アニメ逃げ上手の若君の犬追物ではなぜかわいそうな犬を的として利用したのかを考察

アニメ考察

アニメ「逃げ上手の若君」に登場する「犬追物」は騎乗のまま的である犬を射て、武芸の優劣を競う、当時のメジャースポーツである、と解説されていました。

それは戦の鍛錬でもあったのですが、なぜ、犬を的にしたのでしょうか?

今回はアニメ「逃げ上手の若君」では紹介されなかった、「犬追物」の詳細なルールと、なぜ犬が的として利用されたのかを考察していきたいと思います。







アニメ「逃げ上手の若君」の犬追物の詳しいルール

アニメ「逃げ上手の若君」に登場する犬追物は、

    ・逃げる犬を殺傷力の低い家を当てて得点を競う
    ・馬に乗って動く的を射る、最も実践に近い訓練

と説明が有り、囲いの中に放たれた犬を騎乗したまま弓で射る競技であることが、アニメから見てわかるようになっていました。

しかし実際には、それよりも多くのルールがあったのです。


まず、囲いで囲われた馬場は、40間四方の平坦な場と定められていました。

1間が約1.82mですので、40間は72.8m。

約70メートル四方が競技場ということになります。


また競技者は、12騎を一組として、全部で36騎の騎手が同時に競技しました。

つまり、個人戦も可能ですが、チーム戦も競技可能で、一般的には3チームが同時に競い合うことができたわけです。


的となる犬は150匹放たれ、所定の時間内に何匹の犬に命中弾を与えたかを競うのですが、アニメのように、どのポジションで、どの部位に命中させたか、によって点数が異なるのでした。

そしてこの得点を判定するために、合計で4騎の審判が馬場で、競技を見守ることになります。

暗黙のルールも存在

また、犬追物にあいて、ルールでは有りませんが、卑怯な行為は軽蔑の対象となるという暗黙のルールが有りました。

小笠原貞宗が時行の騎射に際して、死角から邪魔をする行為は、卑怯と取られても仕方のない行動のように感じられます。

戦場において、味方が狙われていた場合、この狙っているものに対して邪魔をするという行為は、味方の命を救うという立派な行為です。

そう考えれば、貞宗の行動は、大目に見てもらえるものかもしれません。

が、自身のポイントがりーどしていたからと言って、この行動は、どうか、と思ってしまいます。

対戦相手を射るルールは存在したのか?

貞宗と時行の決闘は、特別ルールで行われました。

馬場には彼ら二人しかおらず、お互いに相手を狙っても良い、ということになります。

調べてみると、犬追物は日本全国で行われていたようで、それぞれの地域に独自のルールが存在しているようです。

ですので、貞宗と時行のサシの勝負がフィクションである、ということは断言できません。


とはいえ、いくら殺傷能力の低い矢を使っているとはいえ、騎手がお互いに弓矢で狙い合う、ということは、限りなく危険です。

矢の直撃で死ななかったとしても、矢があたったせいで落馬して、打ち所が悪くて、ということが絶対に起こらないとは言えないでしょう。

もしこのルールが存在したとしたら、命を張った決闘ということになると思います。

なぜかわいそうな犬を的として利用したのかを考察

犬追物の歴史を調べてみると、文献上では1207年に最初の記述がありました。

神社でも神事として行われ、見物客で賑わったそうです。


ただし、文献を調べていくと、何も犬でないと絶対いけない、というものではなかったことがわかります。

獣であれば何でもよく、牛を追う「牛追物」という催しもあったそうです。

が、その後、犬以外にこれだ、という獣が見つからず、犬に落ち着いたそうです。

やはり牛のような大きい獣の場合、騎手に不慮の事故が起きやすいというデメリットがあります。


更に犬について見てみると、生まれてから数年後には、子犬を産める大きさに成長しているのでした。

大量の的が必要なわけで、そうなると犬の繁殖力はとてもありがたかったでしょうね。

こういったことを考えると、犬ほど便利な的はない、ということになり、犬追物として人気が出ていったものを考えられます。

まとめ

アニメ「逃げ上手の若君」に登場する犬追物は、貞宗と時行の対決では、彼ら以外騎手が存在しないルールで開催されました。

ただ本当であれば、36騎が同時に馬場の中に入り、互いに競い合う、という形になります。

また、馬場は約72メートル四方という空間であり、150匹の犬が同時に放たれていたのです。


騎手同士が互いに狙い合うというルールは存在していませんが、日本全国で広く行われていた競技のため、場所による特別ルールが存在していたことが分かっています。

ですので、もしかすると、騎手を狙ってもいいというルールが存在したかもしれません。


犬が的になった理由について、犬追物ではなく、牛追物が存在していたが、その後廃れたということから、犬が的のほうが、騎手にとって安全であること、がまず考えられます。

そして犬の繁殖力の強さから、大量に的が必要な競技に、ちょうど都合が良い、ということになったのでしょう。









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