映画「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」では、マーベルユニバース作品としてドクターストレンジが登場します。
絶体絶命の窮地に立たされたスパイダーマンの現状を何とかすくってほしいという願いを聞いて、魔法で何とかしようとしたわけですが、それが原因で余計にとんでもない状況に陥ってしまいました。
とはいえ、その状況に陥った責任の半分はスパイダーマンのピーター・パーカーにあるのですが。
結局のところ、事態を収束させるために、ピーターの提案で、
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ピーターの記憶を全世界の人々から消す
魔法を使うことにします。
映画的にはこの魔法が成功し、世界の破滅は止まりました。
が、このドクターストレンジの魔法、本当に有効なんでしょうか?
今回はこの点について、考察していきたいと思います。
映画「スパイダーマン3:ノー・ウェイ・ホーム」は世界中の人がピーターの存在を忘れて一件落着
映画「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」は、スパイダーマンの正体がピーター・パーカーであることがばれてしまい、どこに行ってもプライバシーがない上、反対運動も展開する人々がいるなど、とても普通の生活が送られない状況になってしまいました。
しかも大学への進学も、スパイダーマンということで不合格にされてしまい、友人のMJやネッドも不合格という発表を受け取ります。
ピーターは自身が、というより、友人、とくにMJの進学が、自分のせいでできなかったことに責任を感じ、ドクターストレンジに魔法で解決してもらおうとしました。
が、結果的には魔法は失敗し、その副作用としてピーター・パーカーがスパイダーマンであることを知る、過去のスパイダーマンシリーズのヴィレンズが呼び寄せられてしまいます。
さらには、呼び寄せられたヴィランズとの最終決戦の最中、グリーンゴブリンによってマルチバースの境界線が破壊され、スパイダーマンのことを知る、多くの別の世界の人々が引き寄せられてきつつありました。
そこで、世界中の人々がピーター・パーカーのことを忘れてしまえば、別の世界から引き寄せられた人々を元の世界に返せるのではないか、というピーターは提案します。
まさにヒーローの自己犠牲の上、世界は救われることになった、というエンディングを迎えたのでした。
本当にピーターの存在を忘れれば解決するのか?
一方で、本当にピーターの存在を人々が忘れれば、世界の滅亡は止められて、全てが解決されたのでしょうか?
そのことを考えてみましょう。
ピーターが解決を望んだ問題は二つ
ピーターが解決を望んだ問題は、実は二つあります。
それは、
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・マルチバースの境界線の修復
・MJとネッドのMITへの進学
の二つでした。
この全く異なる二つの問題に対し、本当に解決したのかどうか、見ていきましょう。
マルチバースの境界線の裂け目の修復
マルチバースの境界線の裂け目が広がり、ピーター・パーカーがスパイダーマンであることを知っている人物がどんどんとやってきそうになっていました。
境界線が完全に破壊されれば、ピーターやスパイダーマンのことを知っていようが、知らないでいようが、関係なく、それぞれの世界の人々が混ざり合ってしまう、混沌とした世界が出来上がったかもしれません。
ですので、境界線の修復は最重要事項となります。
そして境界線がおかしくなった原因は
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「ピーター・パーカーがスパイダーマンであることが知れ渡った」
ことにあるので、これを何とかしなくてはなりません。
この事実が無くなれば、起こっているすべての異変の存在する理由がなくなるためです。
また、この問題が起こった、もともとの原因をさらに詳しく見てみると、
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「ピーター・パーカーがスパイダーマンであることを忘れさせる」
という魔法が失敗した結果、生まれた副作用でした。
ですので、同じ魔法ではこの副作用は消すことができない、という理屈は、なんとなく納得がいく響きが強いと思います。
ですので、「全ての人々がピーター・パーカーの存在を忘れる」という魔法で、「ピーター・パーカーがスパイダーマンであること」は意味をなさなくなるという理屈は正しいでしょう。
これによって人々は「スパイダーマンの正体はピーター・パーカーである」ことが分かったとしても、「ではピーター・パーカーとはどういった人物なのか?」という疑問を持つことになるからです。
MJとネッドのMIT進学
続いてMJとネッドのMIT進学の問題です。
彼らがMITから不合格の通知をもらった理由は、彼らがスパイダーマンの友人&恋人であるから、でした。
しかも、前作の「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」でロンドンでの大騒動で、MJとネッドは当事者の一人であり、ただの知り合い、というわけではありません。
つまり、大学への進学希望を提出した時点で、MJとネッドは容疑者とまではいかないまでも、事件関係者であり、重要参考人という達までもあったわけで、彼らが不合格となったのもうなずけます。
そんな彼らも、ピーター・パーカーの存在を忘れるわけですから、ロンドンでの出来事は関係のない立場となります。
であれば、彼らがMITへの入学ができなかったであろうと思われた一番の理由が存在しなくなるわけで、後は成績が十分であれば進学は可能、ということになるわけです。
つまり、MJとネッドのMIT進学に関する問題は、彼らがピーター・パーカーの存在を忘れることで解決する、と結論付けていいでしょう。
スパイダーマンは忘れられていない
一方で、おそらくはピーターが3番目に望んでいたであろう、問題の解決はおそらくなされなかったのではないでしょうか?
それは、ピーター・パーカーのアイデンティティが守られている状況、です。
確かに人々はピーター・パーカーのことを忘れてしまいました。
ピーターが町を歩いていても誰も気にしません。
誰からも追いかけまわされる存在では無くなったわけです。
が、スパイダーマンは有名なままでした。
誰もスパイダーマンのことは忘れておらず、ヒーロー、もしくは犯罪者として正体は誰なのか、興味の対象になっていたはずです。
確かに魔法が効果を現し始めた最初の内は、ピーターは平穏な日々を送ることはできたでしょう。
ただし、その平穏も長くは続かないのではないでしょうか。
ピーターは追いかけられる存在のまま
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「ピーター・パーカーのことを全世界の人々が忘れる」
ことになっても「スパイダーマンの正体がピーター・パーカーである」と暴露したミステリオの映像はそのまま残っているはずです。
それにより、スパイダーマンの正体はばれており、人々は全く未知のピーター・パーカーなる人物がどのような人間なのか、知りたくなって調べ始めるでしょう。
結局のところ、スパイダーマンが有名であれば、人々の関心はその正体が誰なのか?何のためにヒーロー活動をしているのか?などの興味を持ってしまいます。
そして一人としてピーターのことは知らなくても、ピーター・パーカーなる人物がスパイダーマンであるという情報が出回っているわけですから、ピーター・パーカーという人物がどのような人間なのか知りたくなるのは人情で、結果、ピーターの周りにはパパラッチが群がる、ということになる、というわけです。
ピーターも自分のことを忘れる?
さらに「人々がピーター・パーカーの存在を忘れる」魔法によって、大きな問題が発生する可能性が高いと思いました。
それは、別の世界のピーター・パーカーも自分のことを忘れるのではないか、ということです。
他の世界からヴィランズがやってきた理由は、スパイダーマンの正体がピーター・パーカーであることを知っていたから、です。
そしてピーター・パーカー自身も、自分自身がスパイダーマンであることを知っていたため、この世界に迷い込んでしまっていました。
そして「ピーター・パーカーのことを忘れる」魔法が効果を発揮したことで、二人のピーター・パーカーも元の世界に戻っていきます。
ということは、つまり、彼らもピーター・パーカーのことを忘れた、ということになるわけです。
果たして戻った後、彼らは大丈夫だったのでしょうか?
記憶喪失患者になっていないか心配です。
考察のまとめ
ドクターストレンジの魔法によって人々がピーター・パーカーのことを忘れた結果、劇中で描かれていた通り、
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・マルチバースの境界線の修復
・MJとネッドのMITへの進学
の問題は解決することが分かりました。
しかし一方で、ピーターが例えばマスコミ等に、スパイダーマンであるということで追いかけまわされなくなったか?といえば、それは否ということになるでしょう。
ミステリオが暴露したスパイダーマンの正体がピーター・パーカーであるという事実は、消えてなくなっていないからです。
また、映画の中では全く触れられていない問題も、実はありました。
というのは、別の世界からやってきて一緒に戦った二人のピーター・パーカー=スパイダーマンも、自分自身のことを忘れた可能性が高い、ということです。
彼らが元の世界に戻ったのは、ドクターストレンジの魔法の影響下に落ちたからです。
であるということは、彼らもピーター・パーカーのことを忘れたわけで、つまり記憶喪失となって自分のことが誰だか分からない状況になっているはず、という結論が導き出されるからでした。
願わくば、この問題を無事に解決し、納得のいく説明をつけて、今後の映画で再共演をしてほしいものですが、果たして誰もが納得する解決方法は、そんざいするのでしょうか。
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