映画モアナと伝説の海でのマウイの役割とは?モアナとの関係も考察!

ディズニーアニメ

映画「モアナと伝説の海」は海に選ばれた少女モアナと半神のマウイが協力してテ・フィティの心を返しに行く冒険の物語です。

最初は仲たがいしていたマウイとモアナですが、やがてお互いのことを認め合い、マウイがモアナの成長を手助けして、困難な試練に打ち勝っていきます。


そんななかでマウイというキャラクターに注目すると、かなりコミカルに描かれたヒーローであることに気が付きます。

能力はすごいのでしょうが、どこか抜けているようで、モアナがいないとなんかドジをしてしまいそうな、そんな頼りなさもある。

が、モアナの成長の過程に注意を払ってみると、マウイの存在というものが、幾分違って見えてくるように思えました。

実はマウイとはすごいメンターではないのかな、と。


今回はそんなマウイの隠れた、モアナの成長させる指導力に焦点を当ててみたいと思います。







映画「モアナと伝説の海」の登場人物はアイデンティティに問題を抱えていた

映画「モアナと伝説の海」の登場人物はアイデンティティに問題を抱えていた

いったい何のこと、と思うかもしれません。


実はこのテーマは一貫して映画の根底に流れている問題です。

Who you are?

自分はいったい何者なのか?

主題歌にもなっており、海に出る前のモアナがしきりに自分に問いかけている疑問でもあります。

が、実際にはモアナが海に出た後も、この問いはずっと追いかけてくるのでした。

それでは、一つずつ見ていくことにしましょう。

モアナの場合

島に住んでいたモアナは常に海へのあこがれを持っていました。

が島の掟により、海には出ることができません。

さらにモアナの立場として将来村長になる責任があり、その期待に応えるということは、海へのあこがれを捨てないといけないことを意味します。

その葛藤の中で、自分とはいったい何なのか、その疑問に揺れ動いていました。


海に出てマウイを探し出し、テ・フィティの心を返すという行動でもモアナのアイデンティティは不安定なままです。

なぜなら彼女は「海から選ばれた者」としての役割は、

    ・マウイを探し出す。
    ・マウイをテ・フィティのもとに届ける。
    ・マウイがテ・フィティの心をを返す。

ことだと思い込んでいました。

これはこれでアイデンティティが十分にあると思われがちですが、そうでなかったことはテ・カァに、最初のトライで追い返されたことではっきりしています

モアナはテ・カァをすり抜けてテ・フィティのところに行けると判断し、マウイのいう撤退の言葉を聞かずに突っ込んでしまって失敗したからです。

つまり、テ・フィティの心を返す主役がマウイである以上、マウイが無理、撤退すべきという主張をした時点で、マウイのいうことを聞かないといけないはずです。

そのマウイの言葉を無視して自分の主張を譲らないのであれば、モアナは彼女自身が自分に言い聞かせてきていたサポート役ではないことになってしまいます。

だからこそ、アイデンティティが一致していないといわざるを得ないでしょう。

マウイの場合

そういうマウイもアイデンティティがぶれてしまっているように思えました。

1000年、孤島に閉じ込められ、無くした魔法の釣り針のことばかり考えていたから、仕方のない面はあるのかもしれません。

が、マウイは魔法の釣り針があればマウイで、なければマウイでないわけではありません

あってもなくてもマウイはマウイなのです。

が、魔法の釣り針がない時間があまりにも長すぎたせいでしょうか、魔法の釣り針のあるなしで彼のアイデンティティが変わりすぎます。


魔法の釣り針を取り返しに行ったタマトアのもとで、取り返したもののうまく使いこなせないことが分かった途端、全くの戦力外となり、タマトアにいいようにもてあそばれてしまっています。


テ・カァに挑んでテ・フィティの心を返そうとして最初のトライ

挑む前はかなり威勢がよかったのに、魔法の釣り針にひびが入ってしまったら、恐れをなして逃げ出してしまいます。

テ・フィティとテ・カァの場合

テ・カァでもあるテ・フィティも心をなくしたとは言う理由はあるものの、アイデンティティが一致していないキャラクターです。

だからこそ、テ・カァであった時の怒りや不安はとてつもなく大きいものだったのでしょう。

そして神という力も災いして、テ・カァから発せられる闇が、世界をどんどんと侵食していったに違いありません。

モトゥヌイの村人も

さらに言えばモトゥヌイの村人もアイデンティティが不安定といえるのではないでしょうか。

彼らは島の中に閉じこもり、島だけで暮らすという生活を送っています。

ディズニーアニメーションで子供向け、ということもあるのでそこまでリアリティを突き詰めないといけないことはないでしょうが、島という限られた空間の中だけで暮らしていた場合、限られた人々しかいないわけですから近親相姦の問題が出てきてしまいます。

特に1000年という長い月日の間、村長だけでもモアナを含めずに16代続いていることが、島の山の上に積まれた石塚で分かります。

外からの交流がないわけですから、どうしても結婚相手が限られてきてお互いの血が濃くなってしまうでしょう。

それによって奇形児の生まれる可能性が高まり、奇形児でなくても身体的に弱い人間が増えてしまいます。それでもかたくなに島だけの生活に固執していくと、やがては滅んでしまうことになるでしょう。

モトヌゥイの村人の場合、アイデンティティははっきりしていますが、そのアイデンティティは必ず死滅に向かうものであり、健全とは言えません

モアナが考えていたマウイの役割と実際の役割

このように映画「モアナと伝説の海」に登場するキャラクターはアイデンティティに問題を抱えています

モアナに部分で指摘したとおり、彼女は海へのあこがれを持ちながら、周りの環境からそれをずっと押し殺さなくていけない生活をしてきました。

そしてそのハードルを乗り越えて自分の信じる道を進んだ後も、モアナは自分が海に選ばれたものとしてテ・フィティを復活させる使命がある、と信じながら、その実際の行動であるテ・フィティの心を基に戻すのはマウイの仕事、と言い切っていました


そんなモアナは魔法の釣り針を取り戻した後、うまく使いこなせないことで自暴自棄になっているマウイをみて、彼の勘違いした考えを正しい方向に導こうとします。

親に捨てられ、神に拾われたのはただの哀れみからだけだ、と自分を卑下しているマウイに、そんなことはなく、彼の中に神に拾われるだけの他にはない素質があったからに違いない、とさとします。


そうやって悩めるマウイを正しい方向に導いていくことで、おそらく知らず知らずのうちに自分も陥っている間違いに気が付き始めたのでしょう。

最初にテ・カァに負けた後、マウイに去られ、精霊としてよみがえった祖母に進められて島に帰ろうとしたときに、帆綱を手にすることができませんでした。

おそらくこれが、無意識の中で自分がしていた間違い、マウイも苦しんでいた間違いに自分も陥っていたことに気が付いた瞬間だったのでしょう。


その後モアナは一人でテ・カァに挑みに行きます。

そして絶体絶命の危機に陥りますが、その瞬間マウイが戻ってきてモアナの危機を救うのでした。

この時点でマウイがモアナの元に戻ってくるきっかけのようなものは描写されていません。

小説の行間を読むではないですが、アニメのコマとコマの間を読むとすれば、マウイはモアナが自分でテ・カァに挑み、テ・フィティの心を返しに行く覚悟を持つことを待っていたのではないか、と思えないでしょうか。

モアナとマウイの関係はメンター

そう考えるとマウイはモアナを成長させるためのメンターという存在であったといえます。

初めからマウイがその立場としてモアナと接していたわけではありません。

が、随所随所にそのことを感じさせるキーワードを放っているのです。


たとえば、マウイを探しに行って嵐に巻き込まれ、海に助けを求めた結果、海によってマウイが幽閉されている孤島にたどり着きました。

だからカカモラに襲われた時も、全く航海術を知らないモアナが最初にしたことは海に助けてもらう、というより海に何とかしてもらおうとしたのです。

その時のマウイのセリフは、「海は助けてくれない、自分で自分を助けるんだ。」でした。


また、いやいやながらではありましたが、マウイはモアナに航海術を教えています。

その結果モアナは見事な航海士となり、失われた祖先の技術を見事に復活させています。

考えてもみてください。

もしモアナが最初に考えていたようにマウイがテ・フィティの心を返してしまった場合、どうなっていたか。

テ・フィティが復活することで生命は元に戻るかもしれません。

が、モアナの一族は島に閉じこもっての生活をつづけるだけです。

というもの、モアナを含めだれ一人島から島へ航海をする技術を持っていないのですから。

そして先に指摘したとおり、外からの血が入らず、モトヌゥイはやがて滅びてしまうでしょう。


モアナがテ・フィティの心を彼女の手で返すという行為は、それを可能にすることができるようになった時、彼女が身につけている技術も含め、すべての命を元に戻すことができるようになったことを意味しています。

そしてそれを可能にしたのは、マウイの、望んでいたのか無意識であったのかはわかりませんが、彼のモアナに対する適切な指導のおかげだったと思わざるを得ません。

まとめ

映画「モアナと伝説の海」で主人公のモアナとマウイの二人は、結構な凸凹コンビでお互いにドジをし、いがみ合い、そして成長を助け合う姿を見せてくれています。

が、マウイが半神であり、1000年以上も生きてきた英雄ということもあって、そんなドジな姿を見せるところもすべてがモアナを成長させるための生きた教科書であったのではないか、と思えてくるのでした。

最後、モアナがマウイを村に誘いますが、マウイはモアナがいるから大丈夫、と断ります。

これもマウイがモアナと一緒に村に出向けば、村の人たちの称賛はマウイに向かってしまい、これから村長としてやっていくモアナの立場にとって良くないことになると分かっていたからかもしれない。

そう思わずにはいられませんでした。











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