映画ウィッチと実際に起こった魔女狩りとの違いについてのまとめと考察

   

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映画「ウィッチ」は17世紀のアメリカ、ニューイングランドを舞台にした一家と魔女の
お話です。

次々と降りかかる怪奇現象や不幸な出来事に家族の一員に魔女がいるのではないかという
疑心暗鬼が家族を襲い、やがて破滅へと追いやられていく姿が描かれています。

初主演で英国アカデミーの新人賞を受賞したアニヤ・テイラー=ジョイはその後、M・ナイト・
シャラマンの映画「スプリット」に抜擢されましたし、監督のロバート・エガースは多数の
賞で、新人監督賞を受賞しました。

ところで中世ヨーロッパや移民が移住した最初の頃の北アメリカで起こった魔女狩りに
ついて、映画を見て興味が出たので調べてみました。

すると今まで抱いていたイメージとは全く違った魔女狩りの真実を知ることができたのでした。

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キリスト教が率先して行っていたのか?

魔女狩りについて調べてみると、元々は12世紀ごろから権力が増していったローマ教皇庁に
よる異端審問が活発化し、それにともなって教会主導で盛んに行われた
、というのが一般的
な見方だったようです。

ですが、その後の研究によって「教会が主導した」というのはステレオタイプであることが
分かってきているようです。教会主導というより民衆主導としたほうが正確に魔女狩りの
動きを表している
ことが分かってきました。

どういうことかといいますと、魔女狩りを行い、魔女裁判を開くのですが、その裁判が
ローマ教皇庁の手動による異端審問で裁かれるのではなく、司教法廷や世俗法廷で異端
審問的
に行われました。

さらに時間が流れることによって魔女狩りがピークに達するつれ、魔女裁判は世俗法廷で
裁かれることが大半となったのです。

もともと同じキリスト教でもローマ教皇の権威を認めないような異端が存在していて、
そういった団体を正当性を持たせて弾圧するために、魔女が用いられたケースがおおく、
宗教革命が起こったあとでもカソリックとプロテスタントが互いの勢力を伸ばすために、
相手陣営の人間を魔女として拷問、処刑していたことが分かっています。

それに加えて、抑圧された民衆が溜まりに溜まった不安やうっぷんを魔女狩りを行うことで
吐き出していたという側面
も見逃す事ができず、やがてはこれが主な原因になっていった
ようです。

その証拠に魔女狩りで犠牲となった人達は夫を亡くしたやもめの老女が多く、しかも
貧しくて友人がいないという、孤立仕掛けた人が対象になったという事例からも分かる
かと思います。

ちなみに「魔女」と言っても対象となった被害者は女性だけではなく、男性も魔女狩りの
末、多数処刑されました。

集団ヒステリーもしくは不満のはけ口

不満のはけ口として魔女狩りが行われたという説を有力に裏付けるのが、魔女狩りが
起こった地域の比較です。

調べてみると統治者が強大な権力を持って安定した統治をしていた地域では魔女狩り及び
魔女裁判が起こっていないことがそれを裏付け、逆に統治者の力が弱まると魔女狩りが
発生している
ことからもわかると思います。

つまり、領主の力が強いとそこに住む民衆が独自の治安維持の方法として魔女狩りをしたい
と願い出ても、却下されるのに対し、統治基盤が弱い領主のところでは民衆の願望をある
程度かなえてガス抜きをしないと、その不満は自分に向かってくるおそれがある、という
ことです。

あるいは、民衆の不満が積もりに積もってくる度に、底辺の貧乏人をエスケープゴートに
することで自身の統治に不満が向かないように利用していた領主もいたことでしょう。

なにしろ、魔女狩りの対象となる理由がひどすぎます。
映画のように誰かが行方不明になった、とかならまだわかりますが、黒猫を飼っていた、
天候が不順だ、家畜の乳の出が悪くなった、などという意味の分からない理由で魔女だと
決めつけられるのです。

しかも基本的に告げ口制で告発された側に弁解の余地は与えられず、魔女だと自白する
まで拷問で痛めつけていました。

その苦しみから魔女だと告白したとしても、待っているのは生きたまま火あぶりか絞首刑で
決して助かることはありません。

これまでの研究で、15世紀から18世紀の魔女狩りによって全ヨーロッパで最大4万人の
処刑者が出ていたという数字がでていますが、この数字は民間の私刑の犠牲者数は含まれて
いません。ただ、私刑の犠牲者については正確な記録もなく、証明のしようがないという
のが現状です。

現代にも通じる一種のいじめ

この「魔女狩り」ははるか昔に起こった悲劇、というわけではありません。

今でもアフリカの国々や中央アジア、パプアニューギニアなど複数の発展途上国及び地域で
魔女狩りによる私刑や処刑が報告されています。

中にはガンビアのように時の大統領が自身の統治方法の一環として魔女狩りを行い、
約千人ほどが拘束されたと人権団体から報告が上がっています。

サウジアラビアなどは公的機関が大真面目に、イスラム宗教省の魔法部で魔法にかけられた
疑いがあるという電話相談に応じており、信憑性が高い場合は実際に調査、逮捕、起訴も
おこわなわれ、実際に死刑執行されているそうです。

すこし時間を遡れば、中国で起こった文化大革命も大まかに分類してしまえば大規模な
集団ヒステリーで、根本は魔女狩りとなにも変わりません。
文化大革命も元はといえば政府上層部の権力争いを発端としていますから、まさに現代の
魔女狩りだったといっていいでしょう。

先進国でもテロが頻繁に起こっていることからわかるように不穏な空気が立ち込めています。
互いのことを疑心暗鬼で疑い始め、大した根拠もなく、密告による告発ができる土壌が
できつつあり、しかも対テロという大義名分の前に、大きく調査権を拡大しているのが、
今の流れです。

過去の過ちは訂正することはできませんが、そこから学ぶことによって自らは同じ過ちを
犯さないように気をつけないといけない、そんな時代がすぐそこに来ているのではないで
しょうか。

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