ネタバレ感想 1 映画の通りの話なら感染症は文明を崩壊させるほど広がらない
このシリーズ、最終的には地球を猿の惑星にしないといけないので、なんとか人間の数を
減らす理由を探さないといけません。
それには感染症を利用するのが手っ取り早いというわけでしょうが、残念ながら世界規模に
広がる可能性は低いと思います。
まず、アメリカ サンフランシスコに限定された生産拠点という点。
確かにウィルの忠告を無視して大量生産を行いましたが、新薬として出来上がったからと
言って、政府関係機関の許可なく大量生産して即流通させることは不可能です。
政府関係機関も安全性を確認しない限り、流通の許可は出さないはず。
となると、アメリカ西海岸のみが感染症の発生源となります。
その後、おそらくは感染者からの2次、3次感染ということになると思いますが、感染症が
わかった時点で、感染者の隔離政策が始まり、被害の拡大を防ぐことになります。
拡大が防げなかったと仮定しても、陸続きということで南北アメリカは感染症の被害を
受けるでしょうが、それ以外への拡散は、難しいでしょう。
例えば、2002年から2003年に世界的に拡散されたSARSも中国が発生源で北アメリカや一部の
ヨーロッパの国まで広がりましたが、南アメリカやアフリカなどの国には広がりません
でした。
もちろん、SARSよりももっと強い感染症である、という設定も可能ですが、そうだとした
場合、ウィルスベースで作られた新薬に対し、感染症の原因になるかもしれないという
可能性を考えずに大量生産に踏み切る製薬会社の決定自体が荒唐無稽と言わざるを得ません。
最初にもいいましたが、人間の数を大量に減少させ、やがては地球を猿の惑星にしなくて
はならないという縛りがある以上、ある程度の非現実性に目をつむることはやむを得ない
のでしょうが、確かオリジナルでは核戦争が、地球を猿の惑星にした原因だったといって
ませんでしたっけ?
ネタバレ感想 2 知能は上がってもやはり猿で人間ではない
映画の中でキャロラインも言っていましたが、シーザーは人間の身勝手な理由で作り
出されてしまった、悲しい存在だと思いました。
いくら知能があっても猿には違いないわけで、隣人を襲ってしまった結果も、人間として
裁かれるわけでは、当然ありません。
コミュニケーションもとれて、それまで自分もウィルやキャロラインとおなじ一員だと
思っていたのが、全くそうではなかったことを突然、思い知らされるわけです。
しかも隔離された場所では自分と同じ仲間が無知をいいことに、いいように痛めつけ
られているわけですから、彼らのためになんとかしたい、と思うのは当然だと思います。
結局ウィルが迎えに来ても、自分ひとりが幸せな生活に戻ることはできないと決断した
のは、それ以外に選択の余地はなかったのでしょう。
同じように、自分だけが知能を持つ存在であることも、許容し難い事実で、何しろ現状の
問題を打開するだけの解決策があるのですから、それを採択しない手はないのです。
今まで人間が、人間に都合のいいように使ってきた報いを受けている。
そんなメッセージのような気がします。
ネタバレ感想 3 キャッチコピーはミスリード?
知能を向上させ、群れで街中を走り抜ける猿の群れですが、何も人間に誰かれ構わず、
襲いかかっているわけではなく、ただただ、目的地に向かって未知だろうが、建物の中
だろうが、進んでいるだけです。
しかし、キャッチコピーはいかにも知能を向上させた猿が、人間を襲っているかのように
印象づけているのが気になりました。
人間と知能を向上させた猿との間に闘争があったほうが、エキサイトするのかもしれま
せんが、何が何でも争いに持っていこうとする姿勢は感心しません。
元々オリジナルの原作は小説で、フランス人作者のピエール・ブールは「人間の知性は
固定されて備わっているものではなく、知性がなくなれば動物と変わりがない」という
メッセージを込めて書き上げたと言われています。
オリジナルの映画も最後に自由の女神像が現れることで、強烈な皮肉を示していますし、
もうちょっと、深いところを表せるようなものにすることはできなかったのでしょうか?
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