ニューファンドランドの郷土料理、コッドタン-おそらくここ以外でこれを食する地域はないのではないでしょうか。

      2017/01/14

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クリスマス・イブまであと一週間。いよいよ巷は慌ただしくなってきました。
家内の両親が来てくれていますが、連日のように買い物に出かけてすごい人混みの中で疲れて帰ってくるという数日を過ごしています。


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しかし毎年思うのですが、こちらの人のクリスマス前のこのエネルギーはどこから湧いて出てくるのでしょうか?買い物、飾り付け、パーティーの用意やはしごなど連日のようにイベントが有り、散財しております。そこまでしなくてもいいのでは、と思うほどで、今日行ったトイザラスではカートにおもちゃを山盛りにした多くの家族がレジスターで列を作っていました。そんなに買わないとだめなのか、というほどありますが、飾ったクリスマスツリーの下に入り切らないほどの数のプレゼントを置くのが何よりも重要だと聞いたことがあります。
そこまで物欲主義にならなくても、欲しいもの一つで十分じゃないのかなと疑問に思うのですが、そこは文化の違いなのでしょう。

ちなみに僕らは何年前のものかしれない$20分のギフトカードが出てきたので、それを使ってレゴのおもちゃを一つ買っただけです。多分、他の家族には異様に映ったのでしょうね。

買い物のあとにポットラックのクリスマスパーティーに参加しました。
ポットラックとは1品持ち寄りのパーティーのことで参加者が、一つ以上の料理を持ってきます。自分はたまたまコッドタンがあったので、これをパンフライにして持っていきました。

コットタンとはなんぞや、と思われる方が多いと思います。英語名でコッドタン、コッドとは魚のタラのこと。タンは舌になります。
つまり直訳はタラの舌。牛タンならともかくタラに舌なんかあるのか、と思われるかもしれませんが、これがきちんとあるのです。
ただしその必要が無いので、伸縮したりするほど長くありません。またタンと言っても舌だけを食べるのではなく、実際は下顎の肉全体を食べることになります。

イメージのわかない人は顎を上げて、その外側を指で触ってください。顎の骨を感じると思いますが、骨はUの字の形をしており、骨の間には柔らかい肉があることがわかると思います。この下顎の骨の内側に沿ってナイフを入れて肉をくり抜き、それに小麦粉をまぶしてフライパンでカリッと焼き上げます。この際、塩漬けした豚の脂身から取った油で揚げるのが伝統的な調理法ですが、今回は小麦粉の代わりに片栗粉を使い、油は普通のサラダ油を使用しました。

なんでまた、そんなところ食べようという気になったのか、という疑問がわきますが、それはこのニューファドランドに入植をした人々の生活の歴史に答えがあります。
この島に入植をした人たちは小さな漁村を構え、漁のできる春先から冬前までタラ漁に明け暮れていました。そして捕れたタラは頭と背骨を切り取って塩干しにし、それを商人に売って生計を立てていました。
この頃の商人は非常に力を持っており、漁村に住む住人が生活用品や漁具を買うには漁村に1軒しか無い商人から購入するしかありません。しかも貨幣経済が発達していませんでしたのでこの売買は帳簿付けのやり取りでした。つまり購入した品物を帳簿につけておき、取ってきた魚を売った際にその価値分だけ帳簿から掛買いした分を削除してもらう、という方法です。

昔のドラマで「大草原の小さな家」という海外ドラマがNHKで放映されていたのを覚えている方もいらっしゃるかもしれませんが、そちらはプレーリーと呼ばれる大平原で農家をしていて、収穫した農作物を商人に売ることで掛買い分を引いてもらっていましたが、それと同じことです。違いは農作物か漁獲かというだけですが、そういった集落の権力者は通常4名、神父、医者、学校の先生、そして商人です。村長はその4名の誰かがするのが普通でした。

話が少しそれましたが、つまり捕れたタラの肉はお金と一緒ということです。おいそれと自分たちで食べてしまうことはできません。
そこで商品にならない捨ててしまう頭部の中でなんとか食べれられる部位はないか、と探したことでこのコッドタンが出来上がりました。

今でも島では大人気で、飲み屋のツマミメニューやレストランの前食としてメニューに乗っており、地元のスーパーでも普通に売られています。一匹の魚から1タンしか取れないこともあり、島内の需要を賄うのが精一杯のため、州外に売られることはありません。それもあって他州では食べることのできない料理でもあります。

問題の味は、というと、下顎の肉は筋肉質の歯ごたえのある肉、下の部分はとろっとしたゼラチン。この食感にカリッと揚げた塩味のきいた衣が加わって、ビールのお供にかなり合います。毎回食べるというものではありませんが、一度は試してみてはいかがでしょうか?





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