映画「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」はイギリスに蔓延する薬物問題を背景にしながら
そこから抜け出すために奮闘する青年ジェームズとその相棒、猫のボブの話です。
最初にジェームズがホームレスとして苦労しているシーンは、その悲惨さに絶望しそうに
なりますが、その後彼がボブと出会って立ち直っていく姿はとても希望に満ち溢れ、
見終えた時には元気をもらえた気がしました。
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キャストの紹介
ジェームズ・ボーエン: ルーク・トレッダウェイ
ホームレスでヘロイン中毒のストリートミュージシャン。薬中を抜け出す生活を猫のボブと始める。
ベティ(エリザベス・ロビンソン): ルタ・ゲドミンタス
ジェームズが越してきたアパートの住人。ジェームズを何かと助ける。
ヴァル: ジョアンヌ・フロガット
ジェームズの社会復帰を助けるソーシャルワーカー。
ジャック・ボーエン: アンソニー・ヘッド
ジェームズの実の父親。二人の仲は上手くいっていない。
ネタバレあらすじ
ジェームズはロンドンの街でストリートミュージシャンとして暮らしていましたが、
ホームレスでヘロイン中毒者としてその日の食事にも事欠く、救いようのない生活を送って
いました。
友人と一緒にヘロインを使用し、薬物中毒を起こして病院に担ぎ込まれます。
そこで出会ったソーシャルワーカーのヴァルの助けを得て、更生プログラムに入ることが
でき、住むアパートを手配してもらい、ヘロインを抜く決心をします。
その夜、一匹の猫が迷い込んできました。餌を上げて外に出そうとしますが、出て
いかなかったので、一晩保護して翌日飼い主を探すことにします。
翌朝、外に放してやりますが、その晩、ジェームズがうちに戻ると猫が待っているでは
ありませんか。しかも他の猫と喧嘩でもしたのか、後ろ足に大きな傷がありました。
驚いたジェームズは助けを求めて周りを見渡し、一人の女性がうちの中に入ろうとしている
のに気がつきます。
その女性はジェームズを怪しんでいましたが、猫が怪我していることに気がつくと、部屋の
中に招き入れ、応急手当をします。しかし完全な治療に抗生物質が必要なため、彼女が
時折ボランティアで働いている動物病院を紹介してもらい、治療を受けることにします。
彼女はベティという名前で、猫にボブという名前をつけるのでした。
しかしジェームズは動物病院での待ち時間でヴァルに会うための予約をすっぽかしてしまい
ます。
翌日、ヴァルのオフィスに出向いたジェームズに二度と予約をすっぽかすことのないように
きつく忠告するヴァルでしたが、ジェームズに起こった出来事を聞いて、特に女性との
関係を持つことはまだ早いと忠告します。
ジェームズが最初に薬物に手を出したのは両親の離婚がきっかけで、感情をどうコントロール
していいのかがわからなかったのが最大の理由でした。
プラスの感情はそれが大きくなるだけ、マイナスに落ち込んだ時に大きく落ち込みます。
そしてそれに耐えきれず、また薬に手を出してしまうということが多々あるのでした。
ヴァルはジェームズにゆっくりと更生していくようにと忠告するのでした。
ジェームズはストリートパフォーマンスに出かけようとしますが、ボブがついてきて
しまいます。
はじめは追い返そうとしますが、バスの中まで入り込んでついてくるボブに根負けして
一緒にストリートパフォーマンスをすることに決めますが、ボブを肩に乗せて歩いていると
行き交う人々がボブの可愛らしさに声を掛け、写真を取るのでした。
いざストリートパフォーマンスを行えば、ボブのおかげか多くの人が足を止めてくれます。
勢い、稼ぎも大きくなり、ジェームズはボブとストリートパフォーマンスを一緒にする
ようになるのでした。
また、ボブとの一件で知り合ったベティとも会えば声をかけるようになり、着実に二人の
距離は縮まっていきます。
そんなとき、ジェームズは昔の薬中仲間、バズがジェームズのアパートの外で倒れている
のを見つけます。慌てて助けを呼び、それを聞きつけてベティが応急手当てをします。
やがて救急車が駆けつけますが、ヘロインの過剰服用で亡くなってしまうのでした。
翌日、ベティが過去の事件をジェームズに話します。
彼の兄もヘロインの過剰服用で亡くなっており、今住んでいるアパートは兄のアパート
だったことを。
そんな過去があったため、彼女は薬物中毒者のことを避けているのでした。
大晦日の晩、ジェームズはボブと一緒に父親のジャックの家を訪ねます。しかし継母の
ヒラリーと二人の娘達はジェームズを歓迎しません。
しかも娘の一人は猫アレルギーであったため、追い出されるのですが、逃げ出したボブを
捕まえようとしたため、ヒラリーが大事にしていた花瓶を壊し、クリスマスツリーを倒して
しまいます。
ボブと出会ってから殆どのことがうまくいきかけていたジェームズでしたが、家族との
絆を取り戻すことはまだできませんでした。
年が明け、いつものようにストリートパフォーマンスをしていたジェームズとボブですが、
観客の一人が絡んできたことで、多くの人を巻き込んでの喧嘩になってしまいます。
警察に捕まったジェームズでしたが、騒動の原因とは無関係ということがわかり、無事
釈放されます。しかし騒ぎに関わった罪で、6ヶ月間、ストリートパフォーマンスをする
ことを禁じられてしまうのでした。
しかも薬局で鎮痛剤のメサドンを購入しているところをベティに見られてしまいます。
ヘロイン中毒の更生にメサドンを服用しなくてはならないジェームズでしたが、これで
彼が薬物中毒患者であることがベティに知られてしまいました。
ベティはジェームズが真実を隠していたことに怒り、これ以上話をしたくないと去って
いってしまいます。
ストリートパフォーマンスでお金を稼ぐことができなくなったジェームズはホームレスの
社会復帰を貢献するビッグイシューを訪れます。ビッグイシューの雑誌を販売して、それで
お金を稼ぐことにしたのでした。
ストリートパフォーマンス同様、ボブと一緒に雑誌を売るジェームズはたちまち人気者に
なりますが、他のビッグイシュー販売員はジェームズ一人に売上を取られて面白くありません。
ところがあまりの人気に、他の販売員のテリトリー内で客に声を掛けられ、雑誌を売って
しまう違反を犯してしまいました。ルール違反はどのような理由であろうと1ヶ月の販売
禁止です。
持ち金がなくなっていく中、禁止されているストリートパフォーマンスを客が少ない
エリアでやったりしてなんとか食いつなぎ、販売禁止の1ヶ月を乗り越えます。
雑誌販売に戻ったジェームズに、子連れの女性がボブを買い取ろうと強引に話をしてきます。
ボブは売り物ではないと断るジェームズでしたが、女性との言い合いが白熱してしまい、
犬の散歩にきていた男性の手からリードが離れてしまったため、犬がボブを追いかけ始め
ます。
慌ててボブを追いかけるジェームズでしたが、見失ってしまい、その後、うちにも数日
帰って来ず、ジェームズはとても落ち込んでしまうのでした。
その落胆からアパートの外でいつもいる薬の売人にフラフラとよっていってしまいます。
しかし、薬を買うすんでのところで思いとどまり、ボブを見かけたことはないか、と質問
して、部屋に戻るのでした。
そして戻った部屋にボブがジェームズを待っていたことに気づき、再会に涙するのでした。
ジェームズはヴェルにヘロイン中毒の更生の最終段階、メサドンの服用をやめる時期に来た
と思うことを告げます。ヴェルも同意見で、48時間の薬抜きを始めるのでした。
薬抜きを始める前に、ジェームズはベティのもとに行き、ドア越しに彼女を失望させた
ことを謝罪して薬抜きを行うことを告げます。そして見事に成功させることで、ベティへの
お詫びにしたいと宣言するのでした。
ベティはジェームズが本気であることに気づき、彼女のできる手助けを申し出ます。
薬抜きの際、一番危険なのは家の外へ出ることで、出てしまうことで、薬に手を出してしまう
可能性が上がるのでした。
ですので、食事をベティが用意し、部屋まで運ぶことを約束します。
ジェームズはその申し出に感謝し、しかし苦しむ姿は見せたくないことを告げるのでした。
48時間の薬抜きの間、幻覚や禁断症状などいろいろなものがジェームズを襲います。
それになんとか耐えるジェームズの傍らに、いつもボブが寄り添うのでした。
薬抜きが終わり、ジェームズはベティに会いにいきます。そこには引越し業者が荷物を
トラックに納めているとことでした。
ベティはジェームズが無事に薬抜きを終えたことを喜んで、ドリームキャッチャーを
プレゼントします。
そして今いるアパートは彼女の居場所ではなく、兄の居場所であることに気がつき、自分の
居場所を探すことにしたと話すのでした。
サヨナラではないとジェームズに連絡先を渡します。そしてジェームズを探していたという
出版社の名刺も渡すのでした。
ジェームズはジャックを訪れます。そして薬物から完全にクリーンになったこと、そして
いままで迷惑をかけたことを謝るのでした。
ジャックも父親として何もしてこなかったことずっと自責の念にかられていたことを
告げ、本当に謝るのはジャックの方だと、謝罪します。
こうして二人は再び家族に戻ることができたのでした。
ジェームズとボブのストリートパフォーマンスや雑誌販売はネットで反響を読んでおり、
ユーチューブ動画もたくさん上がっていたのでした。そのことに目をつけた出版社が
本の出版を持ちかけたのです。
本の発売記念日に大きな書店でイベントが行われジェームズとボブは大勢のファンの前で
祝福されるのでした。そこにはベティ、ヴァル、そして父親のジャックとヒラリーの姿も
ありました。
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