映画「Swallow スワロウ」結末のネタバレ感想!ハンターの異食症の原因は現実的?

スリラー

映画「Swllow スワロウ」は一風変わったスリラー映画でした。


なぜ主人公のハンターが異食症となり、異物を飲み込むことになったのか?

その謎が映画が進むにつれて明らかになっていくのですが、そこに得も言われぬ恐ろしさを感じてしまいます。

また、妻よりも家や自分の対面を気にかけ、都合の悪いことには蓋をしてみぬふりをしようとする夫のリッチーやその両親の対応にも恐怖を感じてしまいました。


今回はそんな一見すると普通に起こりえる、場違いな上級国民の生活に巻き込まれたがために追い込まれてしまった主婦のストーリーに対してのネタバレと感想をつづっていきたいと思います。











映画「Swllow スワロウ」のネタバレ



映画を見ている最中にはそこまで落ち着いて考えられませんでしたが、よくよく考えてハンターの落ち込んだ状況を考えると、結構普通にある境遇のように思えてきたのです。

場違いな上流階級の家に嫁ぎ、専業主婦をしている。

お金はあり、時間も持て余すほどあるものの、実はそれらを自由に使うことは許されていない、もしくは許されていないように感じる重圧がある。

会社経営者の息子で、父親の地位を継いでCEOになった夫は、優しいものの仕事が忙しくあまりかまってもらえない。
そしてそのことに不満を言える雰囲気ではない。

そして義理の母親に見透かされていましたが、幸せだと思っているふりをしている、もしくは自分に言い聞かせて幸せなふりをしている。


そんな息苦しい生活の中で、異物を飲み込むことで充足感を得てしまうのですが、その理由は実は彼女の過去にあるのでした。

普通に生きてきた女性と見せかけて



物語の始めから、幸せそうな生活を送っているハンターですが、なぜか優れた表情を見せることが少なかったことが気になっていました。

そして妊娠が発覚し、大喜びの夫と義両親は登場するものの、彼女の両親は一向に姿を見せません

ここで彼女の過去に絶対何かあるな、と感じました。

もしかすると彼女以外の家族は、例えば事故などで全員死んでしまっている、という設定かとも思いましたが、そうではなく、健在だそうです。


が、実は彼女は母親がレイプされた際に妊娠した子供で、その後、母親と結婚した父親とは血がつながっていないことが分かりました。

その時点で、ハンターは母親も愛してくれていたし、血のつながっていない父も自分に優しく接してくれた、と話しています。

妹がいるとのことで、彼女との関係も良好なのだそうでした。


が、ハンターがリッチーのもとから逃げ出して母親に助けを求める電話をした際には、とてもそんな感じではない対応をされています。

しかもずっとハンターよりも妹のほうに愛情が向けられていたのではないか、と勘繰ってしまいたくなる母親の態度でした。


ハンターの家族、特に母親が、ハンターが妊娠したにもかかわらず、登場しなかったのは、ハンターの出生の秘密に問題があった、といえるでしょう。

自己肯定感不足や自己満足感不足の原因は親だった



そんな、家族の中でも浮いた存在であったであろうと思われるハンターには、自己肯定感も自己満足感も不足していたのです。

それは仕方のないことでしょう。

両親、特に母親はハンターを見るたびにレイプされたことを思い返す可能性があるわけですし、血のつながっていない父親も血のつながっているハンターの妹と比べてしまうことは避けられなかったとしても不思議ではありません。

また、対外的にもハンターの生まれた事情を周りの人が知っていた可能性が高く、それはハンターだけでなく彼女の妹も子供時代にいじめにあう可能性を高くしていました。

妹にしてみれば、それだけで姉のハンターが忌むべき存在でしょう。


こんな生活環境に置かれて育てば、自己肯定感は低いままで仕方ありません。

レイプ犯の娘はレイプ犯同様、存在自体が悪なのだ、と幼いうちから刷り込まれてきてしまったのでしょう。

だからこそ、リッチーという玉の輿相手にめぐり合い、結婚して妊娠までしたのであれば、それを手放したくない、と思うのは自然な感情の動きです。

これこそ、自分自身に今の生活が幸せなのだ、と言い聞かせている最大の理由でした。


そしてそんな自分を何とかしたいがために、本当の父親に会いに行き、したい質問をすべてぶつけたのだと思います。

幸いにもかつてのレイプ犯、ウィリアム・アーウィンは過去の過ちを反省し、今は家族もいてしっかりと生活しています。

そんな実の父親から過去の過ちに対しての反省の弁とハンター自身は何も悪くない、という言葉を聞けたことで、ハンターは過去の自分と決別し、吹っ切ることができたのでした。

映画「Swllow スワロウ」の感想



ストーリーの流れ的に、視聴者に興味を持ってもらうためにもハンターの家族についてなかなか言及されないのは仕方のないことだと思います。

それが、得も言われぬ恐怖の雰囲気を出していました。

そういう意味でいえば、このストーリー展開は絶対に変更することができないものと言えるでしょう。


ハンターの過去がはっきりしない。
そして想像もつかないような奇行をエスカレートしていくハンター。

そんな彼女の壊れていく様子や、それを見せまいと夫やぎ両親の前で取り繕って何とか過ごす日常。
しかし感じるプレッシャーは日に日に大きくなり、異物を飲み込むことで充足感を得るときの表情。

このハンターを演じた主演の女優ヘイリー・ベネットの素晴らしい演技のおかげで、視聴している我々はこの恐怖の世界に引き込まれていったと強く感じました。


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ただ、そのために残念ながらただ一つだけ、不自然に感じてしまったものができたのでした。

それはリッチーの両親の行動に対する疑問点から始まったのです。


ハンターが妊娠したということで両親は大喜び、いろいろなアドバイスをします。

この時点では両親、特に義理の母親は良かれとしてやっているだけでしたが、ハンターにとってはストレスをより強く感じていました。


が、ハンターの異食症のことを知った後は、息子の嫁としてふさわしくするため、ハンターをコントロールしようとします。

挙句の果てに傭兵上がりのヘルパーを雇い、ハンターの監視を始めるほど。


ここまで息子を心配するのは、成功した会社の経営者として当然だと思います。

リッチーの両親にとって一人息子のリッチーはゆくゆくは会社を継いでやっていくことになるわけで、そうなると変な女性にリッチーが引っ掛からないように、と強く考えても不思議ではないでしょう。


ではなぜ、両親はリッチーがハンターと結婚しようとした際に、ハンターのバックグランドチェックをきちんとしなかったのでしょうか?

成功している会社の経営者であるわけですから金銭の余裕はあるはずです。

であれば、金に糸目をつけず、探偵を雇ってリッチーの花嫁になる女性の生い立ちから性格まで、細かく調べるでしょう。


それが、結婚のときにハンターの生い立ちなどは問題にならず、両親も反対しなかった、というのが不自然に思えて仕方がないのです。


この点だけが、ストーリー上納得がいかなかった部分でした。


不満があったのはこの点だけで、ハンターの過去がだんだんと明かされていくことで、ハンターの異食症の原因が少しずつはっきりしていったストーリー展開はとても面白かったと楽しめました。





ハンターの異食症の原因は現実世界でも起こりうるのか?



異物を飲み込むという異食症は、本当に現実世界でも起こっているのでしょうか?

少し調べてみたところ、子供や女性、特に妊婦に見られることのある病気で、原因は解明されていないとのことでした。

異食症の中でも氷を異常なほどたくさん食べる氷食症というものがあり、こちらは鉄分が不足することで体温調節機能が異常をきたし、口の中が熱いと感じて氷をたくさん食べる行動に出てしまうことが原因の一つだそうです。

その他にも味覚をつかさどる味蕾(みらい)に異常が出て、氷をおいしいと感じてしまうという原因もあるそうです。

こちらは主に妊婦に見られることの多い異食症状とのことでした。


更にはストレスが原因で氷を食べ続けてしまうこともあるそうですが、このストレスが原因の場合は氷を食べる氷食症に必ずなるわけではなく、その他の異物を食べることがあります。


その他にも、子供に見られる精神疾患として食毛症という、自分の毛や繊維素材の毛をむしって食べてしまう異食症があります。

こちらは精神的なストレスが原因とされていて、毛だけではなく紙や粘土など何でも食べてしまう異食症に移行することが、症例として報告されています。

ですので、もしかするとハンターも子供のころ、ストレスを感じて人知れず、毛を食べていた過去があったのかもしれません

まとめ



映画「Swllow スワロウ」は普通に起こりえる環境、玉の輿に乗った女性が慣れない環境になじもうと無理をしたことで精神的に問題を抱え、奇行を演じてしまうようになり、その結果、どんどんと自分の立場を悪くして自由を無くしてしまうお話でした。

その結果、ハンターは自分の力でその環境から脱出しました。

しかも異食症の原因を突き止めて新たに人生をやり直すリスタートするところで映画は終了します。

個人的にはめでたしめでたし、という終わり方で満足できたと思いました


この映画の登場人物の中で、とても興味深いキャラクターが傭兵上がりのヘルパー、ルアイでした。

戦争を経験している彼にとって、最初ハンターの陥っている境遇は、なんでも手に入る上流階級の主婦のわがまま、くらいにしか映っていなかったのではないでしょうか。

が、ハンターは夫や義両親に行動の自由をどんどんと奪われ、監獄のような療養施設に送られることになり、そのストレスの発散の仕方は、自分の命を落としてしまうかもしれないようなものを飲み込むことでしかできないことを、ルアイは知ってしまったのです。

この時、戦争で命のやりとりをすることと、何でも手に入る何不自由のない暮らしの中で何もすることがなく、常に周りを気にして、ふさわしい行動をしていないといけない不自由さと、どちらつらいのか、考えてしまったのではないかと思いました。

だからこそ、ハンターに味方して、ルアイは彼女を逃がしたのではないでしょうか。
そう感じずにはいられませんでした。












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