ネタバレ感想 1 どの俳優が一番ポアロとしてふさわしいか?
1974年の「オリエント急行殺人事件」を中学生の時に見て、とても気に入ったという思い出の作品なのですが、恥ずかしながら原作は読んでいません。
ですので映像でのみでしか、ふれたことのない作品です。
数年前、やはりアガサ・クリスティのポワロといえばデヴィッド・スーシェが演じるドラマシリーズということで、僕も楽しく見ていたのですが、この「オリエント急行殺人事件」をドラマ版で見る事になり、1974年の映画版を久しぶりに見てみたくなったのでした。
その時、最初に見たときには感じなかったポアロの違いについて、かなり衝撃を受けたのを今でも覚えています。
1974年版はアルバート・フィニーが演じていますが、演出で「感じ悪い人」という特徴が強調されていることもあり、やっぱり、デヴィッド・スーシェが演じるべきだ、と思ってしまいました。
何よりアルバート・フィニーが演じたポアロの髪型が、妙に油でなでつけてペッタンコであったこともあり、ヒトラーみたい、と思ってしまったのです。
喋り方もそんな感じを受ける原因だったと思います。
というわけで、今回の映画ではケネス・ブラナーが演じるとわかり、初めて予告編で彼が演じるポアロの容姿を見た時に正直、これはちょっと、と感じました。
なんとなく重厚感にかけたように感じたのです。
それほどデヴィッド・スーシェのポアロ像に強い印象を持っていたわけなのですが、実際に映画を映画館で見てみたところ、そんな事前の不安は吹っ飛びました!
いやはや、とても素晴らしいのです。
一番良かったのは、フランス語を多用し、フランス語訛りを全面に出したところ。
ベルギー南部出身のポアロですので、フランス語を第一言語としており、興奮するとフランス語が出てしまうという設定にぴったり。
几帳面な性格や衣服、身だしなみにうるさいところもきっちりと出していて、それでいて茶目っ気のあるユーモアもそこ、ここに散りばめてあり、とても良かったです。
ネタバレ感想 2 豪華な俳優陣
1974年版と同じく、参加した俳優は超有名ドコロばかり。
アカデミー賞受賞女優のペネロペ・クルスとジュディ・デンチ、アカデミー賞ノミネートはケネス・ブラナー、ミシェル・ファイファー、ジョニー・デップ、ウィレム・デフォー。
さらにアナ雪でオラフ役、美女と野獣 実写版でル・フウ役を演じたジョシュ・ギャッドも出演していますが、コメディ役以外でこれほどシリアスな役柄を演じた彼を見たのは初めてだったものの、とてもしっかりと演じられており、他の役者に劣らない存在感を出していたと思います。
存在感で言えば、さすがのジョニー・デップ。
今回は悪役でしかも映画の前半1/3までの登場でしたが、悪さをして成り上がってきた人物が持つ凄みと隠しきれない悪、そして命を狙われる不安と恐怖をものの見事に表現していたと感じました。
カリブの海賊でジャック・スパロウとしてふざけているような軽い演技だけではないのですね。
エンディングの謎解きのシーンで、やはり圧倒的な存在感を放っていたのはミシェル・ファイファー。
一途に復讐を計画し、見事に実行させた母親が唯一の生きる目標を無くしたあと、自分の命を引き換えに、みんなを助けたいと思う気持ちと、それが嘘ではないことを見せてくれた自殺未遂。
ポアロが真実を一生隠していくことを決意するにふさわしい、場面だったと思います。
ところでこのミシェル・ファイファーが演じたハバード夫人。
当初はアンジョリーナ・ジョリーがその役のオファーを受けていたそうです。
が、理由ははっきりしないものの、アンジョリーナはこの役を断り、ミシェル・ファイファーが演じることになりました。
僕の個人的な偏見も入った印象なんですが、このニュースを聞いたとき、アンジョリーナ・ジョリーが演じなくて良かったと思いました。
僕の印象ではアンジョリーナ・ジョリーはアクション俳優なんですね。それ以外の演技ができるのか、今ひとつ確証がもてません。
そこへ行くとミシェル・ファイファーは適役だと思います。特に暗い過去を持つ女性にピッタリの雰囲気が感じられるからです。
ネタバレ感想 3 ケネス=ポアロでの続編はあり得るか?
ケネス・ブラナーは監督も努めていますが、今回の「オリエント急行殺人事件」が成功するのであれば、今後、別の作品も撮影してみたい、と語っています。
映画の終わりも「ナイルに死す」を髣髴とさせるような伏線を張っていますので、次の作品は「ナイルに死す」なのかもしれません。
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ただし、ちょこっとおかしな点が2つほどあります。
一つはポアロがオリエント急行に乗車した理由。
緊急の事件にかかわらないといけないため、ロンドンに戻らなくてはならないということで乗車したはずです。
なのに、途中下車し、しかもその後、ロンドンに戻らず、ナイルへ向かうと言うのは、どういうことでしょうか?
次に「ナイルに死す」の物語上、殺人事件が起こってポアロが現れるのではなく、偶然エジプトに来ていたポアロが船上で事件に巻き込まれるという展開のはずです。
ですから、事件があると分かってエジプトへ向かうのでは話が合わないと思うのです。
とはいえ、今回のケネス=ポアロが思いの外よかったので、僕自身としてはぜひ次の作品を期待したいと思います。
出来れば、やはり今回のように超豪華な俳優陣で固めての作品が良いな。
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