第89アカデミー賞の主演男優賞と脚本賞を獲得した映画「マンチェスター バイ ザ シー」です。
とある男性の平凡な人生の一イベントを過去をフラッシュバックで見せることによって
視聴者をグイグイと引き込む映画にすることに成功した作品だと思いました。
賞を獲得したことをとても納得ができる作品だと思います。
予告動画はこちら
キャストの紹介
リー・チャンドラー: ケイシー・アフレック
ボストン近郊に住んでいたが、兄の突然の訃報に故郷へ戻ることになる。
ランディ: ミッシェル・ウィリアム
リーの元妻。故郷に戻ったリーと再会することになる。
ジョー・チャンドラー: カイル・チャンドラー
リーの兄。心臓疾患で急逝する。
パトリック・チャンドラー:ルーカス・ヘッジズ
ジョーの息子、リーの甥。16歳の高校生。
ネタバレあらすじ
映画は主人公リーの現在の話を中心に進みますが、途中、彼の過去の記憶がフラッシュバック
として挿入されます。それによってリーを始めとした登場人物の性格や大きく影響を与えて
いる過去の事件などが分かるようになっています。
ボストン近郊のクインシーに住むリーはアパートの便利屋として住み込みで働いています。
毎日、掃除や雑用、住人宅の修理に追われる日々。仕事を淡々とこなしていく彼の表情は
さえず、喜怒哀楽の感情が読み取れません。
住人からの愚痴や八つ当たりに反応して強烈な嫌味を返し、マネージャーから呼び出しを
食らうこともありますが、そこでも柳に腕押しのような受け答えでマネージャーを呆れさせて
しまいます。
仕事をきちんとし、時間も守るので重宝がられますが、愛想がないので不評をかう損な性格で、
夜、バーに飲みに行って女性に話しかけられてもそっけない対応で折角のチャンスをのがして
しまい、更に飲み続けたあげく、他の男性客にガンをつけた因縁をふっかけて喧嘩を始める
始末です。
そんな毎日を過ごしているある冬の日、兄が心疾患で病院に運ばれたと連絡が入ります。
他人に仕事を任せる手配をして故郷に戻りますが、病院についたときはすでに兄は他界して
いました。
過去にも心疾患の発作を起こしており、医者からも余命について聞かされていましたので、
ある程度の覚悟はしていたものの、その後の処置に少し混乱するリーでしたが、まずは
甥のパトリックにこのことを告げるべく、学校に向かいます。
突然の父の訃報に驚き悲しむパトリックですが、ある程度心の準備ができていたようで、
大きく取り乱すことはありません。
リーはジョーの葬儀の手配をすすめるのですが、そこで春まで地面が掘れないため、ジョーの
遺体を冷凍庫で保管しておかなくてはならないことが分かるのでした。
また、ジョーの遺言書が開封されて、パトリックの後継人になんの相談もなく、リーが
指名されていることが分かり、非常にリーは戸惑うのでした。
というもの、リーはかつて故郷のマンチェスター バイ ザ シーで家庭を持っており、妻と
幼い三人の子供で幸せな生活を送っていましたが、ある冬の夜、友達を集めてパーティーを
興じた後、深夜に酒を買いに行く前に起こした暖炉から出火させて自宅を全焼させ、妻は
なんとか助かったものの、3人の子供を失ってしまった過去があったためです。
警察に捕まることはなかったものの、自分のしでかした過ちの大きさから、警察での事情
徴収後、警官の拳銃を奪って自殺未遂をするなど、完全に精神的に打ちのめされ、妻の
ランディとも離婚することになり、その後、兄のジョーに心配されながらも故郷を離れ、
ボストンで生活を始めたのでした。
とはいえ、高校生のパトリックの生活がマンチェスター バイ ザ シーにあり、部活の
バスケットとアイスホッケー、バンド、二人のガールフレンドなどを諦めてボストンに
引っ越させるわけにもいかず、またボストンで送っているリーの生活はどこででもできる
程度のものでしかなかったため、いやいやながらも故郷に戻ってパトリックが高校を終える
まで、一緒に生活をすることになるのでした。
ジョーの妻、パトリックの母親のエリスはアルコール依存症で育児放棄の末、蒸発して
行方不明でしたが、パトリックは数年前に母親からメールを受けとったことをきっかけに
連絡を取り合っており、ジョーの訃報もパトリックによって伝えられていました。
エリスはアルコール依存症から立ち直り、敬虔なキリスト教信者となって、新たな
パートナー、ジェフリーと一緒に生活しており、パトリックを昼食に誘います。
その招きに応じてパトリックはエリスの家を訪れ、ジェフリーをあわせた3人で昼食を
取りますが、気まずい雰囲気が流れてしまい、パトリックは母親と分かり合えることが
難しいという現実を突きつけられるのでした。
ジョーがパトリックに残した遺産は成人するまでリーが管理することになっていますが、
その中に漁船も含まれていました。
リーがまだマンチェスター バイ ザ シーで暮らしていた頃、幼いパトリックと3人で魚釣り
で使っていた思い出の船で、パトリックは深い思い入れがありました。
モーターが古く、故障寸前で、モーターが動かなくなれば、船を動かせなくなるので、
リーは売りに出すようにいいますが、パトリックはローンを組んででも船を直すと聞きません。
何かと細かなことで意見の対立があった二人ですが、自宅にあったアンテークの銃を売った
お金で新しいモーターを買って船を直すことをリーが提案し、パトリックが船を直すことが
できたことをきっかけにより親密になっていくのでした。
しかしリーはマンチェスター バイ ザ シーで元妻のランディと出会います。
ランディは新しい夫を見つけ、つい最近男の子を出産したばかりでした。
リーが故郷から去っても時折ジョーと連絡を取っており、リーのことはその都度、聞いて
いました。
再婚し、子供を産んだ今でも、火事のこととその後の離婚の過程であまりの辛さにリーの
痛みを全く理解せずにいたことに対して罪悪感をずっと感じており、またまだリーを愛して
いる自分にも気がついて、謝罪するのでした。
そんなランディに対して謝罪に感謝しつつも、僕には何もない、としか答えることのできない
リーは、ランディの「いきてほしい」という言葉にその場から逃げるように立ち去るしか
できませんでした。
その後、地元のバーで飲んでいたリーは他の客に喧嘩を売って殴り合いを繰り広げます。
友人のジョージが止めに入りましたが、殴られて気絶し、ジョージが家に連れて帰って、
彼の妻が手当している最中に気が付き、そこではじめて咽び泣くのでした。
その後、春になり、ジョーの遺体を埋葬することができるようになった頃、リーはパトリックに
ジョージにお願いしたことを話し始めます。
それはジョージ夫妻とパトリックの養子縁組で、パトリックが了承すれば、今後パトリックは
ジョージ夫妻と学校が終わるまで一緒に住み、その後、独り立ちします。
今住んでいる家は貸出し、成人した暁にはリーが管理している遺産とともに正式に譲られ、
パトリックのしたいようにすることができるのでした。
パトリックは突然のリーの提案に戸惑います。そしてどうしてこれまでと同じように一緒に
住めないのかを聞くのですが、リーはどうしても子供達を失った事件のことが忘れられないと
力なく答えるだけでした。
ジョージは船の操縦をパトリックに教えたほど親しい家族の友人でしたので、パトリックも
すんなりと養子縁組を受け入れます。
ジョーの埋葬後、リーはボストンで2つの寝室付きの部屋を借りるつもりだとパトリックに
話し、いつかパトリックがボストンに来る気になった時の泊められるようにだといいます。
最後にリーとパトリックはパトリックの船で海に出ていきます。そこにはリーの笑顔が
ありました。
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