実写版映画アラジンでジャスミンがアラジンの住まいで手にした楽器は何?特徴や歴史の解説も

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実写版映画「アラジン」の公開がされ、早速視聴しましたが、とても素晴らしい出来に大満足でした。

実写版になって、それぞれのキャラクターがより深掘りされており、また互いの関係性も深くなっていて、とても楽しめました。

特にジャスミンとアラジンの心の変化は、見ていて思わず、あんな恋がしてみたい、と思ってしまう程です。

それはさておき、ジャスミンがアラジンの住まいに訪れたとき、住まいにあった楽器を手にして少し演奏をしました。

琵琶に似た弦楽器でしたが、一体どういったものか、気になったので調べてみましたので、今回はそのことを紹介していきたいと思います。







ジャスミンが手にした楽器はウード

ジャスミンがアラジンの住まいで手にした楽器は、ウードと呼ばれる撥弦(ハツゲン:弦を弾くこと)楽器です。

ギターに対するギターピックのように専用のピックを用いて弦を弾いて演奏する、リュート族に分類される楽器です。

イラクやアラビア半島などの中東から北アフリカ最西に位置するモロッコまでのアラブ音楽文化圏で発展し、使われています。

ゲンは一般的に11弦有り、奏でられる音色は、一般的に認識されている典型的なアラブ音楽になります。

百聞は一聴にしかず、ですので、ウード演奏者として第一人者の常味裕司さんのウード演奏の動画をご覧ください。

楽器の特徴と歴史

楽器の特徴

楽器の特徴として、同じ撥弦楽器のリュートや琵琶と比べるとわかりやすいと思います。

第一にネックまたは棹と呼ばれる長く伸びる、左手で弦を押して音階を変化させる部分に、フレット、もしくは柱と呼ばれる突起がありません。


このフレットがあることで、指で弦を抑えた際、柱がある部分とない部分を抑えるという違いを出すことで音の高さを変えることができます。

逆に、ウードにはこのフレットがないため、グリッサンドやトリルと呼ばれる技法をより良く表現することができます。

グリッサンドの技法とは、一音一音を区切ることなく、隙間なく滑らせ流れるように音高を上げ下げする演奏技法です。

トリルという技法は、弦楽器でハンマリング・オンとプリング・オフを連続的に繰り返して行う奏法になります。

更に詳しく説明すると、

ハンマリング・オン:ネックの弦の抑える左手の指で弦を指板に叩き突けるように勢い良く押下する奏法

プリング・オフ:押弦している指を弦に引っ掻けるようにして離脱させる事で発音させる奏法

トリル奏法:基本的にハンマリング・オンとプリング・オフの2つを間断なく繰り返して2音を反復する奏法

となります。

さらに、フレットがないことから、アラブ音楽の特徴の一つでもある、平均律において半音より狭い音程の微分音を使った演奏が可能になります。


第二の特徴として、ウード胴体は背面が丸まっています。
まるで卵を半分に割ったような半卵形状になって、ギターのように背面が平らではありません。

それこそ、リュートや琵琶のような形状となっていて、この設計のおかげで、より複雑な音色を作ることのできる共鳴が生み出されることになります。

楽器の歴史

ウードの歴史はとても古く、メソポタミア文明と一緒ということができます。

大英博物館に所蔵されている一番古い楽器は5000年以上前のものですが、その楽器はウードの祖先といったほうが正確で、現在の物とは少し形状が異なるようです。

たとえば、ウードの最大の特徴であるフレットがない形ですが、1100年頃にはフレットが存在してことがわかっています。

このフレットの消滅は1300年には起こっており、以後、その形でウードが奏でる音楽は発展していきました。

そしてこのフレットのないウードという楽器のおかげで、アラブ音楽が装飾音という音を揺らしたり、付け加えたりする音色を多用し、重視した理由にもなります。

ウードは特にイラクで長い伝統を育んでいて、「その音楽には国の魂が宿る」とまで言われているほどです。

イラクとウードに関する歴史を調べてみると、9世紀のバグダードの法学者は楽器の持つ癒しの力を称賛していました。

また、19世紀の作家のムハンマド・シハーブ・アッ=ディーンは「情緒を平静に置き」「心を落ち着けよみがえらせる」と述べたという記録もあります。

が、近年では世俗的音楽は禁止されるものとみなす、イスラム国のようなイスラム過激派が増えてきていることもあって、多くのウード演奏者やウード演奏を教えることのできる教師が、身を隠したり、国を捨てて亡命をしなくてはならないという事態に陥っています。




実はジャスミンもアラジンもウードが弾けた

映画の中では、ジャスミンがウードを手に、軽く演奏をしました。

ジャスミンが母親に習ったというその曲は、それを聞いたアラジンも母親が演奏していたのを覚えている、と口にし、その偶然に互いに親近感を増す、という演出をしていました。

実は、アラジンを演じたメナ・マスードがインタビューで明かしているのですが、撮影に際して歌、踊りはもちろんラクダの乗り方、スキューバダイビングの仕方など、多くの新しい技術のトレーニングをしたのですが、その中に、ウード演奏も含まれていたのです。

撮影はイギリスのロンドンで行われましたが、スタッフはロンドンで唯一ウードが演奏できる、というような人物を探し出して連れてきて、メナ・マスードにウードの演奏方法を習わせたのでした。

ところが面白いことに、メナが演奏方法をある程度マスターした後、監督のガイ・リッチーを始めとした撮影スタッフは、心変わりをし、ウードの撮影シーンはジャスミンが演奏するように、変更してしまったそうです。

それによって、今度はジャスミン役のナオミ・スコットがウード演奏を習い、後日そのシーンも無事に撮影されたそうです。

が、残念なことに、ウード演奏のシーンは編集時にカットされ、映画の中で見られるシーンは、先に紹介した、ウード演奏の触りといったものだけになってしまいました。

せっかくですので、DVDでは、そのシーンをボーナスカットとして、いれておいてほしいものです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

中東を舞台としているアラジンですので、その地方では当たり前のような、ウードのような生活に密着した小道具を登場させるのは、当然ですよね。

でも、中東と言うと、テロ、戦争、ヤバイ、危険というイメージばかりが先行してしまう昨今です。

メナ・マスードもインタビューで話していましたが、この「アラジン」という映画が、アラビアの世界のイメージアップ、本当のアラビアを多くの人が知ってもらえるきっかけになってほしい、と強く思いました。

そんなアラビアの人たちの思いがどれほど強いのか、このウードという楽器を調べただけでも少し感じることができたような気がします。

彼らの世界では当たり前に、それこそ一家に一台というくらいに身近で当たり前のアイテムも、他の文化の人達にとってはまったく未知な楽器なのですから。

楽器一つとっても、アラビアの世界というのは、まだまだよく知られていない、イメージ先行の世界なんだな、と改めて感じた次第です。

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コメント

  1.     hknmst より:

    「背面が反乱形状に膨らんでいて」の
    「反乱形状」とはどんな形でしょう?
    調べてもわかりませんでした。

    • takmori83 より:

      コメント、ありがとうございました。

      変換ミスに気が付いていない間違いでので、訂正いたしました。

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