映画光をくれた人のネタバレ感想とあらすじ! 感動的なラスト結末に涙!

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ネタバレ感想 1 悲劇の男トムはラストで少しは救われた

感動的なストーリーですが、見終わってから思うのは、トムは人生がかなり悲劇に見舞われ
ている、悲しい男性なのだなということでした。

大戦で4年間フランスで戦い、活躍もして英雄として称されていますが、本人はあまりの
心の傷に、全く一人の生活がしたくなって灯台守になってしまいます。

偶然出会ったイザベルと恋に落ち、戦争によって無くしていた感じる心を取り戻しますが、
そのイザベルは2度の流産で、子宝に恵まれません。

たまたま流れ着いたルーシーを育てることにしますが、多分一緒に暮らせたのは5年~6年
程でしょうか。それは楽しい期間だったかもしれませんが、ルーシーの母親かもしれない
女性を見つけてしまってからは、おそらくふとした瞬間に罪の意識に苛まれていたに違い
ありません。

愛するイザベルのために無実の殺人の罪を被りそうになったり、最終的にルーシーを諦め
たり、最愛の妻を先に亡くしたり、とその後もかなりの試練に晒されてしまいます。

ハナのことを知ってしまった後も、だんまりを決め込めば、決してバレることはなかったと
思います。でもそうはできない性格が彼を苦しませる事になったのでしょう。
かわいそうなイザベルのことを愛していればいるだけに、どうしたら良いのか身を引き
裂かれるような苦悩だったに違いありません。

一方でイザベルが赤ん坊を自分たちの子として育てようとした決断も、わからなくはない
ので、一概に彼女が悪いとは思いたくはありません。
しかもイザベルは2度も子供を流産しており、ルーシーと会ったのは2度めの流産の直後。
こんな状況で出会った赤ん坊を神様からの授かりものだ、と思わないほうがおかしいでしょう。

特に時代背景として子供をたくさん生む女性が良い女性とされていたこの時代、石女は
存在価値がないとして恥ずべき存在だと考えらていましたし、実際、流産をしたイザベルは
そのことを誰にも知られたくないと医者にかかることさえ、拒否しています。

男性の死体と赤ん坊の発見を連絡しようとしたトムに哀願して赤ん坊を自分たちの子供と
して育てることにしたイザベルが、悪いといえばそれまでですが、そうせざるを得なかった
心情はとても強く理解できるのでした。

更に夫フランクと娘グレイスを亡くしたハナ。彼女にもなんの落ち度もありません。
夫はドイツ人で戦争敗戦国民として言われない偏見を常に受けていたでしょう。実際に
ハナの父親もハナがフランクと結婚すると言った時、ハナを勘当するほど、世間体の悪い
ことだったのでしょう。
逆にそんなフランクの個人としての魅力に気が付いて結婚したハナが人間的にすごいと
思ってしまい、僕にそんな強さがあるのだろうかと考えてしまいました。

フランクとグレイスが行方不明になった原因も、町の若者たちに絡まれたフランクが身の
危険を感じ、とっさに手こぎボートに乗り込んで海に逃げたためです。
あえて事の責任を負うべき人物がいるとすれば、フランクを襲おうとした連中ではないで
しょうか。

実の母親のもとにと、イザベルから引き離され、ハナのもとに戻ったルーシー/グレイスも
被害者の一人です。
おそらく5歳か6歳位でしょう。なんの説明もなく、いきなりの生活の変化を受け入れろ、と
いうほうが無理があります。
ハナの元から逃げ出して灯台を探して迷子になってしまったことも頷ける行為でした。

迷子のルーシー/グレイスが見つかった後、ハナがイザベルのもとを訪れ、ルーシー/
グレイスの母親はイザベルで自分ではないのだろうと言って娘を諦めることを伝えたシーン、
言ったハナの心情もそうですが、言われたイザベルが産んだ我が子から母親失格だといわれた
に等しい、そしてそのことを我が子の幸せのために認めざるをえないハナの気持ちを察した
時の心情には救いようのない、悲しみを感じてしまいました。

結局イザベルとトムが孤島での生活がルーシー/グレイスにとってこれからの成長に適した
環境ではないことを理由に、ハナの申し出を断るのですが、だれがどういう決断をしたと
しても全員が幸せになれるわけでなく、誰かが悲しい思いをしないといけない、そういう
状況下で、一番良い選択をした、特にルーシー/グレイスにとって一番良い選択なのでは
ないか、と思いました。が、心の底から良かったという思いには、なれなかったのが正直な
気持ちです。




ネタバレ感想 2 僕ならどうするか?そんなことを考えさせられる。

もし僕が夫として、妻がイザベルのような状況になってしまったらどうするだろうか、と
考えてしまいました。

愛する人は2度の流産で、おそらく今後子宝に恵まれる事はないでしょう。そのショックで
心身ともにひどく傷ついている妻の元にだれのかは分からないが赤ん坊が現れる。

先にも書きましたが、報告をしようとするトムを懸命にイザベルが止めて自分たちの子供と
して育てたいと懇願します。僕もイザベルの気持ちが痛いほどわかります。

一方でボートは手こぎボート。赤ん坊がいきて漂着したことを考えても、それほど遠い
場所から流れてきたわけではないことは用意に想像がつきます。
周りにある町らしい町は一つだけ。そうなるとその町で男性と赤ん坊が海で行方不明に
なったという話がでていれば、だれの赤ん坊なのかも簡単にわかってしまいます。

そうなった時、普段は孤島に暮らしているとはいえ、イザベルの生まれ故郷でもありますし、
何かあれば、その町に行くことはありますので、夫と娘を亡くし一人残された母親を見たり
聞いたりするわけです。

そんなときに罪の意識に苛まれないで生きていけるのか。自分だけではなく妻の有罪という
罪の意識に耐えられるのか。そこまで考えて下さなくてはいけない決断だと思います。

僕個人の思いですが、もし嘘をつくのであれば嘘を突き通すだけの覚悟があり、また嘘が
僕からだけではなく、周りからもバレないようにする責任があると思っています。

果たして実の母親が悲しむ姿をみて、それに耐えて嘘を突き通す事ができるのか、正直僕に
は自信がありません。

ただ、トムが取った行動ですが、イザベルがハナの存在をしってから、イザベルに相談無く
ルーシー/グレイスのことをハナに伝えたことは、ちょっと僕の考えからは外れているよう
に感じました。
例え反対されるにしても先に、こうすることが正しいと思うから、とイザベルに伝えてから
のほうが良かったのでしょう。さらに善後策としてどうするかの相談をする時間を持つこと
もできたはずです。

でも、そうしなかったのはトムのキャラ設定とイザベルへの愛の深さからだと思います。

トムは厳格な父親に育てられ、大戦中の軍隊生活のほうが楽だったとコメントするほど、
ルールに対してそれを守ることが当たり前の性格でした。
そんなトムでも愛する妻のために、本当であれば報告の義務がある男性死体と赤ん坊の
漂着を秘密にしてしまいます。彼の妻に対する愛がどれほど深いかをここから知ることが
できます。

しかし、この決断が一人の女性を毎日哀しみに追いやっていることを知った時、もはや
隠し通せるものではなくなっていたのでしょう。
そんな苦悩があったから、イザベルに何も告げること無く、秘密を公にしてしまったの
だと思います。

ネタバレ感想 3 個人的にはラスト結末のテイストの違いに残念

映画の最後、イザベルは病の末、先に逝ってしまいます。
その後、ルーシー/グレイスが自分の息子を連れて、トムと別れてからはじめての再会を
果たします。

トムとイザベルが彼らからルーシー/グレイスに会うことはしないと決めたことを忠実に
守っていましたが、どうやらハナはルーシー/グレイスにトムとイザベルのことをキチンと
話したようで心が温まりました。

ただ、僕個人としてはイザベルにもルーシー/グレイスと再会してほしかったし、彼女の
息子を腕に抱いてほしかったと思います。

特に、イザベルが亡くなる際、ルーシー/グレイスのことを数年の間、自分の子供として
育てていたことへの罪悪感を持ちながら逝ってしまったようでしたので。

ある意味、イザベルがルーシー/グレイスと再開できなかったのは、映画監督のイザベルに
対して、してしまった過ちへの罰だったのかもしれません。










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