後にタオファは、「千年もの間、同じことを繰り返してきた毎日が退屈で、笑ってないときがおかしくなりそう」、と発言しています。

ムーダンは、発言こそしていませんが、あきらめというか、言われているからやっているだけで、それ以外、自分にできることはない、という寂しい薄ら笑いを浮かべるシーンがありました。

ジュファは、タオファを守ることだけを考えることで、現実を直視しないようにしています。


不老不死の体を持ちながら、実現不可能なことを実現させるために自身が持たされた永遠の時間を使わないといけないという拷問ともいうべき苦行をさせられている彼ら、天仙。

そんな彼らにとって、実は誰かに殺してもらうことこそ、本当の願いだったのではないでしょうか。

「千年待ったよ、ありがとう」

その言葉の中に、やっと死ねるという安堵とそれを可能にしてくれた感謝も含まれていたのではないか、と思ってしまいます。

天仙の違い

7人いる天仙ですが、実は二つのグループに分けられます。

それはリエンとそれ以外の天仙です。

言ってしまえばリエン以外の天仙は、リエンが求めているタオの研究のための道具にすぎません。

4つあるとされるタオを高めるための修行に専念させるために作られたのです。

そして悲しいことにタオを高める修行が、最終的にどのような目的のために行われているのか、知らないのでした。

漠然と不老不死の薬を作るため、とは説明されていますが、タオを高める修業によって、タオが実際にどのような状態になれば不老不死の仙薬となるのか、は知りえません。

そんな状態で千年以上も毎日同じような修行を繰り返していたのでした。

ネタバレ・リエンの目的

それではリエンの目的は何であったのでしょうか?

ネタバレになりますが、リエンはとある人物を死から蘇らせたいとして、これらの修行をさせていたのでした。

最終的には日本へ移動し、そこに住む日本人全員のタオを丹にすることで不老不死の仙薬が完成することが分かります。

日本に向かうリエンとそれを阻止する画眉丸達一行。

彼がの決戦で、物語は幕を閉じるのでした。

まとめ

天仙ムーダンが死の際に発した感謝セリフ「千年待ったよ、ありがとう」の意味を考察してきました。

死ぬ間際、天仙たちが千年もの月日を重ねて探求してきたタオを高める修業の答えを、佐切、士遠、仙太、杠、ヌルガイの5人が見せてくれたことに対する感謝だと思われます。

そして、同時に千年もの時間、答えのない問題を解き明かさなければならない地獄のような苦行から、解き放ってくれたことに対する感謝と感じることもできました。

不老不死の体を持っていても、それだけではなんの幸せにもならないのだな、と深く感じ入った次第です。









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