ネタバレ感想 1 黒人の描かれ方、これでいいの?
マーベルヒーローの中でも初めての黒人ヒーロー。アメリカでは大ヒットして大騒ぎ
らしいのですが、特にマーベルヒーローファンでもない僕は、黒人ヒーローの描かれ方が
どうなっているかを特に注目して、映画を見ていました。
内容からすると黒人が、しかもオバマ元大統領夫人までも話題に出すほどの内容では
なかったのではと思ってしまうのです。
もちろん僕は黒人ではないし、アメリカで育ったわけではないので、彼らがそこまで感動し
興奮する気持ちが本当にわからないとは思います。
でも、作品のストーリーは世界から隠れて自国の発展のみを置い続けてきた王国の新しい
王が、自国の技術と富と力の源の秘密が外の世界に漏れそうになったので、それを
阻止するということにつきます。
侵略してくる白人に対抗するとか、虐げられている黒人を助けるという話はメインでは
ありません。
エリックが王座について、今の世界秩序を破壊しようとしたのを止めたのだって、世界を
守るためと言えば聞こえはいいかもしれませんが、この場合、世界を守ることと自国の
技術を外に漏れないようにすることはイコールになるわけです。
この映画のストーリーだけに関して言えば、ブラックパンサーは別に世界の平和を守る
ために戦ったわけではないのです。
まぁ、新しい王として、自分ならではの王政をどうしていくか、という疑問について
最終的にポジティブな解答が出るのですが、それを導き出すためだけに2時間20分の
映画に付き合わされたということになりますか。
あと、アメリカが待ち望んでいた初の黒人ヒーローは、アメリカで虐げられている黒人を
助けようとはしていませんでした。
国王として国民に対して責任があるのはわかります。他国で難民が出たとしても無条件に
それらを助けることはできません。難民を受け入れることで自国に出る影響を考え、
それによっては規制することも国王の大切な判断です。
が、これがアメリカ人が待ち焦がれていたヒーローでいいのでしょうか?
ネタバレ感想 2 ワカンダ王国がもつ技術について思ってしまったこと
アフリカの一部にとんでもなくパワフルで希少価値の高い鉱物を唯一、未曾有に保有して
おり、その鉱物を使って現代の技術の2歩3歩も先を行くテクノロジーを持つ国、ワカンダ。
そしてその富と技術を独占するために外の世界と情報を遮断し、自国だけ栄えてきた
という設定です。
歴史的に見て、技術というものは発祥した場所から他の地域に伝染していって、そこで
改良を加えられることによって、新しい技術になることのほうが多いと思うのですが、
この映画ではそんなことはお構いなしですね。
例えばルネッサンスの元になったという3大発明のひとつ火薬は、もともと中国にあった
ものがヨーロッパに伝わったわけですが、そこから鉄砲という、中国では発明すらされ
なかったものがヨーロッパで出来上がりました。
それがアジアに伝わり、戦国時代でそこらじゅうで戦争していた日本で特に有用な武器と
なって、戦国時代終わりから江戸時代にかけて、国別の鉄砲の保有量で日本がトップで
あったこともあるくらいです。
その後、日本で戦争がされることがなくなり、変わってヨーロッパで戦争が頻繁に起こる
時代となったことから、火縄銃のような先込め銃から現代のライフルのような元込銃に
改良され、その銃の有無が明治維新の際に、維新軍が幕府軍に勝利した重要な理由の
一つとなるわけです。
それをこの映画は自分の国だけで独占して改良を重ね、あそこまでの技術を確立した
という、お子ちゃまのような発想で、ヒーローアニメ映画がひどすぎる、と思って
しまいました。
大体、改良というものは環境の変化に対応する必要ができて考え出されることがおおい
と思うのです。
例えば、自動車で、昔のエンジンだと燃費が悪く、ガソリンをたくさん使用しないと
走行距離がでませんでした。
石油資源のない日本では燃費を良くするためには、という発想になりましたが、
ガソリンが安いアメリカでは燃費を良くする代わりにタンクを大きくして、たくさん
燃料を積むことで、対応したわけです。
これだってその環境が違うために考え出された改良の方向性が違ったという例の一つ
ですが、ワカンダ王国の技術ってアフリカ以外で本当に使える技術なんでしょうか?
例えば気温が氷点下になるような環境でも使える技術なのか、ということです。
だってワカンダ王国内で氷点下になるような場所がそう多くなく、そんなところで
使える技術かどうかを調べる必要すらないわけですから。
もしそこまでカバーしているのであれば、技術者の自己満足達成度はとても高いで
しょうし、それを認める王国も結講、おおらかな国なんですね。
ネタバレ感想 3 オリジナルコミックとは設定が異なるようです
調べてみるとオリジナルコミックでのブラックパンサーの特殊能力は、ハート型の
ハーブを属することによって生み出される事になっています。
で、そのハーブは普通の人間には毒なのですが、王家の血筋を引くものだけが免疫を
持っているので、食べても死なず、超人的な力を発揮できるのだとか。
もちろん振動を吸収するという架空の鉱物ヴィブラニウムもブラックパンサーの力の
一つにはなっていますが、それが全てではないようです。
また、王国もあそこまで近代都市で、他ではまだ実現していないような技術が普通に
使われているような描写も少ないようです。
このような変更、あまり僕は好きではありません。
とくにこの前のスパイダーマンなんてスーツや道具がなかったらウェブも出せないように
なっていますし。
ところでコミックだとマーベルヒーローが勢揃いしたり、話によって何人かのヒーローが
助けに来たり、助け合ったりというストーリーを作ることも簡単ですが、これが映画に
となると、果たしていいことなんでしょうか?
僕の子供の頃、楽しみにしていたウルトラマンシリーズで、時折、主人公のウルトラ
マンを助けに他のウルトラマンが現れると大興奮でしたが、そのくらいのチラリズムの
ほうがいいように思うのです。
次回作の「インフィニティ・ウォー」では既に、アイアンマン、キャプテン・アメリカ、
ハルク、ホークアイ、ブラック・ウィドウ、ソー、ロキ、ウォーマシン、スカーレット・
ウィッチ、アントマン、ブラックパンサー、スパイダーマン、スター・ロードとその仲間、
ドクター・ストレンジなどなど、とんでもない数のスーパーヒーローが登場します。
その数ざっと数えても30名以上。30分として一人1分、1時間で一人2分、3時間でも一人6分。
果たして映画として機能するのか、心配しかありません。
殆どのヒーローがすべての映画にちょいと出てくるスタン・リーのような扱いになるのでは
ないでしょうか。
大体アベンジャーズのリーダーが大企業のオーナーで金持ちって、ここでも格差社会ですか。
格差に反発し、金持ちは貧乏人の気持ちを汲み取らず、自分たちだけが金を稼いで
いい生活をしているとひがんだり、抗議しているにも関わらず、国民に人気のヒーローが
反発している対象の金持ちだというのですから、アメリカが病んでいると感じざるを
えませんよ。
関連記事: 映画ブラックパンサーの映像編集ミス&プロットミスの紹介!
コメント
記事内、ティ・チャラと、ティ・チャカが反対です。。
Kamokoさん、コメントありがとうございます!
間違いのご指摘、重ねてお礼申し上げます。m(_ _)m 早速修正しました。
いい感じに纏まってると思ったのに最後だけ気になったので少々。
〉大体アベンジャーズのリーダーが大企業のオーナーで金持ちって、ここでも格差社会ですか。
良いんじゃないんですか?
少なくともそのおかげで幾つかの作品では組織として動く事が出来たんですし、〇〇が金持ち=格差社会って言い方は極端過ぎると思います。むしろトップにそれなりの経済力がないほうがおかしいと思いますが。
少々お金の事や貧困の事に過敏過ぎるのではないでしょうか?映画のストーリー云々よりもその辺りの背景に対して攻撃的に見受けられました。
映画のストーリーや設定はよく理解出来ました。
kamuiさん、コメントありがとうございます!
ご指摘いただいて、読み返してみたところ、ちょっと調子に乗っていて、しかも僕が常々思っているアメコミの不満なところがきちんと説明していないままに書いてしまった文章だと反省してしまいました。
なにより、結局は子供向けに書かれた漫画が原作の映画の設定に、こまかくツッコミすぎていたと、気付かされました。
今後は、攻撃的な印象ではなく、ユーモアを感じてもらえるように文章力を養っていきたいと思います。
原作とMCUでの設定変更は以前から多々ありました。ブラックパンサーで言えば原作ではxmenのストームと結婚しているわけですし…
「とくにこの前のスパイダーマンなんてスーツや道具がなかったらウェブも出せないようになっていますし。」
この件に関しては、原作スパイダーマンもウェブシューターがないとウェブは出せませんよ。手首から直接ウェブが出せるのはサム・ライミ版のスパイダーマンですね。
gwxyさん、コメント、ありがとうございます!
スパイダーマンのウェブシューターのこと、教えていただきましてありがとうございます!
そうだったんですね~。知らなかったです。
アメコミの主人公は歴史が長いキャラが多いので、この件も知らないまま書いちゃいました。
勉強になりました!
最後だけウガンダ王国になってます。ワカンダです。
Mさん、コメント、ありがとうございます!
早速修正しました!
エヌバクではなく、エムバクだったかと…
名無しさん、コメントありがとうございます!
早速修正しました。