映画「パシフィック・リム アップライジング」の感想がいろいろとでてきています。
その大半は、僕個人も賛成ですが、前作のほうが良かったというものですが、その中で菊地凛子演ずる森マコが映画が始まってかなり早い段階で亡くなってしまうストーリー展開に対する不満がありました。
全体のストーリーを考えると、致し方がないことではありますが、なぜそのような展開にしたのかを考察してみました。
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ストーリーの流れ *ネタバレあり
ストーリー全体のおさらいをしてみますと、イェーガープロジェクトからさらなる進化を進めているPPCDで、シャオコーポレーションが進めるドローン計画の導入が検討されています。
ドローン計画とは、イェーガーを遠隔操作できるようにしたもので、映画で見る限り、パイロットは一人でイェーガー一台を操縦できるシステムのようです。
ドローン計画はまだ完全に完成してはいませんが、それは時間の問題ということで、PPCDで導入するかどうかの最終決定を森マコが下すことになっています。
その決定をする前のシドニーでの式典で、謎のイェーガーが現れ、ジプシー・アベンジャーとの市街戦の中で、森マコの乗るヘリコプターは攻撃を受けて墜落し、殉職すると言う流れです。
その後は、死ぬ直前に森マコの送った情報から、ロシアのシベリアにある、かつてイェーガーを生産していた廃工場が怪しいことがわかり、そこにジプシー・アベンジャーが出向いて調査をしていると、謎のイェーガー、オブシディアン・フューリーが現れて再度戦闘になります。
今度は見事に撃退し、操縦者が誰なのかを暴きますが、それは怪獣の脳みそだった、という驚愕の真相でした。
さらに今作の一番の驚愕ネタバレである、実は黒幕は怪獣の脳とのシンクロで思考のほとんどを乗っ取られたニュートン・ガイズラー博士だったという展開につながっていきます。
なぜ森マコを狙った理由を考察
ストーリーの展開上、ドローン計画を悪用して怪獣を地球に呼び戻すことになるため、ドローン計画がPPCDによって採用されないと困ります。
その最終決定権を持つ森マコは、ドローン計画に諸手を挙げて賛成、という感じではありませんでした。
もともと育ての父親、スタッカー・ペンコストが進めたのがイェーガープログラムで、マコ自身もイェーガーのパイロットだったわけですので、愛着は人一倍だと思います。
ドローン計画が成功すれば多大な有益を受けられることがわかっていても、なかなかOKというわけには、心情的に出来ないのは理解できます。
とはいえ、彼女の今の立場は個人の感情を差し挟むことは全く許されないもので、彼女もそれは理解していたものを考えます。
だって、イェーガープロジェクト、最大の難点は二人のパイロットで1台のイェーガーを操縦士しなくてはならないという効率の悪さ。
しかもその二人がお互いの意識をシンクロさせて初めてまともに動くわけで、前作の主人公でも経験した、二人の内の一人が操縦できない状態になった場合、それだけで出動不可能となる点です。
新人パイロットの育成でもシンクロの部分が一人前になるためには大きな壁となり、新たなパイロットによる出動可能なイェーガーを準備することが効率よくできません。
一方で、その問題を解決するために、イェーガーを一人で操縦できるようにする必要性は大いにあります。
また、一人で操縦できる上にドローンとして遠隔操作が可能であるとなれば、そのメリットは計り知れません。
その部分だけでもPPCDがドローン計画を承認して導入する理由に十分なると思います。
このことを考えると、個人的に賛成できないという理由で森マコが最終決定でノーを選択することはまず、考えられません。
そうなると、彼女がノーを選択するかもしれないと恐れは、安全面からの疑問でなければなりません。
このドローン計画、怪獣の生態を調べることで、その結果を応用して実現可能にした技術となっています。
それ故、全く新しい技術ですので、遠隔操作が何らかの形で出動中にうまくいかなくなる、という可能性があれば、採用することは危なくて出来ないという結論になってもおかしくはありません。
ただし、そのようなリスクがあったとしても受け取り側によって、つまり、どこまで現実的なリスクだと感じるかによって、受けられるメリットと比べれば目をつぶろうとなったり、嫌、危険すぎるという判断になったりするでしょう。
森マコが亡くなってドローン計画導入の話が進んだところを見ると、マコが恐れていた未知の危険というものが、それほど確実なものではなく、マコ自身もはっきりとして証拠なりを掴んでいなかったということになるのだと思います。
しかしそれであれば、わざわざ森マコを襲って取り除く必要があったのか、黒幕であるガイズラー博士の視点で考えても、納得できません。
実際、映画ではうまく行ったから良かったものの、描写内にあったリーウェン・シャオも間一髪で命拾いをしたというリスクが有りました。
つまり襲撃の混乱で森マコが命拾いをし、リーウェン・シャオが命を落とす可能性もあったわけです。もしくは狙い通り森マコを亡き者にしたが、リーウェン・シャオも亡くなった、ということもありえました。
ドローン計画においてリーウェン・シャオの存在はとても重要で、もし彼女が亡くなっていたら、計画自体がなくなったり、遅れたりする危険性があります。
そのことを考えていなかったのでしょうか?
他にも、ジプシー・アベンジャーとの戦闘で、正体がバレることなく、狙い通り森マコを抹殺できましたが、可能性としてジプシー・アベンジャーに返り討ちされ、怪獣の脳が操縦していたことが、シドニー襲撃の時点でばれる恐れもあったわけです。
だいたい、香港からシドニーへ移動しているのですから、その移動最中に襲撃したほうがよっぽど成功していたと思うのですが。
ジプシー・アベンジャーも移動中ということで数機のヘリに吊られており、マコの搭乗するヘリの近くにいたとしても、いきなりのミサイル攻撃に何の対処もできないと思います。
森マコが死んでしまわけです。なければならないう理由
怪獣に思考を乗っ取られたガイズラー博士から見ての、森マコが死ななければならない理由というのが、あまりないことがわかりました。
となると、森マコが死んでしまわなければならない理由は、ストーリー上の理由となります。つまり、彼女が死ぬことによってストーリーが盛り上がるから、ということです。
そういう意味で言えば、今回の主人公で血のつながり弟のジェイクはいやいやPPCDに戻っています。
できることなら与えられた任務をさっさと済ませて、カリフォルニアに戻りたい、と思っているくらいです。
そんなやる気の欠乏した主人公を一気にやる気に持っていくには、愛する肉親の死、が一番説得力があります。
実際、マコが亡くなってからのジェイクの積極性は飛躍的に高くなりました。
ただ、それだけのために、彼女が死ななければならなかったのだとしたら、あまりにも悲しいと感じてしまいます。
彼女が唯一の前作からの生き残りキャラなのに。
また、もし死ななければならなかったとしても、前作のスタッカーのように、最後の最後で自らを犠牲にして、という演出方法はなかったのか、と思ってしまいます。
それこそ、富士山頂を目指す巨大怪獣めがけて落下するイェーガーからの脱出においてジェイクとアマーラを無事に逃がすために自らを犠牲にする、というようなシチュエーションだとか。
途中まで「お前が悪役だろ」的な雰囲気満載だったリーウェン・シャオが最後の戦闘で救世主的な活躍をして、しかも生き残るのをみてしまうと、この差は何?中国市場にそこまで媚を売りたいの?と邪推してしまいます。
全体的にあまりに中国を意識し過ぎのストーリーに対する不満は、僕自身の心の狭さなのか、中国に対する僻みなのか。
そんなことを考えさせられる「パシフィック・リム アップライジング」は明らかに前作よりも楽しめない映画だったと思います。
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