映画パッセンジャーのネタバレ感想!ラスト結末の選択に賛否両論?

映画

後半のあらすじ 宇宙船の不具合が顕著になり始め、このままでは沈没してしまう状況に。宇宙船を助けることはできるのか(注)ネタバレ有り

第3の覚醒者 2人にとっての救世主

オーロラは完全にジムを拒絶して日々が過ぎていきました。
そんな中、ジムはなんとかオーロラに許して貰おうとコンコースロビーに木を植えます。

しかしそんな中、船内での不具合の状態が日に日に大きく、そして多く発生していくのでした。
そしてついには第3の覚醒者が現れます。キャビンチーフのガスという乗組員。

ガスの登場で乗組員にしかアクセスできない艦橋エリアへの出入りが可能になり、船に
起きている故障の状況を詳しく確認できるようになりますが、そこでわかったことはジムが
覚醒した日に一度に17つの故障が起こっており、その日に何かの原因があることでした。
ジムの覚醒もその故障によって引き起こされたのです。

まずは冬眠ポッドを調べる3人ですが、そこでガスはジムとガスの冬眠ポッドは故障が原因で
2人が覚醒したことをしりますが、同時にオーロラの覚醒はジムが故意に起こしたことも
知ります。

ジムが1年もの間一人で過ごしてきたことを知って、その行動に理解を示しつつも、ジムが
したことは許されることでないとコメント。
一方でオーロラが、ガスがジムのしたことを知った上でコメントを求められたのに対し、
「溺れている人が近くにいる人に助けを求めて両人が溺れることがある。」との例え話で
オーロラには気の毒だが、ジムにも選択の余地はなかったことをわかって上げてほしいと
伝えるのでした。

ガスの調子が悪かったことと夜になったことで休むことにしますが、オーロラは眠ることが
できずプールにひと泳ぎに出ます。
しかしその時、ついに重力制御装置が止まってしまい、オーロラは空中に浮き上がった巨大な
水滴の中に閉じ込められてしまいます。
すんでのところで重力制御装置が復活し、なんとか命からがらプールから出ることができた
オーロラ。
睡眠中に空中を漂いだし、重力が復活したためしたたかに床に叩きつけられたジムは、
オーロラと合流してガスを探します。

重力制御装置の停止という重大な故障に、その原因を調べる3人はメインエンジンエリアへ
向かいます。その広大なエリアに何から手を付けていいか、困惑する3人ですが、突然ガスが
倒れてしまいます。

船の故障の影響からガスの冬眠ポッドが正常に作動しておらず、612霊にも及ぶ体への異変を
引き起こしていたのでした。診断結果、ガスの余命は数時間。
ガスはジムとオーロラに自身のIDブレスレットとIDナンバーを伝え、船を直して5000人以上の
搭乗者を救い、2人に互いをいたわって生きていくように願いながら息を引き取るのでした。




故障箇所の発見と修理 クライマックスへ

ガスが息を引き取った後、急に電気が消え、緊急灯の赤色灯が室内を照らし、警報が響き
渡ります。
いよいよ宇宙船の故障は緊急事態を引き起こすまでに大きくなってしまいました。
メインエンジンエリアに向かう2人ですが、重力制御装置の断片的なシャットダウンに空中に
投げ出され、床に叩きつけられます。周りでは掃除用ロボットなどが狂ったように動き
回ったり落下してきたりし、バーではアーサーまでが無秩序な行動を繰り返してバーを
破損していました。
2人はアーサーの破壊を食い止めるべく、稼働チップを抜き取って動きを止め、メイン
エンジンエリアに向かいます。

故障箇所を探す2人はパワープラントエリアの扉が開かない事から目星をつけ、扉を
マニュアルで開きます。
開いた途端、激しい空気の流出に巻き込まれ、オーロラが室内に吸い込まれます。
セキュリティは酸素濃度低下を感知し、扉を閉めようとしますがすんでのところで、ジムが
体をねじ込み、持っていたパッドを破損した穴にあてがって応急処置を施すことで穴を塞ぐ
のでした。

正常状態に戻った室内で2人は塞いだ穴以外に壁についている穴を見つけます。どうやら
外から何かが外壁を破って更に船内の奥までダメージを与えているようです。
壁の穴を伝い、ついに2人はリアクターコントロールコンピューターが隕石で破損させられて
いることを突き止めるのでした。

コンピューターの故障でリアクターは異常稼働をしており、リアクター内に溜まった熱量は
爆発寸前までになっています。

船内には全てのパーツに予備があることを知っているジムは、コンピューターの破損パーツを
正常なものに取り替えます。これによってリアクターの制御は正常に戻りましたが、溜まった
熱を外に放出しなくてはリアクター自体が爆発してしまいます。

しかし長期にわたる故障のせいか、排出口が自動で開かず、リアクター制御室にある
マニュアル制御レバーでも外側の排出口が開きません。ジムは構造の確認をして、
外から開かない排出口を手動で開ける事にします。

宇宙服に着替えて船外から排出トンネル内に侵入するジム。排出口を開けることは外から
できましたが、開けっ放しにしておくことができません。誰かがレバーを抑えて明けておく
必要があります。

ジムは覚悟を決めて、その場に残ることにしますが、オーロラはジムをなくして一人で生きて
いく自信がない、死ぬときは一緒だと、拒みます。そんな押し問答をしている間にも熱量は
耐久最大値に達する勢いでこれ以上はもたないと警告を繰り返します。

5000人以上の搭乗者を救うためだと説得するジムにオーロラはやむなく排出口を開くの
でした。
ほとばしる熱風に耐熱シールドと宇宙服はなんとか持ちこたえますが、体を固定しおく
マグネットシューズが耐えきれなくなり、ジムは吹き飛ばされてしまいます。
その勢いは命綱までも引きちぎり、無情にも宇宙を漂うジム。しかも宇宙服に穴が空いて
しまい、体温と酸素はどんどんと放出されていきます。

なんとかオーロラと交信し、状況を説明して全てを謝るジム。90年後に出会って彼女の
ために家を立て、彼女の作品を読みたかったと言って意識を失います。
状況を把握したオーロラは宇宙服に着替えてジムの救出に向かいます。
宇宙を漂うジムを見つけ、大急ぎで捕まえようとしますが、あと僅かのところで命綱の
長さが足りず、ジムを捕まえることはできません。だんだん遠ざかっていくジムの姿に
絶望をしかかっていたオーロラですが、その視界にジムの宇宙服についている命綱の
切れ端が入ってきたことに気が付きます。

大急ぎでその命綱を掴んで手繰り寄せるのですが、宇宙服の中のジムの顔には氷が付着して
おり、状態は一刻を争う緊急事態です。
船内に戻ったオーロラはジムを医療施設に運びます。無情にも診察結果はすでに死亡。
蘇生治療を行うようにコマンドしますが、乗組員IDが必要だと言われます。
ガスから譲り受けたIDを思い出し、ジムに蘇生治療を施すオーロラ。
蘇生は無理かと思われましたが、息を吹き返すジムにオーロラは歓喜の涙を流して抱き
つくのでした。

すべてが終わり、船内を元に戻す作業をしていた2人。オーロラは壊れたアーサーの顔面を
修復し、ジムは医療ポッドを詳しく調べていました。
そしてあることを発見したジムはオーロラに話します。

医療ポッドで長期冬眠が可能であることをジムは見つけ出しました。オーロラを自分の都合
だけで覚醒した罪滅ぼしとして、オーロラにホームステッドⅡコロニー到着まで長期冬眠に
つくように勧めます。

しかしこの医療ポッドは一つしか無く、長期冬眠は二人のうち一人しかできません。
それを指摘するオーロラにジムは、今までも一人だったし、会いたくなったらいつでも
会いに来るからと微笑みます。

シーンは変わり、平和になった船内。掃除ロボットがメインコンコースをきれいにし、
修復ロボットがメインリアクター制御室で破損したガラスや設備をきれいに直しています。
バーではアーサーの前に椅子に座るジム。カウンターに置かれた婚約指輪を手にとって
眺めていました。
そんな2人の背後から、「火曜のアーサーの相手は私がする日よ」とオーロラの声。
その言葉に微笑みながらオーロラを迎えたジムは指輪に気がついたオーロラに「ずっと
前から渡したいと思っていたんだ」と指輪を渡し、左手の薬指にはめるのでした。

88年後、乗組員の覚醒してメインコンコースに降り立った時、彼らが目にしたのは大きく
育った巨木を中心に噴水からひかれた小川とその周りに作られたガーデン。そしてその奥に
あるキャビン風の家屋、ジムとオーロラがともに生活し、築き上げてきた全てでした。










コメント

  1. ほしほし より:

    読み応えのある総評、楽しんで読ませて戴きました。
    ありがとう。

    期待以上に面白い映画でした。
    賛否となった「ジムがオーロラを起こした行為」ですが、僕はうまく回収できていると思います。
    勿論この行為自体は許される事ではなく、その行為そのものは劇中内でも決して肯定されることはない。
    だから、映画を見終わった段階で僕はこの作品に対して「否」にはならなかった。

    んで、その回収方法ですが、
    原案の脚本では、他の5000人以上が死ぬことで、「起こされていなければ、オーロラもこの時点で死んでいた」と言う形にすることで、「起こして良かった」と成立化させた。
    一方映画では、冬眠し直す方法を見つけ、過ちを取り返せる(オーロラからすれば、被害を取り戻せる)状態になった、そのうえでオーロラが自分の意志で共に起きている事を選ぶ事で成立された。

    原作案はあくまでも結果論でしかなく、オーロラも「起きて良かった」と思ってはいるだろうが、自分の選択が及ぶ範囲の話では無いので、いわば消極的結論。ジムも自分自身で何か責任を果たした訳ではない。むしろ5000人を死なせてしまったのはマイナスの出来事。
    映画版はオーロラ自身で、自分にとって幸せはどちらかを自分の意志でキチンと選択してるので、積極的選択。
    ジムも、オーロラに本来の人生を取り戻させる方法をオーロラ本人に提示できた。

    他の5000人を殺す事で成立させる原案よりも、自分で幸せを選び、他の大勢も不幸になってない映画版が好きだ。
    あと、原案の「生き残った男女が人類の再建のために子供を大勢作ってアダムとイブになる」ってのは、正直やりつくされてる感があって好きではない。
    藤子不二雄さんの漫画にもあったし、昔から良くあるアイディア。
    これが映画の結末だったら、「ありふれた結末の作品だな」って印象で終わってた。
    だから僕は映画版で良かったと思う。

    • takmori83 より:

      ほしほしさん、コメント、ありがとうございます!

      このパッセンジャー、本当にうまくできているな、と今思い出しても感心してしまいます。
      唯一、僕の中で違和感があったのはあそこまで毛嫌いしていたオーロラがジムへの態度を変えていくあたり。

      ガスが起きたせいでオーロラが自分の中にたまったうっぷんを吐き出せたからなのかも、と今になっては思ったりしますが。

      あと、二人の間に子供ができたのかどうか、はっきりとは語られていないところもよかったかなと。

      今となっては、ふたりは幸せだったとは思いますが、どちらかが寿命で先に逝ってしまったあとは、生き残ったほうにどんなインパクトがあったのか、なんてことも考えてしまいます。

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