映画「ドリーム」は歴史の中で埋もれていた、NASAで宇宙開発のために多大な功績を残した
黒人女性達の活躍を描いた伝記映画です。
僕はもちろんのこと、主演された3名の女優達もこの映画を知るまで、そのような黒人女性が
存在したことを全く知らなかったと話しているくらい、歴史の中に埋もれてしまった話ですが、
この映画で表舞台に出て、多くの人に知ってもらえる事になったのはとてもうれしく、
素晴らしことだと思います。
また、なぜ黒人女性がNASAで働いていたのかなどの歴史の背景を知ることで、さらに興味深く
視聴できると思います。
予告動画はこちら
キャストの紹介
キャサリン・ジョンソン: タラジ・P・ヘンソン
子供の頃から数学に特別な才能を発揮していた、NASAで働く計算士。
ドロシー・ボーン: オクタビア・スペンサー
キャサリンと一緒にNASAで働く女性。黒人女性部署の主任。
メアリー・ジャクソン: ジャネール・モネイ
キャサリン、ドロシーと共にNASAで働く女性。エンジニア。
アル・ハリソン: ケビン・コスナー
スペース・タスク・グループの責任者。
ヴィヴィアン・ミッチェル: キルスティン・ダンスト
スーパーバイザーでドロシーの上司。
ポール・スタフォード: ジム・パーソンズ
スペース・タスク・グループのエンジニア主任。
ネタバレあらすじ
1961年、数学者のキャサリンはバージニア州のハンプトンにあるNASA最古の研究施設、
ラングレー研究所に計算士として、友人で同僚のドロシーとメアリーとともに働いて
いました。ドロシーの地位は主任格で、メアリーはエンジニアとしてでした。
同じ年の4月、ソビエトが初の有人宇宙飛行に成功させ、世界中を驚かせます。
特にアメリカは宇宙開発競争でまたしてもソビエトに遅れを取ったことで、政府からの
強い圧力で有人宇宙飛行をすぐにでも成功させるようにNASAに指令を出すのでした。
スーパーバイザーのヴィヴィアンはキャサリンの解析幾何学の能力に目をつけ、アルが
責任者であるスペース・タスク・グループへの移動を命じます。
彼女はスペース・タスク・グループ初の黒人女性であり、しかも部署のある建物には
有色人種用のトイレがありませんでした。
グループ内の同僚は黒人女性のキャサリンを奇異の目で見ており、特にエンジニア主任の
ポールはキャサリンを毛嫌いします。
同じ頃、ドロシーは正式な主任に就けるように申請していた件を、ヴィヴィアンより
前例がないとの理由で却下されていました。
メアリーは宇宙船の耐熱防護壁を研究作成しているエンジニアチームに属しており、
試作品の欠点を見抜く才能を持っているほどでした。チームリーダーの後押しもあり、
正式なNASAのエンジニアとしてのポジションを希望し、必要なエンジニアとしての学位を
取得するように動き始めます。
教会のパーティーでキャサリンは州兵士官のジム・ジョンソンと出会います。二人はともに
好意的な第一印象を持ちますが、ジムが女性数学者の能力を過小評価している発言をした
ことに、キャサリンは失望してその場を去ります。
後日ジムはキャサリンにそのことを謝罪し、やがて彼らはデートを重ねていくのでした。
米による有人宇宙飛行計画、マーキュリー計画が本格的に動き出し、グループは毎日忙しい
日々を過ごしていました。
キャサリンはポールに膨大なデータや方程式から導き出された解答の確認作業をするように
言われますが、データの殆どはマジックで黒塗りされているのり弁状態でした。
いぶかしるキャサリンにポールは重要なデータは国家機密に属し、キャサリンが知る必要は
ない、計算の確認だけをしていればいいと言い放ちます。
しかしキャサリンは不完全な黒塗り部分と明らかになっているデータを駆使し、その計算
式がどういった状況を想定して使われているものなのかを割り出し、しかもその状況には
別の計算式から導き出した答えのほうがより正確であることを、全ての数式を黒板に書き
出すことで、証明してみせます。
こうしてキャサリンの能力はグループ内に知れ渡ることとなり、特に責任者のアルは
キャサリンの能力を認め、今後すべての情報を彼女に教えるようにポールに命じます。
マーキュリー計画で宇宙飛行士として選抜されてきたメンバーが研究所に到着、訓練を
初めます。その式典で飛行士の一人、ジョン・グレンは止めるスタッフの言うことも聞かず、
黒人女性職員にも握手をし、会話を交わすのでした。
ある日、アルはまたキャサリンがいないことに気がつきます。キャサリンの能力を認めて
いるからこそ、必要なときに40分近くもいなくなることに腹を立て、キャサリンが戻って
来るとすぐにどこに行っていたか問い詰めます。
キャサリンはトイレを使用するために、片道800mある道のりを小走りしてかつての職場の
ある建物に戻り、有色人種専用のトイレまで行っていたのでした。
そのことに気が付かず、昼夜構わずこき使われ、制服としてヒザ下のスカートにヒール、
真珠のネックレスをつけないといけないという決まりがあっても、真珠なんて買うことも
できない。挙句の果てにキャサリン一人のために有色人種専用のコーヒーポットを用意した
同僚やアルに対し、遂に感情を爆発させてしまいます。
次の日、キャサリンはトイレの前の人だかりと金属で物を殴る音に気づきます。近寄って
みるとアルが「有色人種専用トイレ」とかかれたカンバンを殴りつけ、壁から叩き落として
いたのでした。
そして今後、トイレは一種類、白人専用、有色人種専用といった区別はしないで、一番近い
トイレを使用するように伝えます。
この年の5月、アメリカも有人宇宙飛行を成功させましたが、地球に帰還した飛行士を無事
救助することはできたものの、乗っていたスペースカプセルの回収はできず、海の底に
沈んでしまいます。
政府は莫大な税金を投入した結果のカプセル損失に、次は必ず成功させるようにNASAに
圧力をかけます。
NASAとしてもカプセル回収はデータ収集に、とても重要な意味を持っていました。
しかしカプセルの回収には迅速な救助体制が必要で、それにはカプセルが着地する地点の
割り出しがとても重要でした。その計算はキャサリンが担当していましたが、会議がある
度に回収を行う海軍からの要望など、条件が変わるため、新しい条件下で最初から計算し
直さなくてはなりませんでした。
加えて報告書に報告主を記載する欄がありましたが、キャサリンは常にポールとキャサリンの
連名にしていました。しかしポールは計算士は計算だけをしているいわば電卓であり、
報告主には当たらないと、彼の名前だけで報告しているのでした。
その頃、メアリーは正式なNASAエンジニアになるためには学位が足りないことを理由に
ヴィヴィアンから申請は不許可であると告げられます。
その学位を取るためには白人専用の学校で授業を受けなくてはなりませんでした。
メアリーは学校に編入するため、裁判所に申し出ます。裁判官に裁判所命令で持って学校に
編入しようとしたのでした。
その日がやってきて、メアリーは裁判官の過去を調べ、彼の心を動かす素晴らしいプレゼン
テーションを披露します。説得力ある見事な話の展開に裁判官は夜間クラスの参加を認める
のでした。
NASAは高度な計算を必要とする今後の宇宙開発計画のためにIBMのスーパーコンピュータ、
IBM7090の導入を決定します。
しかしコンピュータルームに機材を運び込むにもドアが小さくて入らないといった初歩から
できてなく、実際に組み上げてもコンピュータはうんともすんとも動かずにIBMの技術者が
頭を掻きながら問題点を見つけようと奮闘していました。
ドロシーはスーパーコンピュータが使われるようになれば、彼女の部下20名の計算士は
お払い箱になることを予感しました。また、せっかくのコンピュータも全く動かず、使え
ません。
ドロシーは図書館に行ってフォートランのついての解説書を借りるのですが、その本は
白人専用のエリアにあり、司書によって追い出されてしまいます。
ドロシーはコンピュータによって追い出される状況を、コンピュータを使いこなす技術を
習得することで、生き残ろうとしていたのでした。
遂にキャサリンはアルに会議に参加させてもらえるように直談判します。
ポールはこれまで女性は誰も参加したことがないと前例主義で反対しますが、アルが
決定権を持っているかのように振る舞えば、誰も何も言えないはずだというドロシーの
アドバイスに、一存で会議に参加させます。
会議の参加者はキャサリンを奇異の目で見ますが、会議が始まり、必要な答えを的確に
こたえるキャサリンに舌を巻きます。そして着地地点の割り出しをするために計算式を
皆の前で披露し、スムーズに答えを出してしまうのでした。
ドロシーは独学したフォートランを20名の部下に教え、プログラマーに仕立て上げます。
また、コンピュータルームに入り込み、学んだ知識を駆使してIBM7090を起動させることに
成功するのでした。
すぐにヴィヴィアンから異動の辞令が届きます。ドロシーはIBM7090を駆使するためには
マンパワーが必要で、彼女一人ではできないことを理由に、20名の部下と一緒に異動する
ことを条件とします。
後日、ドロシーはコンピュータプログラム部署の正式な主任の辞令を受け、NASAで初めて
の黒人女性主任になるのでした。
IBM7090が使用可能になったことでキャサリンはスペース・タスク・グループに必要なく
なってしまいました。元の部署に戻ることになりますが、アルからジムとの婚約祝にと
真珠のネックレスを送られます。
その後、キャサリンはジムと結婚するのでした。
マーキュリー計画の打ち上げ直前、IBM7090が導き出した着地地点が今日と昨日で異なって
いることに気付きます。アルはジョンに連絡し、意見を聞きますが、ジョンはキャサリンが
確認して正しいことがわかれば、打ち上げられてもいいと答えます。
アルはキャサリンに確認計算をさせるように部下を走らせ、キャサリンは素早く、確認を
済ませるのでした。
答えを持ってコントロール室に戻るキャサリンと部下ですが、キャサリンは入室を許可されず、
ドアは彼女の顔の前で無情に閉められてしまいます。
しかし失意のまま戻ろうとするとアルが現れて彼女をコントロール室に入れるのでした。
正しい地点を伝えられたジョンはキャサリンに感謝し、ロケットに乗り込みます。
発射は無事成功し、周回軌道をまわり始めます。が、警告灯がつき、耐熱防御壁に異常が
出たことを知らせるのでした。
7回の周回軌道を終えた後、地球に戻る予定でしたが、安全を期して3回で戻るように変更
されます。
大気圏突入中、通信ができないブラックスポットに入り、ジョンの安全が確認できなくなり
ますが、やがてジョンから通信が入り、無事に大気圏突入を終え、バハマ沖に着水したこと
を伝えるのでした。
歓喜に湧くコントロール室の中でアルとキャサリンはガッチリと握手を交わします。
そしてアルは次は月面着陸だ、とキャサリンに告げるのでした。
マーキュリー計画の後、計算士はその職をコンピュータに取って代わられてしまいます。
キャサリンはコンピュータ解析部署に異動し、ドロシーはプログラミング部署の主任として、
そしてメアリーは正式にエンジニアとしてNASAに残るのでした。
キャサリンはその後、アポロ11号やスペースシャトルに携わります。そして2015年、
大統領自由勲章を授与されました。さらに翌年2016年、彼女の功績をたたえてラングレー
研究所内の研究所に彼女の名前を冠されることになるのでした。
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