ネタバレ感想 1 たとえどんな能力を持っていたとしても
この映画を見て一番最初に思ったのは、どんな能力を持っていたとしても、心構えがしっかり
していないと、結局大したことはできない、ということでした。
なぜメルビンが超能力を使えるようになったのかは映画では語られません。
友人の科学教師のコメントとして未だに検査中、ということで片付けられています。
というのも、映画の主題は超能力を使えるヒーローの活躍ではなく、超能力を使えるのに
ダメ男のメルビンがヒーローになるのに必要だったことは、だからです。
映画のようにテレキネシスが使える、と言うと御伽話の世界でストーリーが進んでいきますが、
たとえば、頭が良かったり、口が達者だったり、身体能力が高かったりという、人よりも
優れた才能をもっている人がいたとしても、それを使ってさらにどろくして能力を伸ばして
遂には人間的に優れた人にならないと、成功というか、幸せな人生は送れないからです。
一番わかりやすい例で言えば、スポーツ選手でしょう。
若い頃、その道で一流であったとしても、引退したあと、道を踏みはずしている方が
多くいらっしゃると思います。
ボクサーで世界チャンピオンになっていながら、引退後、ヤクザになっていたとか、
オリンピックメダリストが引退後、薬に手を出していただとか、結局心構えができてなかった
がゆえの転落をされているわけです。
それでもまだこれらの人は、若いときに一時でもスポットライトを浴びて、結果を出して
いる分だけ、凄いと思います。
それもできず、磨けばどれだけ光っていたかわからない程の才能を世に出すことなく、
楽な方の生活にどっぷり使っている人も中にはいるでしょう。
映画の主人公メルビンは典型的なそんなタイプの人間で、せっかくのテレキネシスの能力も
見世物の小遣い稼ぎにしか使っていません。
まぁ、とはいえ、それ以外に有益な使いみちがあるのか?という疑問もありますが。
でもそんな彼でも自分の生き方を見つめ返すきっかけがあるのでした。
ネタバレ感想 2 自分ひとりなら絶対に会心はしなかったと思う
自堕落な生活を送っていたメルビンですが、そんな彼に考え直すきっかけを与えたのは
息子のレックスでした。
多分メルビン一人なら、自堕落な生活から抜け出すことなく、そのままどこかで野垂れ
死んでいたとしても不思議ではないと思います。
そんな彼が一念発起するのは息子の存在で、そうしないと一緒に歩くこともできなかった
からです。
映画ではさらに、薬の密売組織が子供にまで薬の販売網をのばしており、メルビンの息子
レックスにも危険が及ぶ可能性があるとわかったとき、悪党と対峙することを決意し、
しかも実行に移しています。
自分のためだとなかなか行動に移せない人でも子供のためにとなると辛いことでもできる
ようになることは不思議な話ではありません。
以前にこんな話を聞いたことがあります。
娘が病気で移植手術をしないと助からないという太った父親がいました。
医者は彼に良いニュースと悪いニュースがある、と告げます。
良いニュースは父親が娘と適合しており、父親がドナーになれることでした。
悪いニュースは、太り過ぎでその臓器は移植手術には適さないことでした。
そのニュースを聞いた父親はこれまでどうやっても成功しなかったダイエットに取り組み、
見事に体重を落として移植手術をし、娘は今でも健康に過ごしているのでした。
この映画を見て、この話をすぐに思い出したわけです。
自分のためだと、健康にはいいことは分かっていても、なかなか続けられないダイエット
ですが、娘を助けるために必要となったら、その取組はがぜん違ったものになるでしょう。
子を思う親の気持ちというのはときにとんでもないパワーを発揮するのでした。
ネタバレ感想 3 こんなことを考えるのはいけないのかもしれないけど
テレキネシスを使用できる主人公。
これだけでもうとんでもない設定ですので、これ以上複雑なストーリーにする必要は
無いのでしょうが、ふと疑問に思ったことは、メルビンが自分の能力を使ってよく悪事に
手を染めることをしなかったな、というものです。
友人で服役後、出所してきたキャラクターもいますので、メルビンがその能力を持って
悪事に走ったとしたら、説得力はとてもありますが、それはもう絶対に違う映画になって
しまったでしょう。
テレキネシスを使える悪党が登場するとなれば、やはり正義の味方も同じくらいの能力を
もって対抗する事になり、妄想なるとX-menの世界と何ら変わらなくなってしまいます。
映画のポイントはそこではないですから、メルビンが小銭稼ぎ程度にしか能力を使わない
のですが、なぜ、メルビンは能力を使って、悪事を働かなかったのでしょうか?
納得のゆく説明や設定は、語られていないと思います。
そんなに大きな問題でもありませんが、納得の行く理由をきちんと考えてくれていたら、
変な疑問に悩まされずに済んだのに、と思ってしまいました。
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